冬の雷、この世の不思議
マザーグースに「冬の雷、この世の不思議」という短いのがある。原詩は "Winter's thunder is the world's wonder." で、"thunder" と "wonder" で韻を踏んでいる。

こんな風に歌われるほど、冬の雷というのは珍しい現象と思われているが、私の生まれた東北日本海側では、冬に雷がよく鳴る。上の図は気象庁の「雷の観測と統計」というページから拝借しているが、東北日本海側から北陸にかけて、赤い丸印が多い。
私の生まれた酒田市は、金沢に次いで日本で 2番目に雷発生が多いということになっているらしいが、これは冬によく雷が発生することによる。12月になると「ガラガラ、ドシン!」という強烈なのがやってきて、これを「雪下ろしの雷」とか「鱈起こしの雷」などと言う。これが鳴ると、雪が本格的に降り出し、寒鱈がおいしくなる。
夏の雷は、地面が暖められて上昇気流が発生し、上空で冷やされて積乱雲になることで生じるが、冬の雷はちょっと違う。地面が暖められるのではなく、暖流の対馬海流から発生する上昇気流が、冷たい季節風で急激に冷やされて生じる。雲の位置が低いので、音がやたらと大きく感じる。そして「ドシン!」 という一発で終わりになり、いつまでも鳴り続けることは少ない気がする。
秋田地方気象台のページによると、冬の雷は「世界的には、ほかではノルウェーの西海岸、北米の五大湖から東海岸くらいでしか見られない」という珍しい現象だという(参照)。確かに 「この世の不思議」といわれるほどのもののようなのである。
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