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2018年2月21日

韓国カーリング女子チームのややこしい事情

HUFFPOST に「韓国カーリング女子チーム、全員同じ名字 ⇒ 混乱避けるための秘策が想像を超えていた」という記事がある。

180221

韓国カーリング女子チームは、全員が「金」という名字なので "Team Kim" と呼ばれているらしい。全員の名前を挙げると、「キム・ギョンエ、キム・ヨンミ、キム・ソンヨン、キム・チョフェ、キム・ウンジョン選手」ということになるという。で、あまりややこしいので、全員に「英語名」を付けて解決しているというのである。

ところがその「英語名」というのが何とも珍妙で、「マリー」や「ナタリー」とかではなく、その日に食べた朝食がもとになっている。ざっとこんな具合だ。

キム・ウンジョンは、食べていたヨーグルトの商標から名前を取って「エニ」、キム・チョヒはチョコレートから「チョチョ」、キム・ヨンミは「パンケーキ」 となった。

キム・ソニョンは、片面だけ焼いた半熟の卵・サニーサイドアップを食べたので「サニー」。お肉が好きなキム・ギョンエは「ステーキ」になった。

ちなみに「エニ」とか「チョチョ」とかというのは、果たして「英語名」と言っていいのかなあ。私の耳には韓国人の名前にしか聞こえないが。

こんなややこしいことをするより、単純に名字でなく名前で呼べばいいじゃないかと思ったが、「いや、多分ややこしい事情があって、単純に名前で呼ぶわけにはいかないんだろう」と思い直した。試しにネットで検索してみたら、「韓国語の名前の呼び方」というページが見つかった。うぅむ、やっぱりね。

まあ、とにかくややこしくて、ざっと呼んだだけではわかりにくいのだが、まとめるとこんな感じらしい。

  • 相手が親しい、または目下の場合
    相手の名前の最後にパッチムがある場合:아(ア)を付ける
    相手の名前の最後にパッチムがない場合:야(ヤ)を付ける 

  • 相手が親しい、または目下の場合はフルネームではなく下の名前で呼ぶ

  • 야(ヤ)は名前の前には付けない

  • 相手が目上の場合はフルネームに씨(シ)を付ける

  • 役職がわかっている場合は名字に役職名で呼ぶ

とにかく、単純に「〜さん」とか「〜ちゃん」とか、名前の呼び捨てとかで呼ぶわけにいかないというのである。とくにスポーツの世界は上下関係がきびしいだろうから、呼び方だけで余計な気を使っていたら、試合の戦略に集中できなくなってしまうのかもしれない。とくにカーリングは試合中のコミュニケーションが大切だし。

とにかく(やたら「とにかく」が多いが、とにかく使いたくなってしまうのだよ)、韓国人の名前の呼び方については、ちょっと間違えたら喧嘩になってしまいかねないほどの、厳しい上下関係による「決まり」があると指摘するページがいくつも検索される。というわけで、余計な気を使わずに済む「英語(?)名」を付けたということなんだろう。

それにしても、もうちょっと気の利いた名前にしてもよかったんじゃなかろうかと思うのだがね。

それから、HUFFPOST の元記事でも混乱があるようで、1人は「キム・チョヒ」と「キム・チョフェ」の 2通りの表記があって、どっちが妥当なんだかわからない。

 

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コメント

こんばんは。
カーリング、ハマっています。観るとやめられなくなります。笑

韓国語の名前の呼び方、めんどくさいんですね。
昔むかしの中国では、「名(本名)」のほか、「字」「諱(いみな)」「号」など、幾つかの種類・用途?がありましたよね。(今もそうなのかはわかりませんが。)
「名」を呼んでいいのは親またはごく親しい師くらいで、他人がみだりに本名を呼ぶことは忌み嫌われていたという。
それと通じているのかな…と想像します。

災いや呪いを招かないために、日本でも昔むかしは同じようにしていたみたいですね。
(今もネットの世界ではそうなのか…)

投稿: yukiho | 2018年2月22日 22:20

yukiho さん:

唐土からの影響もあって、昔からそういうことなんでしょうね。日本はそうした七面倒くさい文化からさっさと脱却して、すっきりしたという印象です。

ハンドル・ネームが災いと呪い避けというのは、実はかなりポイント突いてるかも。

投稿: tak | 2018年2月23日 21:32

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