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2017年8月 4日

糖度の高い果物ばかり増えて

昨日、若者の果物離れについて書いたが、最近最も消費量の減っているのが「みかん」なんだそうだ。なるほど、昔はこたつを囲んでいつ果てるともなくみかんを食いまくるというのが冬の定番だったが、近頃はこたつのない家も多いしね。ちなみに我が家もこたつはない。

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というわけで、みかんの消費低迷の要因は、「こたつが減ったこと」なんて言われているが、私は個人的に、「みかんの糖度が上がりすぎたため」と思っている。最近のみかんは甘すぎて、そうたくさんは食べられないのだ。私の場合、昔は一度に 10個は平気で食っていたが、今のみかんは 3〜4個食べると、口の中が甘ったるくなってしまう。

要するに甘さがしつこいので、そんなには食えないのだ。みかん農家は、甘すぎてたくさん食べられないみかんを作って、「消費量が減った」と嘆いていることになるのではなかろうか。できそこないで甘くないみかんはあっても、それらはみかん特有の酸味もないので、単に「味気ないミカン」になってしまう。

これはかなり前の話だが、昔ながらの酸っぱいみかんの好きな人が八百屋の店先でみかんを買おうとして、「おじさん、このみかん、酸っぱい?」と聞くと、店主は威勢良く「奥さん、ウチのみかんは酸っぱかないよ。みんな甘いよ!」と答えた。それを聞いて、「あ、そう、じゃ、いらない」と言って帰りかけると、店主は「あ、ちょっとちょっと、奥さん、そりゃ、みかんなんだから少しは酸っぱいよ。でも、甘いんだよ!」と、あせりまくっていたという。

「このみかん、酸っぱい?」と聞かれて「酸っぱいよ!」と答える八百屋は、日本中にないだろう。かくほど左様に、今の日本では「甘い果物」ばかりが求められて、糖度を上げさえすれば高く売れるということになっている。その結果として、店頭は本来の味わいがどこかに行ってしまったような甘い果物ばかりになり、手頃な値段の「みかんらしいみかん」、「りんごらしいりんご」が姿を消してしまった。

私は今でも、あのいかにもりんごらしい酸味のきいたスタンダードな紅玉が食べたいと思うことがあるのだが、近所のスーパーをのぞいても 1個 200円もするような「蜜がたっぷりの甘いりんご」ばかりである。私は、ああいうのは贈答品と思っているから、自分で買ってまで食べる気はしない。

 

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コメント

すると、一つ前の記事のコメントに「実入りとしてはあまり変わらない」とある同じ伝で、果物離れが進んでいても、売れている糖分の総量はあまり変わらないとか(笑)

昔の青ミカン(そういえばこれも見た目は「緑」ですが「青」と称しているな)などには、本当に、口が曲がるほど酸っぱいのがありましたが……最近はあれもマイルドになっているのでしょうか。

投稿: 山辺響 | 2017年8月 4日 14:35

こんばんは。初めてコメントします。
甘すぎるリンゴ。確かにそうだなと思います。

でも、今おすすめのリンゴがあります。
ニュージーランド産の「ジャズ」というリンゴです。
程よい甘みとと酸味が素敵なリンゴで、少々こぶりなかわいいリンゴです。

外国のリンゴのほうが日本に昔あったリンゴに近いのではないかと思われるほどです。

投稿: sgicaster | 2017年8月 4日 20:21

山辺響 さん:

果物の価格と糖分における質量保存の法則とでもいいましょうか。

そういえば、青ミカン、近頃見ませんねえ。

投稿: tak | 2017年8月 4日 21:52

sgicaster さん:

>ニュージーランド産の「ジャズ」というリンゴです。
>程よい甘みとと酸味が素敵なリンゴで、少々こぶりなかわいいリンゴです。

それはそそられますね。
フードマイレージの点でちょっとなあという気もしますが、試しにちょっと食べてみたいです。

投稿: tak | 2017年8月 4日 21:53

そりゃ、リンゴは紅玉ですよ。一個280円のリンゴなんて酸味がなくて食べた気がしない。

やたら甘さを売りにした”高級みかん”を貰いましたが、一個食べるのも大変でした。”農家は何を考えてるんだ”というより、消費者が”甘いことはいいことだ”と思い込んでるのが原因でしょうね。

