大磯町の給食問題に見る 「食べ残しの集団心理」
神奈川県大磯町の中学校の学校給食で、食べ残し率が異常に高いというのが問題になっている。下のリンクは日テレのニュースへのリンクだ。確かに画像で見ると、めちゃくちゃ食べ残されている。中学生たちは質問に答えて「おいしいとは言えない」とか 「冷めていたり、味のバランスがダメだったり」などと言っている。「残して当然」と言わんばかりの口調だ(参照)。
育ち盛りの中学生時代、常に腹を空かしていた自分の感覚からして、多少まずいぐらいで給食をあんなにも食べ残すとは信じられない。そもそも給食なんてまずいと相場が決まってるんだから、つべこべ言わずに食うしかないのである。そうでなくても日本はフード・ロスが異常に多くて、世界に対して顔向けができないほどなのだ(参照)。
私なんかつい、満足に食うものがない飢餓地域の子たちに思いを馳せてしまうので、せっかくの食べ物を残して捨てるなんて論外と思っていて、とにかく米粒 1つ残さずきれいに完食する主義なのである。その方が、自分と他人を問わず、食器を洗うにも楽だし。(参照 1、参照 2)
というわけで、育ち盛り、食い盛りのはずの中学生が給食を食べ残すなんて、「まずい」という表面上の理由とは別の事情があるはずと思っていたところ、昨日、「昨年 1月以降、虫や髪の毛、ビニール片などの異物が計約 100回見つかっていたことが町の調査でわかった」と報じられた(参照)。これで 「食べ残し問題」の底流が少し見えてきた。
生徒たちの「食欲減退」の底にある要因は、多分この「異物混入問題」だろう。実際にはこれ、大多数の生徒にとっては「事実」というより「それらしき伝聞情報」に過ぎないのだろうが (「計約 100回」 なんていうキリがいいようなテキトーなような数字からして、ちょっとアヤシいし)、多感な年頃の中学生のことだから、見るからにチープなプラスチック製弁当箱の中身に、必要以上の不信感を抱くのも不思議ではない。
さらに「みんな残してるのに、自分だけ全部食べるのは恥ずかしい」なんていうメンタリティもある。「そんなの考えすぎ」という人もいるだろうが、これはとくにこの年頃の子たちには、絶対に「大あり」だ。もしかしたら、これが一番大きなファクターかもしれないとまで、私は疑っている。もはや「食べ残しの集団心理」と呼んでもいい現象だ。
大磯町としては生徒たちの健康を考えて、「塩分を控え、細菌繁殖を抑える温度で配送している」というのだが、こんなにまで妙な集団心理が発生しやすい給食では、配慮が完全に裏目に出ている。一番の問題は、「作ってくれた人たちに感謝して、ありがたく戴く」という、食事で最も大切な要素を、行政も生徒たちもすっかり忘れてしまっているように思われることだ。私は食い物に関してはかなりストイックなのである。
私としては、そんな弁当でも気にせずきちんと完食するタイプの子(クラスで 3人しかいないらしいが)を、「見所あるやつ」と褒めたいと思う。
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コメント
>「食べ残しの集団心理」 と呼んでもいい現象だ。
確実にありますね。
ビジネス街の洋食屋での光景ですが、4人の女性が見事に同じ分量だけ定食を残してました。多分異端と思われるのを恐れているのでしょう。自分だけ完食したら恥ずかしいというより、後で陰で何を言われるか分からないという恐怖心による、つまり身を守るための知恵と言っていいかもしれません。
「食べ残しの集団心理」の根は深いと思います。
投稿: ハマッコー | 2017年9月17日 20:29
ハマッコー さん:
>ビジネス街の洋食屋での光景ですが、4人の女性が見事に同じ分量だけ定食を残してました。
うひゃあ! これは気持ち悪いです。
私だったら、完食した者の陰口叩くような人間と一緒にメシを食うだけで、この上なく不愉快です。
というか、その 4人は全員が 「完食した者の陰口叩くような人間」 で、気が合ってるんでしょうかね。
投稿: tak | 2017年9月17日 21:24