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2018年6月23日

「右回り/左回り」と「時計回り/反時計回り」ということについて

先日、ちょっと驚いたことがあった。数人が輪になって、順番でくじを引こうというときに、「右回り/左回り」の概念が、人によってまったく反対になってしまっていることがあると、この年になって初めて知ったのである。

180623

日本の常識では上図のように、「右回り」とはいわゆる「時計回り」のことで、「左回り」が「反時計回り」である。ところが、「右回りは反時計回り」であると主張して譲らないオッサンがその場にいた。彼は「右回りとは、自分の右側にいる人に順送りに回していくことだ」と言い張るのである。なるほど、それだと結果的に反時計回りになる。

しかし、例えば競馬場の言い習わしにしても、時計回りの中山競馬場が「右回り」で、反時計回りの東京競馬場は「左回り」と称される。そりゃそうだ。時計回りはずっと「右カーブ」 を切りながら進んでいくのだから、「右回り」と称するのが自然であり、反時計回りの東京競馬場はその逆に「左カーブ」を切りながら進むので、当然にも「左回り」と称されている。

しかし彼はあくまでも、「自分の右側にいる人に渡していくことを『右回り』と称するのが、人間の感覚的に言っても自然だ(それは、強いて言えば「右回り」じゃなくて「右回し」だろうがなあ)。競馬場のコースの言い方は、単に上から見下ろした言い方で、普通の人間の感覚じゃない」と主張して止まない。「上から見た言い方と、地面に立った人間の感覚での言い方は、違って当然」と言い張るのだ。

その時の議論で私が初めて認識したことは、人間が 10人いれば、そのうちの 1人か 2人は、「右回り」とは「自分の右側にいる人に順ぐりに渡していくこと」(つまり 「反時計回り」)と思っていて、さらにもう 1人ぐらいは 「場合によって違う言い方になってもいいじゃないか」なんて言い出すやつがいるという事実である。これは由々しき問題だ。

念のため iPhone の「大辞林」アプリを引いても、「右回り」は「時計の針と同じ方向にまわること」と出てくるし、英和/和英辞書アプリ ("The Wisdom Japanese English Dictionary")でも「右回り」を引くと "clockwise" (つまり「時計回り」のこと) と出てくる。どう見てもこれが常識というものである。

しかしその常識の通じない人が世の中にいるとわかったので、私はその時、「今後は『右回り/左回り』というアブナい言葉は使わない。もっぱら『時計回り/反時計回り』という言い方にしたい。皆さんもそうすることをオススメする」と宣言したのである。

ところがそのオッサンは、「そこまで堅苦しいこと言わなくてもいいじゃない。場合によっていろいろな解釈があっていいんだし」なんて言い出す。あきれたことに、まだわかっていない。

こんな「右か左か」というデジタルなことで「いろいろな解釈」されたんじゃ、まとまる話もまとまらなくなる。「あんたみたいな人がいるから、厳密に気をつけなきゃいけないんだよ」と言いたくなったが、言ってもどうせ通じないだろうから、ぐっと堪えた。

ちなみに技術畑の現場では、「右回り」のことを "CW"、左回りのことを "CCW" と言い習わすのがもっぱらということを、その場の話の成り行きで初めて知った。それぞれ "clockwise" と "counterclockwise" の省略形である。なるほど、これは便利だが、その言い方を知っている者同士でないと通じないのが痛恨だ。

 

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コメント

いるんですよね、こういう人。このような人に「広辞苑」とかの話をしても絶対譲らない。きっと、この世の事象全てを自分の感覚で捉えたとおりと信じて疑わずに生きてきたのでしょうね。悪いけど、余程必要性がなければ話もしたくない相手です。

投稿: K.N | 2018年6月24日 01:11

「counterclockwise」なんて、アクションヒーローの必殺技みたいで、かっちょええ。

名古屋市営地下鉄の名城線は、全国の環状鉄道の中では珍しく、「右回り・左回り」で表現してます。
だいたいは、「内回り・外回り」だと聞きます。
でも英語表記は「counterclockwise・clockwise」ですね。

投稿: 乙痴庵 | 2018年6月24日 07:38

昔、こういう上司がいましたね。何を言っても自分が正しいと信じ込んいる。人の意見には耳を貸さない。

いつかは抑え込んでワンツースリーを取ってやろうと思っていたので、チャンスが来た時に動かぬ証拠を突き付けて「これでも自分が正しいのか」と迫ったら、ばつの悪そうな顔をして話題を変えて逃げてしまいました。
間違いはさっさと認めた方が楽なのに。