投稿: ハマッコー | 2017年8月 5日 02:20

ハマッコー さん:

>消費者が”甘いことはいいことだ”と思い込んでるのが原因でしょうね。

そうなんですよ。

テレビなどで、何か食べさせられたタレントたちが、「甘〜い!」 「とろける〜」 を連発していますね。

そんなに甘くてとろけるのが好きなら、砂糖舐めて、綿菓子食ってろと言いたくなります (^o^)

投稿: tak | 2017年8月 5日 07:12

30年くらい前の、「スターキング」がなつかしい。

小ぶりで甘みとちょいと酸味と歯応えがあって、皮を剥かずにかぶりつく代表格だったかと…。

今では他の品種に押されて、店頭でもお目にかかれませんし、親戚からも届きません。
フジとジョナゴールド、王林が主ですね。(長野県なのでサン津軽はありません)

投稿: 乙痴庵 | 2017年8月 5日 11:35

「テレビなどで、何か食べさせられたタレントたちが、「甘〜い!」 「とろける〜」 を連発していますね。
そんなに甘くてとろけるのが好きなら、砂糖舐めて、綿菓子食ってろと言いたくなります」

↑個人的に滅茶苦茶受けました!tak先生、江戸っ子ですね! 私もそういうなんでも「甘~い!」「とろける~」としか言わないコメントを聞くと、思わず激昂してテーブルを拳で叩き割りたくなります(笑)。そんなのが原因で手を骨折してもバカバカしいので、テレビを処分して本当に良かったと思います(笑)。

投稿: 萩原ゲンセンカン主人 | 2017年8月 6日 08:08

>テレビなどで、何か食べさせられたタレントたちが、「甘〜い!」 「とろける〜」 を連発していますね。

そう言わないと給金が貰えないのでしょうね。

梅宮辰夫さんが何十年か前の食レポのことを語っていましたが、どこかの島の地元の料理を食べて”美味い”と言ったけど”あんな不味い食い物は二度と食わん”と、吐き捨てるように言ってました。

タレントさんの、「甘〜い!」 「とろける〜」は演技でしょうね。本当にうまいケースもあるでしょうが。
タレントさんも大変です。不味いと思っても一切顔に出さず激賞しなければいけない。

投稿: ハマッコー | 2017年8月 6日 20:05

乙痴庵 さん:

>30年くらい前の、「スターキング」がなつかしい。

あれ、当時としてはかなり 「甘い品種」 と思われていたはずです。でも、あのくらいがいいんでしょうね。

それ以後は、なんだか別の食い物を食ってるような気がします。

投稿: tak | 2017年8月 6日 20:09

萩原ゲンセンカン主人

>私もそういうなんでも「甘~い!」「とろける~」としか言わないコメントを聞くと、思わず激昂してテーブルを拳で叩き割りたくなります(笑)

でしょう〜 (^o^)

本当に味覚が単純バカになりすぎてるんじゃないかと思います。

投稿: tak | 2017年8月 6日 20:10

ハマッコー さん:

>梅宮辰夫さんが何十年か前の食レポのことを語っていましたが、どこかの島の地元の料理を食べて”美味い”と言ったけど”あんな不味い食い物は二度と食わん”と、吐き捨てるように言ってました。

それ、試しに食ってみたいです (^o^)

グルメ番組は、「勝手に食ってろ!」 という感じですね。

投稿: tak | 2017年8月 6日 20:12

ビートたけしさんも近いことを言ってました。
氾濫する街頭食レポに対して、
「商店街のコロッケなんて、そんなたいしてうまいわけねえんだ」て。
周囲が慌ててフォローしようとしてるのが面白かった。
安住アナとの番組だったかな。

投稿: らむね | 2017年8月 8日 18:25

らむね さん:

>「商店街のコロッケなんて、そんなたいしてうまいわけねえんだ」

寅さんだったら、「おいちゃん、それを言っちゃあおしまいだよ」となるかな (^o^)

投稿: tak | 2017年8月 8日 20:01

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