ロックが死んで、ギブソンも死にかかった?
ちょっと前からギブソンがおかしくなってるというニュースが流れていたが、ついに米国連邦破産法第11章(チャプター 11)申請ということになってしまった(参照)。チャプター 11 というのは、日本の民事再生法にあたるものらしい。
ギブソンといえば文句なしにギターの代表的ブランドだ。エレクトリック・ギターではフェンダーと、アコースティックではマーチンと並び称され、両方の分野でトップ・ブランドというのは、ギブソンしかないと言ってもいい。私は個人的にマーチンとフェンダーの方が好きだから、今回のニュースは致命的なショックではないが、やっぱりもやっとするものはある。
何が最ももやっとするかといえば、チャプター 11 申請直前のニュースで、「ロックは死んだ」なんて言われていることである。こんな具合だ(参照)。
ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンが発行するユニバーシティ・オブザーバー紙は、経営判断の間違いはさておき、ギブソンが直面する問題は、「ロックが死んだ」 ことだと指摘する。一般大衆の音楽の聴き方は大きく変わり、ロックは 30代以上の人が聴く歴史の遺物となってしまった。(中略)音楽ファンは伝説のギタリストに遭遇することもなく、彼らのように演奏したいという夢を持つこともない。
確かに 60〜80年代にかけては、ポップミュージックの中心は常にロックであり、そのロックを音楽的に牽引する楽器はギターだった。「男たるもの、ギターを弾けて当たり前」みたいな時代が、確かにあったのである。だから最近の、「若い男の子が誰もギターを弾けない」という現実に、私は「おいおい、ギターも弾けないのかよ」と、ちょっと戸惑ってしまうのである。
エリック・クラプトンのギター・ソロは、私の世代にとってはたまらなく「クール」なもので、ちょっと腕に覚えがあればコピーして演奏してみたくもなるのだが、現代の若い子にとっては、「自分でも演奏する」ということのハードルは、かなり高いものになっているようだ。そもそも自分で演奏する必要なんかなく、iPhone のイヤフォーンで聞いている方が楽である。
今や音楽は、「自分でも演奏する」ものではなく、「それに合わせて踊ってみせる」ためのものになってしまったのかもしれない。そしてこれは、私の一世代前のジャズ・ファンがロック・ファンに対して抱いた印象の延長線上にあるような気もする。
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コメント
ギブソンもいいんですが、猫も杓子も使っているし(←猫は使わんだろ猫は)、ビジュアル的にも音的にもちょっと食傷気味ですね。ダブルコイルのギターをロックに使うなら、グレッチとかギルドのほうがシャープな音色かつ低中音も豊富だし、ルックス的にもロックっぽくてかっこいいんじゃないでしょうかね。(←エレキギター屋の兄ちゃんかよ)
投稿: 辺境の黒兎男爵 | 2018年5月 5日 09:55
辺境の黒兎男爵 さん:
グレッチとはまた、知る人ぞ知るというか、あるいは誰も知らんだろうというか、チェット・アトキンスの時代というか。
ちなみに、このブランド、まだ存続してるとは知りませんでした。
ギルドとなると、アコースティック・ギターのイメージが強いですね。私としては、「そういえば、エレクトリックもあったんだ」 という感じです。
ちなみに私が 40年使い続けているのは、「タカミネ」 というブランドの国産品です。
投稿: tak | 2018年5月 5日 22:00