「ユビキタス」が死語になった今、気をつけること
この度の座間市の事件で 「容疑者は遺体の解体の仕方をスマホで調べた」というニュースがあった。それを聞いて「スマホには遺体の解体方法まで書いてあるのか、けしからん!」と怒った人がいたという話があるが、この「スマホで調べた」という言い方を文字通り受け取れば、ある意味もっともな話である。
実際には、スマホにそんな物騒なことが書いてあるわけではなく、「スマホでインターネットにアクセスして調べた」というのが誤解を生じない言い方である。スマホに罪はないが、言い方によってはスマホに問題があるような印象を残しかねない。
例の日馬富士の暴行問題でも、ぶち切れたきっかけは、貴ノ岩が説教をされている途中で、ついスマホに反応してしまったということのようだ。スマホがないと暮らせない人種と、ガラケーすら使いこなしていない人種の間では、こうした行き違いが生じる可能性が大いにある。
私なんか例えば講演会に参加していても、話の内容に馴染みがなかったり、ちょっと疑問を感じたりすると、すぐに尻ポケットから iPhone を取り出して調べてみないと気が済まない。当然ながらあまり目立たないようにチョコチョコっと手早く済ませるわけだが、中には堂々とやったりする人もいる。こんな場合、講演会の講師が日馬富士だったりしたら、ボコボコにされてしまうだろう。
最近は大学教授の間でも講義中のスマホに対する反応が分かれているらしい。頭の固い教授は講義中のスマホは御法度だが、「周囲に迷惑さえかけなければ、自由に使っていい」という教授もいる。ちょっと辞書を引くのと同じと位置付ければ問題ないが、そうした認識がないと話がややこしくなるわけだ。
前世紀末は「ユビキタス」という言葉がもてはやされて、「そのうち、いつでもどこでもインターネットにつながっていられる世の中になる」と言われていたが、それはあっという間に実現されてしまった。今やあまりにも当たり前すぎて、「ユビキタス」は死語になった(参照)。
ところが、それが当たり前でない人にとっては、いつまで経っても「スマホは異物」なのである。だから、当たり前のスマホをいじるにも、注意が必要なのだ。
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コメント
しばらく前、米空軍士官学校だったかで差別的な落書き(?)があったことに対して、司令官が激怒して訓示をする動画が盛んにシェアされていたのですけど、そのなかに印象的な場面が。
スマートフォンをいまここに持っている奴は出せ。出して、私が話すところを撮影せよ。そうすれば、後で何回でも見直せるだろう。
スピーチをする側が「いまスマホを使え」と呼びかけるのは初めて見ました。
投稿: 山辺響 | 2017年11月22日 12:46
山辺響 さん:
なんだか、「いい話だなあ」 と思ってしまいました。
投稿: tak | 2017年11月22日 20:38
先日、仕事先の人の名前が〇〇右さんでした。えっ、右さんてなんて読むの? 気になってしかたがありませんでした。調べたら一発で解決。答えは「すすむ」「あきら」でした。
「ユビキタス」のおかげです。
後戻りできませんね。
投稿: ハマッコー | 2017年11月23日 11:35
ハマッコー さん:
まさに。
昔はよくまあ、わからないことをいつまでも引きずって生きていられたなと、信じられない思いです。
投稿: tak | 2017年11月23日 18:20
「指、来たっすね!」と言うキーワードのテレビCMが、以前にありました。
日進月歩って言うより、ドッグイヤーが普通に使われるご時世ですから、ユビキタスの実現で達成感を持ってしまった企業は…。
なにかと「達成感」ってのは刹那に味わうもので、「成功体験」とは別物で考えなきゃならんすねぇ。
投稿: 乙痴庵 | 2017年12月 9日 15:57
乙痴庵 さん:
>なにかと「達成感」ってのは刹那に味わうもので、「成功体験」とは別物で考えなきゃならんすねぇ。
なるほど、確かに 「刹那」 ですからね ^^;)
投稿: tak | 2017年12月 9日 20:57