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2017年8月18日

「モリリン株式会社」 という社名のアクセント

高速道路を運転しながらラジオを聞きっぱなしでいると、時々ラジオショッピングで「モリリンの寝具」や「モリリンのタオルセット」などが紹介されるのを聞くことがある。「モリリン」という会社は繊維業界で長く仕事をしていた私にはお馴染みの会社で、しかも江戸時代初期から続くという老舗である。

ただ、テレビショッピングやラジオショッピングの音声情報として「モリリン」という名前を聞くと、ちょっとガクっときてしまったりする。というのは、繊維業界では「モリリン」の名称はどこにもアクセントをおかず、平板で呼ばれるのが普通だが、テレビやラジオの MC は上の動画にあるように、初めの「モ」にアクセントを置いて発音される。『ドラゴンボール』に出てくる 「クリリン」と同じアクセントになってしまうのだ。

「はあ〜」とため息をつきながら、私は思う。「モリリン(平板型アクセント)も、最近では『モリリン』(『クリリン型アクセント』)なんて、どこか外国の会社みたいな感じで呼ばれるようになってしまったのか。世の中、変わってしまったのだなあ」

モリリン株式会社の社名は、Wikipedia にあるように(参照)、江戸時代の創業当時の名称だった「森林右衛門商店」を由来としているという。読み方はもちろん「しんりんえもん」 じゃなく、「森」(もり)が苗字で「林右衛門」(りんえもん)が名前だから、略して「もりりん」なのだ。

そして「榎本健一」が「エノケン」 と呼ばれ、「マツモトキヨシ」が「マツキヨ」、「木村拓哉」が「キムタク」と呼ばれるように、少なくとも東日本では姓名を縮めて呼ぶ時は平板型のアクセントになると相場が決まっている。だから「モリリン」も、業界では平板型で呼ばれていた。

ただしかし、西日本ではそうとばかりも言い切れないと思い当たった。モリリンは愛知県一宮市に本社を置く会社なのだが、そういえばあの辺りから先の西日本の人たちは 「平板型」 ではなく、またちょっと変わったアクセントを置いていたような気もするなあと思い、いろいろ検索してみたら、24年前の TVCM でその痕跡を発見した。

なんと、「モ」の次の「リ」にアクセントが置かれてる。「手間賃」「果樹林」と同じアクセントだ。もしかして、これがオリジナル・アクセントなのか、それとも関西型なのか。いずれにしても、「クリリン型」の「モリリン」と同じ会社とは思われないほどである。

とにかく、こうして時代は変わるのである。あるいはカタカナの「モリリン」にした時から、こうなることは運命づけられていたのかもしれない。でも漢字の「森林」では「しんりん」と呼ばれちゃっただろうしね。

 

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