大変な強風だった
今日の朝のうちはほとんど無風状態だったのだが、昼前から急に風が強まって、さながら「春の嵐」の状態になった。4月になって風の強い日が何日か続いていたが、今日の風は断トツに強い。
近所で販売されている新築住宅の幟や旗、掲示板などはすべてなぎ倒されて地面に寝かされている。ラジオの交通情報では、首都高でも強風のため閉鎖や車線規制が相次いでるようだ。
実は私は、この風が吹き始める直前に、15日からの出張のための指定席券を買おうと、自転車で取手駅に向かっていた。片道約 9km、往復 18km と、普段なら手頃な運動になる。ところが今日は出発して 5分足らずで急に向かい風が強くなった。「ありや、こりゃどうしたことだ?」と思ったが、軽く考えてそのままペダルをこぎ続けたのが間違いのもとだった。
あまりの向かい風に、スピードメーターはママチャリ並みの 10km/h を越えたり越えなかったり。それどころか、登り坂ではほとんど止まってしまいそうになる。普段は 30分足らずで着くのだが、今日はひいひい言いながら 50分ぐらいかかった。その分、帰りは楽に時速 30km/h 出せて、20分足らずで帰って来たのだが。
帰り道は時速 30km/h 以上で走っても風をまったく感じず、耳のそばで風切り音もまったくしない。背中に吹き付ける風速と同じぐらいのスピードで走っていたからだろう。これは気持ちいいような悪いような、かなり不思議な感覚である。
ただ、これほどの風は関東では珍しいが、私の生まれた山形県の庄内地方では、それほど稀なことではなかった。とくに冬の季節風は台風並みの強さで、猛烈な地吹雪を引き起こす。
私の生まれ育った酒田市はこの季節風のおかげで冬でもそれほどの積雪にはならなかず、せいぜい 30cm ぐらいのものだった。降った雪はほとんど山際まで吹き飛ばされてしまうのである。ただ、地吹雪のせいでしょっちゅう「ホワイトアウト」してしまい、視界がほとんど効かなくなる。冬山でもないのに。
地吹雪の時に風に向かって歩くときは、上体を極端に前にかがめて歩く。そうしないと風に煽られて前に進めないし、地面がアイスバーンになっていたりすると、帆掛け船のように流されてしまう。妻が初めて冬の酒田に来た時は、はからずもこの「帆掛け船状態」になってしまった。彼女は今でも「咄嗟に身をかがめる余裕もなく、気付いた時は流されてた」と述懐する。
こんなことを言うと、冬の酒田は恐ろしいところのように聞こえるが、逆に追い風の時(つまり南東に向かって歩く時)はとても楽だ。背中から吹き付ける強風が、背もたれ付き椅子のように背後から支え押してくれるので、足を軽くちょこっちょこ動かしているだけで移動できてしまう。子どもの頃、学校から帰ってくる時はよく「風に座っているうちに家に着いた」なんて言っていた。
だから酒田で育つと、「苦あれば楽あり」という諺を、かなり身を以て実感することができる。
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