こういう人は総じて仕事はできません。人が離れますからね。

投稿: ハマッコー | 2018年6月24日 14:18

K.N さん:

低次元の思い違いが結構多い人で、話していて疲れることがありますね。

投稿: tak | 2018年6月24日 23:15

乙痴庵 さん:

環状線の「内回り/外回り」は、「左側通行」 ということさえ分かっていれば、内回り = 左回り ということが理解されますが、その前提を抜きにすると、わかりにくい表現です。

ですから私は、「右回り/左回り」 と表現する方が分かりやすいと、ずっと思っていました。

しかし、今回のオッサンのような人がいると、それも誤解の元になると、初めて知った次第です。困ったもんだ。

で、結局、誤解を避けるためには 「時計回り/逆時計回り」 と言うしかないと。ああ、面倒くさい ^^;)

投稿: tak | 2018年6月24日 23:20

ハマッコー さん:

>間違いはさっさと認めた方が楽なのに。

まさにその通りですが、なかなかそうはならないのが、こうした人の常なんですよね。

「右回り = 時計回り」 というのは、「日本の常識ですよ」 と指摘すると、「あなたはそうやって、いつも独善的なことを言う」 と言われてしまいました。

独善的なのはどっちだか、じっくり教えて上げたいですね ^^;)

投稿: tak | 2018年6月24日 23:25

「上から見た言い方と、地面に立った人間の感覚での言い方は、違って当然」……う~む(笑) 地面に立った人間が、その人から見て左へ左へと回っていくのが左回り、なのだから、同じですよねぇ(笑)

内回り/外回りは、いまでも一瞬考えてしまうことがあります。

そういえば、「時計回り・反時計回りといっても、南半球では時計は反対回りですからねぇ」と言うと信じる人がたまにいます(笑) あと「南半球では太陽は西から昇る」とか。

投稿: 山辺響 | 2018年6月25日 14:24

山辺響 さん:

彼が言うには、「自分から見て右側にいる人に、次から次に 『右手でタッチするように』 回していくのを 『右回り』と言うのが、人間の感覚として自然」 なんだそうですよ。

それだと、ずっと左カーブを切りながら行くことをが 「右回り」 と呼ぶなんていう、極めて不自然なことになるんですが、それは 「上から見た場合のことで、地面に立っている人間の感覚ではない」 んだそうです。

地面に立っている人間のの感覚でも、「左カーブは左カーブ」 なんですけどね ^^;)

「内回り/外回り」 は、フツー、一瞬考えますよね。

南半球問題は、実は来年のエイプリルフール・ネタにしようとしていたのに、おじゃんになってしまいました。くぅ〜〜〜! ^^;)

投稿: tak | 2018年6月25日 18:18

こういう言葉の問題、好きです。
案の定コメント欄も盛り上がってますね(笑)

内回り・外回りは、自動車免許を取ってしばらくして、左側通行前提で考えれば区別できると気付きました。
だから18歳で都内の大学に通い始めたころは、私も山手線の方向が分かっていませんでしたよ(笑)

右回り・左回りも私はクルマで理解してますねえ。
左に曲がるときにハンドルを回す方向が左回り、と。

なんとかこれを笑い話にしてみました。

時は戦国、信濃の国は川中島、ついに武田と上杉の本隊が激突しました!
謙信「車懸りの陣をひけえ!右回りに突っ込むのじゃあ!」
やー!やー!
その時!数人だけ逆方向から・・・

ちゃんちゃん

投稿: らむね | 2018年6月26日 00:53

「南半球の時計は逆回り」は、日時計を根拠にすると説得力が増しそうです(笑) 時計が北半球・南半球で独自に発明・発達を遂げていたなら…とか考えてしまいます。

内回り/外回りで一瞬考えてしまうのは「鉄道も(クルマと同様)左側通行」という意識が弱いからのような気がします。

で、なぜその意識が弱いかというと(全然関係ないことなのだけど)左側のドアが開いたり右側のドアが開いたりするせいではないかと(?)

投稿: 山辺響 | 2018年6月26日 10:36

らむね さん:

戦国時代では 「時計回り」とかいう指示は出せませんからね ^^;)

投稿: tak | 2018年6月26日 21:21

山辺響 さん:

そういえば、本当に電車の場合、どちら側のドアが開くかは放送性がないですよね ^^;)

投稿: tak | 2018年6月26日 21:23

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