茨城県知事選挙の結果
茨城県知事選挙は、自民・公明推薦という、全然魅力を感じない看板をつけた大井川和彦氏が、7選を目指した橋本昌氏を破って初当選した。茨城県在住の私としては、この選挙では誰に投票するか、本当に悩んでしまったことを告白しておく。
そもそも私は、自分の住んでいる県の知事が既に 6期(24年)も務めていることに屈辱的な思いを抱いてきた。県に限らず、同じ人間がこんなにも長期にわたって地方自治体の首長を務めていたら、弊害が出るに決まっている。茨城県に住んでいると、県庁の職員が知事の顔色ばかりうかがって、「ソンタク」なんてもんじゃなくなっているという話をよく聞いていた。
というわけで、いくらなんでも橋本さんは 6期で引退して、7期目はないと思っていたのだが、臆面もなく 7選を目指して出馬すると伝えられた。あまつさえ県内の農業団体や医師会、連合茨城などから推薦を受けているという。私としては「おいおい、よくまあ恥ずかしげもなく……」と思ってしまったのである。長い間のうちに、よっぽど共通の利害関係をもつお友達が増えてしまったとみえる。
一方の大井川和彦氏は早いうちから運動を開始していて、大方は「次は、あの若い人で決まりだね」と思っていたフシがある。ところがこの人、「自民・公明推薦」なんていう余計な看板を打ち出してきてしまった。こんな看板のせいで、かえって票を失って接戦になってしまったんじゃないかと思うほどだ。
選挙戦の中で、橋本氏は「原発再稼働を認可しない」という方針を打ち出した。これ、結構 "sounds good" なお話である。とくに「反原発」の立場を明らかにしている私としては、心が動いた。
ただでさえ大井川氏が「自民・公明推薦」なんていう余計な「ヒモ付き」で出馬したのが気にくわないのに、橋本氏は「非原発」というのだから、当初の「あの若い人で決まりじゃん」という思いが、完全に振り出しに戻ってしまった。「多選阻止」の原則を貫くか、一度だけ「原発不認可路線」に乗るか、難しい選択となってしまったのである。
で、よくよく迷った挙げ句、橋本さんの「原発再稼働を認可しない」というのは、単に選挙向けの付け焼き刃っぽさが目立ち、信念あってのことじゃなさそうだという結論に達した。当選してしまったら、どう変わるか知れたものじゃない。当選したとしても次はいくらなんでも最後だろうから、何でもできてしまう。
それよりも 「多選(しかも「超多選」)阻止」の方を優先すべきという結論に達し、この際明らかにしてしまうが、大井川氏に投票してしまった。ただこれは、ひたすら「多選阻止」を重視した結果であり、大井川氏の政策を全面的に支持したからというわけではない。彼が「自公推薦」でさえなかったら、少なくとも私はこんなに悩まずに済んだのだ。
だから、自民党は「茨城県知事選挙で信任を得た」なんて思い上がったことは言わない方がいい。そして大井川新知事には、くれぐれも自民党中央の言いなりにならないでいただきたいのである。こんなことを言っても、行きがかり上、無理だろうけどね。
ちなみにこの記事は、本当は昨日付でアップするつもりだったのだが、北朝鮮のミサイル発射というニュースの影響で 1日遅れになってしまった。まあ、その程度のバリューの話である。
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コメント
同じ一票でも多くの要素が絡んだ挙句に迷いぬいて、49対51で投票したりしているという例ですね。
当選された方もこれで全面的に信任を得たように振舞わないことを、敗れた方は謙虚に反省していただけると今後につながるのですが・・・
投稿: ちくりん | 2017年8月30日 10:27
ちくりん さん:
まさにその通りです。
投稿: tak | 2017年8月30日 18:50