茶色に着色してあれば、アイスクリームとは思われなかった
今月 5日の「排泄物のシンボリズム」という記事で、「外国人に巻きグソの概念はあるのか調べた」という、「オモコロ」というサイトの記事について触れた。オモコロの記事では、例の「巻きグソ」の絵を見せたところ、欧米人のほとんどが「アイスクリームだろ」と答えたという結果が紹介されていたのである。
しかしそれに関しては、「ブラウンに着色でもしてあれば、また別の反応があったのだろうが……」と書いておいた。「オモコロ」の記事で使われたのは、単なるモノクロの線画で、肝心の「ブツ」も無着色で白いままだったから、「アイスクリーム」にしか見えなかったということが考えられるのである。
そして今回、”logmi" というサイトの「人間の排泄物は肥料として使用できるか?」という記事を見て、「あの絵が茶色かったら、ちゃんと『ウンコ』と思ってもらえたはず」 と確信した。
なにしろこの記事の元ネタのプレゼンを行った Hank Green さんという方の "What Happens If You Use Your Feces as Fertilizer?"(あなたの排泄物を肥料として使ったらどうなるか?)というタイトルの YouTube 動画(上の画像をクリックすると、動画がスタートする)のしょっぱなに、ちゃんと茶色に着色された絵が、"human poop"(人間のうんち)の象徴として採用されているのである。動かぬ証拠だ。いや、動画だから動いちゃうけど。
それにしても、上述の私の記事に 山辺響さんが「人糞を肥料として使うのは東アジア地域を除くと一般的ではない、と解説されていました」とコメントしてくださっていることからもうかがわれるように、西欧では、人間のウンコを肥料とすることがものすごく「意外なこと」と思われているようなのである。東アジアの人間としては、その方がよっぽど「意外」なのだが。
ちなみに、Hank Green 氏のプレゼンでも、人糞を肥料として用いるには、「病原菌と寄生虫が死んでいることを確認する必要があります」とされている。理論上では、伝統的な堆肥化のプロセスで温度が 71℃ にまで上昇し、病原菌や寄生虫の卵も死んでしまうことになっているが、実際には昔は寄生虫が大きな問題になっていたから、完全にクリアすることは困難だったようなのだ。
とはいえ、現在の技術をもってすれば、安全なバイオ肥料として使うことは充分可能なので、変な化学肥料よりはずっといいはずなのだが、最後にクリアすべきなのは、「ウンコで育てた作物を食べるなんて、やだぁ」なんていう情緒的な問題なのだろうね。その意味でも、5日の私の記事で強調した「高度なシンボライゼーション」というプロセスが必須と痛感するのである。
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