政治家に失言の絶えない土壌
麻生さんがまたまた「失言」問題を引き起こして、「不適切な表現だった」と撤回した。これ、ニュースでは「祭りにのめり込む人を精神障害者に対する差別的な言葉使い表現」なんて伝えられたが、はっきりいって「きちがい」と言ったのだろう。これについて「行きすぎた言葉狩り」と、疑問を呈する人も少なくない。
私自身としても「精神障害者に対する差別的な言葉」なんて、妙にもってまわった表現の方がより気持ち悪いと感じる。この言葉は精神障害とは別の意味で、気軽に使われるカジュアルな言葉になっている部分があるだろう。講演の行われた愛媛県西条市のお祭りの熱狂をたまたま知っているだけに、この土地の人は「お祭りきちがい」と言われても、気を悪くすることなんてないと思うし。
ただ、プライベートな場で あいつはお祭りきちがいだから」とか「野球きちがい」とか、「釣りキチ」とか言うのと、公式の場で「きちがい」という言葉を使うのとは、ちょっとわけが違うと考えざるを得ない。とくに講演会などの場では「禁句」としておく方がいいだろう。
それは言葉の深い意味とかいう話とは関係なく、「つい言っちゃったら、あとできっと面倒が起こる要注意単語」だからである。「君子危うきに近寄らず」だ。
この類いの問題に関しては、4年前に「政治家の失言という宿業」というタイトルで書いているが、これについて、ちょっとだけ視点を変えて書いてみようと思う。まあ、煎じ詰めれば同じようなことなのだが。
過去のニュースを振り返ると、政治家の「失言」の多くは、支持者を集めた「講演会」で発生するようだ。これ、講演を行う政治家のメンタリティと、政治家と支持者の関係性のアヤで生じる現象だろう。政治家はこうした「講演会」というのを、「純粋に公式な集まり」とは認識しておらず、ある意味「身内に対するサービス会」みたいなものと思っているフシがある。
そうした場では、「公式の場では危険な単語」も、つい気を許して使っちゃう。「いいじゃないか、身内同士なんだし」ってなわけだ。しかしその「身内同士」の中にも、地元マスコミとか、反対派などの「異質分子」が混じり込んでいて、「口がすべって言っちゃった」みたいなことをチクって大問題にすることがある。
問題は、政治家が「公の場」と「身内同士」を全然別のものとして区別しすぎて、その「中間地帯」の認識が薄いことである。ローカルな講演会みたいな「中間地帯」だって 公式の場」に違いないのに、なぜかチヤホヤしてくれる身内が近くに陣取って、どうでもいいところでウケたりするし、終わってからはダハダハの「交歓会」なんてのが控えていたりするので、つい「身内ばかり」と勘違いして口が滑るのだろう。
「フツーは憚りのある言い方だけど、皆さん、わかってくれるよね。何しろ仲間内なんだからさ」なんていう、都合のいい「共犯関係構築」みたいな意識でしゃべっちゃう。この「共犯関係」というのが、ローカルな政治の支持層構築に絶大なる効果を発揮するのが、また問題だ。
政治に限らずビジネスの場でも、古いタイプのオッサンほど一緒に酒飲んで尾籠な話をし、共犯関係に引きずり込みたがる。オッサンたちが大勢集まると、こうしたメンタリティが幅をきかせていて、滅多に近付きたくないほど異質な世界を現出している。
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コメント
セントラルリーグには2球団、早速規制すべき対象になるファンを抱えております。
1つは我が(っちうほどでもありませんが)が中日ドラゴンズで、「ドラ…」であります!
もう1つは、関西が誇る伝統球団、「トラ…」であります!
12球団中2球団なので、2割程度部分での使われ方です。
まぁマイノリティーという事で、多数決で敗北するんで、放っておいてください。
って言い放ちで、よろしいでしょうか。
(まぁマイノリティーなりに全国規模ですがね〜。)
投稿: 乙痴庵 | 2017年9月 4日 22:44
乙痴庵 さん:
まあ、確かに 「ヤクキチ」 とは言いませんよね。語感からしてアブなすぎだし (^o^)
投稿: tak | 2017年9月 5日 00:26