「小正月」が「しょうしょうがつ」になってしまうんじゃないか
昨日 1月 15日は「小正月」だった。読みは「こしょうがつ」である。関東の正月は、元日から 7日までが「松の内」だが、関西ではこの日までとするところが多い。そして関西式の方が歴史的な慣例に則っている。
ところがこの「小正月」を、「しょうしょうがつ」と読み違える人がやたら多い。4年前の 1月 16日に、"「小正月」は「しょうしょうがつ」 とも読むのかと思っちゃうほどに" という記事を書いているぐらいに多いのだ。もちろん辞書を引いても「しょうしょうがつ」なんて項目はないから、「こしょうがつ」の読みが正しいのは言うまでもないのだが。
ところで 4年前の記事には、次のように書いている。
「"しょうしょうがつ"」というキーワードで検索しても、本日のところはわずか 23件しかヒットせず、しかもその中には、それまで 「しょうしょうがつ」と読み間違えていたという記述の方が多い。とりあえず一安心したくなる。
ところが、4年前に 23件だったのが、今年はなんと、354件に増えてしまっているのだ。その中にはもちろん私の記事も含まれていて、 ”「しょうしょうがつ」は誤り” であることを指摘したものも多いのだが、気がかりなのは、完全に「しょうしょうがつ」と思い込んでいるページがかなり増えていることである。
上の写真は、4年前の記事でも指摘した大阪心斎橋の「作一」という日本料理店(ミシュランの 1つ星を獲得しているらしい)のサイトの中で、季節の風物を紹介したページ(参照)の中の拡大である。もっともらしく書いてはあるのだが、「小正月(しょうしょうがつ)」 というのは、ちょっとね。あれから 4年以上経つのだから、早く修正してもらいたいものだ。
ただ、昨年暮れの "「雰囲気 — ふいんき」 問題を巡る冒険" でも書いたように、いくら間違いでも間違える人が圧倒的多数になってしまうと、そっちの方が認知されてしまうということがある。そのうち「小正月は、『しょうしょうがつ』とも言う」なんてことになってしまいかねないではないか。
何しろ「ふいんき」とは違って、「しょうしょうがつ」と入力すれば何の問題もなく「小正月」に変換されてしまうし。
【2019年 1月 22日 追記】
上述の「作一」 という店のサイトは、ようやく「小正月(こしょうがつ)」という表記に訂正されていた。それにしても長い年月がかかったものだ。
【2020年 1月 11日 追記】
上述の「2019年 1月 22日 追記」は私の早とちりのようだ。実際には次のようなことなので、決して「訂正されていた」ってわけじゃない。その点、よろしく。
- 「作一歳時記 正月 睦月(むつき)」というページには、本日の時点でも次のように書かれている。 つまり、長らく修正されずに「小正月(しょうしょうがつ)」のまま放置されている。
http://sakuichi.com/seasons/jan.html - 一方、同じ店の「正月 睦月」というページには、次のように「小正月(こしょうがつ)」とある。
http://sakuichi.com/nwp/?page_id=431
つまり「作一」という店は、同じ店の中で「しょうしょうがつ派」と「こしょうがつ派」が併存しているようなのだ。稀なケースとしかいいようがない。
願わくは、早く「しょうしょうがつ派」が改心してくれればいいのだが。
【2021年 10月 7日 追記】
本日たまたま確認してみたところ、「作一」のサイトでは上述の 2ページは削除されてしまっているようで、"Nothing Found" (見つかりません)と表示される。単に「しょうしょうがつ」を「こしょうがつ」と書き直せばいいだけの話なのに、何を取り乱してしまったんだろうね。
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コメント
「小京都」も本来は「こぎょうと」だったとか。
いずれ「しょうしょうがつ」になってしまうんでしょうね。
投稿: 重箱の隅 | 2018年1月17日 01:21
重箱の隅 さん:
「小江戸」 も 「しょうえど」 になったりしたら、ちょっと辛いですね ^^;)
投稿: tak | 2018年1月17日 17:32
柳家小さん、桂小金治。
この辺も怪しくなるのでしょうか?
投稿: 乙痴庵 | 2018年1月20日 11:52
乙痴庵 さん:
落語を 「笑点」 でしか知らないという連中が多いですからね。若い人だけかと思っていたら、70過ぎのじいさんでも同じレベルの人が結構多いと知って、びっくりです。
投稿: tak | 2018年1月20日 23:35