« 伊丹市の小学生がヤマカガシに噛まれたというニュース | トップページ | 糖度の高い果物ばかり増えて »

2017年8月 3日

若者の果物離れとは

若者の果物離れが言われて久しい。とくに 20代の若年層は、60代以上の半分しか果物を食べないんだそうだ。そんな中、AERA が "若者のフルーツ離れ  「面倒」 「汚れる」 に現れた救世主とは?" というニュースを紹介している。

170803

大げさな見出しだが。中身は大したことない。紹介されているのは、「ぶどうのシャインマスカット」と「バナナ」の 2つのみ。シャインマスカットというのは、「高価だが、上品な甘さで大粒なのに皮ごと食べられ、種もない」ので、「これほど消費者ニーズに合った品種はなかった。救世主」なんて言われているという。

しかし量的にみれば JA 全農やまなしの場合、たかだか 「14年に約 1100トンの販売量が今年は 2千トン超の見込み」という程度のもので、消費が減ったといわれるみかんの数十万トンというレベルとは比較にならない。

バナナにいたっては、日本バナナ輸入組合などは「夜バナナダイエット」を PR するという話で、それが「救世主」なんてことになるのかなあと思うばかりである。まあ、果物の消費は全体的にはずっと低迷したままのようだ。

その要因は、「ダイエット志向の若者に糖分が嫌われた」とか「皮を剥くのが面倒」とか「手がべとべとになるから」とかいろいろ言われているが、実は一部で指摘されている「日本の果物は高すぎる」ということにとどめを刺すと思う。日本の果物はムダに高級化しすぎて、日常的にひょいひょい食べるものじゃなくなっている。

桐の箱に入れて贈答品として打っている山形のサクランボなんて、その代表格だ。やれ、「甘い」だの「とろける」だのというのがありがたがられるので、生産者もそっちの方向に向かわざるを得ないのだろう。ただそれだと、食の細った高齢者には喜ばれても、量を食べたい若者のニーズからはかけ離れる。その意味で、上述のシャインマスカットも、「高価」というだけでアウトである。

勝手に高級化して値段を高くして、若者が買いにくいものにしてしまい、そのくせ「若者のフルーツ離れを食い止めるには」なんてことを言うのは、話が逆なのではなかろうか。日本の若者は金がないのだから、腹の足しにならないくせに値段ばかり高い果物より、ちゃんと「食った気がするもの」を買うに決まっている。

もらえば食うが、自分が買うとなったら、1個 200円もするリンゴなんかより、100円ちょっとのカップラーメンを買うに決まっている。安くてバンバン食える果物が増えれば、そりゃ、買って食いもするさ。値段の安いバナナは消費が増えているという事実をみれば、それは明白だ。

ちなみに私自身も、学生時代に自分で果物を買って食った記憶はほとんどない。それでも実家に帰れば、夏は桃やスイカ、冬は食っても食ってもなくならない箱買いのミカンが溢れていたので、食いまくっていた。

そして今も、果物は買って食うというより、もらい物の場合が多いのだよね。季節になれば到来物であふれる。必死に食わないと腐らせてしまうので、消費量は案外多いと思う。

 

|

« 伊丹市の小学生がヤマカガシに噛まれたというニュース | トップページ | 糖度の高い果物ばかり増えて »

世間話」カテゴリの記事

コメント

生産者側もより付加価値の高い作物(=値段が高い作物)に向かわざるを得ない実情もあるのでしょうね。とは言うものの、朝食に果物を食べるのは体調管理的にもいいと思いますがね。バナナとかオレンジ・グレープフルーツなどなら簡単に食べられるし、水分・果糖・クエン酸・その他ミネラルが手っ取り早く補給できますね。値段もそんなに高くないから総合的に見て菓子パンなどより朝食向きなのではないでしょうか。
まぁ私は朝は紅茶とカ○リーメイトくらいしか採りませんけどね。腐らないのがいいですよ(言行不一致やんけ!)

投稿: 萩原水音 | 2017年8月 4日 10:07

萩原水音 さん:

>生産者側もより付加価値の高い作物(=値段が高い作物)に向かわざるを得ない実情もあるのでしょうね。

というわけで、生産者側としては消費量は減っても、高級化してキロ当たりの売り渡し価格を上げることで、実入りとしてはあまり変わらないとか、あるいは増収になっているのかもしれません。

または手がかかる分、実質減収かもしれませんが、そのあたりはよく知りません。

ただ、差別化して高級化すれば消費量が減るのは仕方のないことで、高級品をたくさん食べろというのは、ちょっと勝手な要求ということになりますね。

投稿: tak | 2017年8月 4日 14:26

私、全然若者ではありませんが、バナナは果物のなかではよく食べますね。自転車の遠乗りに行くときにはいつも持っていきます。カリウムが含まれていて脚つりを防止しますし、各栄養素のバランスがいいと思います。値段も菓子パン類と変わらないし腹持ちもいい。体を動かしているときなら菓子パン類より断然バナナ!ですね(私設バナナ振興会)

投稿: 萩原花菜 | 2017年8月 5日 11:12

萩原花菜 さん:

バナナはいけるでしょうね。とくに甘ったるいわけじゃなく、昔は病気見舞いにでももらわなければ食べられなかったけど、今は安いし、腹の足しにもなるし。

だから、バナナの消費量だけは増えているようです。ただ、個人的にはフードマイレージが気になるなあ ^^;)

投稿: tak | 2017年8月 6日 20:07

フードマイレージですか。ずいぶんとお安い輸入食材の裏には、安い賃金で酷使されている生産国の人たちの姿が想像されますね。かといってこの時期、国産の果物だと買いやすく水分・クエン酸・ミネラル分の補給に役立つようなものがないし。ホノルルセンチュリーライドでヘロヘログダグダになったとき、オレンジを一気食いしたら別人のように元気になった過去があるのでオレンジは好きなんですけど、あれもどっかの外国で収穫されたものだしなぁ。
…わたし、やっぱり貧乏だからカロリーメ〇トとお水でいいですわw

投稿: 萩原キクチサヨコ | 2017年8月 8日 21:59

萩原キクチサヨコ さん:

まあ、主食にするんでもなければ、あまりうるさいことを言いたいわけじゃないので、必要以上に気にしないで下さいい (^o^)

オレンジは気付け薬として、かなりいいかも。

投稿: tak | 2017年8月 8日 23:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 若者の果物離れとは:

« 伊丹市の小学生がヤマカガシに噛まれたというニュース | トップページ | 糖度の高い果物ばかり増えて »