「旅館」という施設には、できるだけ泊まりたくない
『新・観光立国論』 で山本七平賞を受賞したデービッド・アトキンソン氏が、東洋経済 Online で "外国人が心底ガッカリする 「日本の旅館事情」" という記事を書いている。日本の「旅館」は、外国人の富裕層が泊まるには多くの問題がありすぎるという指摘だ。(参照)
この記事は富裕層向けの高級旅館に限った話だが、実はごくフツーの旅館も問題ありすぎだ。私は年間 20回以上いろいろな地方に出張するが、宿泊はビジネスホテル専門で、日本に生まれて日本で育った日本人なのに、よほどの事情でもない限り「旅館」と名のつくところには泊まりたくない。
旅館というのは、とにもかくにも宿泊料金のコストパフォーマンスが悪すぎる。地方のビジネスホテルでは、6,000円も出せばまともな部屋に泊まれる。5,000円で簡単な朝食付というのも珍しくない。
ところが、旅館だと同じ値段で部屋が「バス付き」でないことが多いのである。温泉旅館ならまだいいが、家庭用風呂に毛が生えたようなのに交代で入らされることも珍しくない。こんな風呂だと大抵排水が悪く、シャンプーし終えて目を開けてみると、泡だらけのお湯が排水口から溢れて、足をヒタヒタにしているなんてことも覚悟しなければならない。さらに「トイレ共同」なんてのもざらだ。
最近ではかなり改善されたが、それでも「布団が短すぎることがある」というのも要注意ファクターだ。私は日本人としては長身のため、冬の東北や北海道で短い布団に遭遇すると、足が冷えて往生してしまう。押し入れから予備の掛け布団を引っ張り出して、すっぽりと足を覆わなければならないが、下手すると予備の布団がないこともある。
また、「割烹旅館文化」というのも始末が悪い。昔、某地方都市に出張した際に、訪問先の会社の世話で、その町に古くからある割烹旅館に泊まらされた。夕方過ぎに部屋に通されてお茶を飲んでいると、さっきまで訪問していた会社のお偉方がいきなりずかずかと上がり込んできたかと思うと、あれよあれよという間に酒肴が運ばれて、酒盛りになってしまった。
何のことはない。あの人たち、その旅館の女将とツーカーになっていて、出張してきた人間をダシにして経費で飲み食いしたいのである。それで「おもてなし」と勘違いしてるから始末が悪い。私は酒の無理強いとご馳走攻めは苦手だから(参照)、これ以後、この町に宿泊するスケジュールは絶対に組まないことにした。
そうそう、ビジネスホテルでは常識の LAN や Wifi のサービスが、旅館ではほとんど期待できないのも困る。今どきはスマホ経由でインターネット接続できるからまだいいが、それだとスピードが遅いしね。それに夜になってから座卓に座椅子でデスクワークすると、腰にきてしまうのもしんどい。
というわけで、私は「旅館」という施設にはできるだけ泊まらないようにしている。どうやら、ライフスタイルというか、旅のスタイルが全然合わないようなのだ。上の写真をみても、70歳過ぎか、一時の非日常性で盛り上がるギャル以外は喜びそうにない雰囲気である。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ディズニーランドって、ちょっと特別な場所なのかも(2023.11.28)
- スタッドレスタイヤが要らなくなれば、ありがたいが(2023.11.24)
- 「東海道・山陽・九州新幹線でも喫煙ルーム廃止」歓迎!(2023.10.18)
- 明日から、急に忙しくなってしまうので・・・(2023.10.06)
- 「残暑見舞い」に八つ当たり(2023.08.26)
コメント
日本には、「旅館」と言う名の「合宿所」があります。
共同洗面に共同便所、男性は本館のお風呂で女性は別館のお風呂をお使いください。
壁やと思ったらこれ襖じゃん!
朝食は本館1階の食堂って、昨日宴会やったとこじゃん。
エレベーター付いてるのは本館だけなんだ。
自販機ショボ…。
と言う、経験に基づく一席のお粗末。
投稿: 乙痴庵 | 2017年7月16日 20:43
そうか~、あれは「旅館」という名の「合宿所」なのね~。府に落ちたわ~。旅館のシステムって、昭和30年代ならいざ知らず、ちょっと現代の生活とかけ離れすぎちゃってるわよね~。まぁそれも含めて「なにこれ?久々に見たわ!」って楽しめちゃうような人はともかくね。まぁホテルつうても色々ありますけどね。
数年前自転車旅で泊まった松本のホテルの朝食で、怖い顔したおばはん数人が給仕してて、あたし顔が怖いから緊張してサーバーのフレッシュジュースこぼしちゃったの。そしたら怖い顔のおばはんが飛んできてサッと拭き取ったわ。ああいうのやだな~。(アホ)
投稿: 野兎鞠子 | 2017年7月16日 22:10
私鉄のストで止む無く京都の鴨川縁の”旅館”に泊まったことがありますが、部屋と廊下の間は障子だけで鍵なんてもちろんない、風呂トイレは共同でビジネスホテル以上の宿泊料金でした。
これじゃ、外国人観光客には不評でしょうね。
東北に一人でぶらり旅行した時もトイレ風呂共同で2万でした。他の部屋のどんちゃん騒ぎの音もガンガン聞こえてくるし散々でした。
観光に行ってビジホなんて味気ないという人もいますが、ビジホなら何でもそろっていて料金も5千円から7千円位までと納得の料金ですね。
テレビでは ”日本の旅館はCool” なんて取り上げられていますが、そんなこたあない!
旅館の中には客を10人位で出迎え、帰る時は後姿が見えなくなるまでお辞儀してますが、そんなことされたら面食らってしまうし、それは不要なサービスですよ。
投稿: ハマッコー | 2017年7月16日 22:19
乙痴庵 さん:
「合宿所」 とは言い得て妙ですね。まさにそんな感じです。
投稿: tak | 2017年7月17日 01:11
野兎鞠子 さん:
地方に行くと、「体裁はホテル、ココロは旅館」 というところもありますから、用心に越したことはありません (^o^)
投稿: tak | 2017年7月17日 01:14
ハマッコー さん:
>東北に一人でぶらり旅行した時もトイレ風呂共同で2万でした。他の部屋のどんちゃん騒ぎの音もガンガン聞こえてくるし散々でした。
そりゃまた、お気の毒に。
それって、要りもしない 「ご馳走攻め」 のお値段でSよね。
>テレビでは ”日本の旅館はCool” なんて取り上げられていますが、そんなこたあない!
あれは、「ムダに Hot!」 と言うべきですよね (^o^)
投稿: tak | 2017年7月17日 01:18