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2017年8月28日

「かばち」と「かまち」

「J タウンネット」 というサイトに、"横浜「~じゃんとか言わない」 広島「かばちたれって何?」 ... 地元の「意外と使わない方言」を聞いてみた" という記事がある。この見出し、ちょっとまずくて、横浜の 「〜じゃん」 は決して言わないわけじゃなく、実際は 「横浜だけじゃないじゃん」ってことなのだが、「かばちたれ」は確かに、何度広島に行っても聞いたことがない。

170828

愛媛県の「ぞなもし」は、漱石の『坊っちゃん』の中だけの言葉と思っていた方がよさそうだし、宮城県の「だっぺよ」というのもほとんど聞かなくて、完全に「〜だっちゃ」が優勢だ。「だっぺよ」はむしろ茨城弁だと思う。

妻が仙台出身で茨城在住の私がそう感じているのだから間違いない。茨城に 30年も住んでいると、「〜だっぺよ」がうつっちゃいそうで怖いほどだ。

さて、今日の本題の「かばちたれ」である。これ、映画の『仁義なき戦い』あたりから全国に知られた言葉だと思うが、「かばち」というのは「小理窟」ってなニュアンスの言葉と理解している。「かばちたれ」というのは、「つまらない小理窟をつべこべ言い立てる、口だけ達者なうっとうしいやつ」というような意味だろう。

試しに辞書(『大辞林』)を引いてみると、「① [「輔・頷」 などと書く] 上下のあごの骨。かまち。[新撰字鏡] ② [西日本方言] 生意気な口をきくこと。口達者なこと。また、その人」とある。へえ、元々は 「上下のあごの骨」という意味だったなんて、初めて知った。あごの骨を活発に動かすから「口達者」ってなことになったのだろう。

さらに注目すべきは、「かまち」とも言うという点だ。「かまち」は「上がり框」(玄関などの土間から家に上がるところの横木)などというように、家の造作を指す言葉である。ついでだからこれも『大辞林』で引いてみると、「【框】 ① 戸・窓・障子などの周囲の枠。② 床の間や床などの端にわたす化粧横木。上がり框・床框・縁框など」となっている。

こうしてみると、「框」も「かばち (上下のあごの骨)」も、いわば 「枠組み」みたいなものだから、元は同じ言葉だったのだろうと想像される。そして「かばち」をフルに使うやつが「口達者」ということになるのは、なかなかおもしろい言葉の変化だ。広島の若年層がこの言葉を知らないというのは、なんだか残念な話である。

 

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