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2018年7月17日

「ユニバーサルデザインフード」 というもの

もう 1週間近く前のことになる 7月 11日、ラジオで朝から「今日は UDF の日!」なんてことを言っていた。UDF って何のことかと思っていたら、「ユニバーサルデザインフード」なんだという。「食べやすさに配慮した食品」の啓発促進のために、日本介護食品協議会という団体が制定したんだそうだ(参照)。

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「日常の食事から介護食まで幅広くお使いいただける、食べやすさに配慮した食品」を広めようという趣旨には賛成だ。それについては、何もイチャモンつけようとは思わない。ただ、食品分野に「デザイン」という言葉が適用されたことに、なんだか拭いがたい違和感を覚えてしまうのだよね。

「だってそうでしょ。あなた『食品を調理した』ことはいくらでもあるだろうけど、『食品をデザインした』って経験がありますか?」と言いたくなってしまうのである。「デザイン」という言葉は、フツーは、美術、工業、建築などの分野で用いられる。食品分野に用いると、個人的にはものすごく「据わりが悪い言葉」という印象だ。食品は ”cocking" というべきなんだろうが、それだとカタカナにすると一般的じゃないというのかなあ。

いっそ "Universal Cocking" という言葉を作って広めようというぐらいの意気込みで始めればよかったのに、既に広く行き渡った「ユニバーサルデザイン」という言葉にちょっと寄りかかってしまったのかもしれないね。残念な気がしないでもない。

あるいは、当事者たちにしてみれば、「ユニバーサルデザインフード」というのは「工業製品」という位置づけなんだろうか。日本介護食品協議会という団体の加盟企業をみると、スーパーの売り場で見かけるパッケージ食品のメーカーが多い。とすると、そうなってしまうのかなあ。

当事者のサイトをみると、「UDF の選び方」というのがあり、「食べる人のことを考えて 4区分」されているらしい。その区分というのは、「容易にかめる」「歯茎でつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」というものだそうだ。ただそれって、「デザイン」なのかなあ? そうだとしたら、「ものすごく広義のデザイン」なんだろう。

世界的には「ユニバーサルデザインフード」というと、パッケージを開けやすいデザインにしたものとか(例えば こんなの)いうイメージになってしまうと思うがなあ。まあ、日本介護食品協議会の考えでは、「パッケージにもひと工夫」とちゃんと謳ってはあるようだが。

まあ、確実に言えることは、この取り組みはどこまで行ってもドメスティックなものに留まるだろうということだ。国際的な動きにしたかったら、別の言葉を考える方がいい。せっかくのいい運動にイチャモンつけるというわけではないのだが、「言葉派」としては、つい「うぅむ」となってしまうのだよね。申し訳ないけど。

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コメント

「キャラ弁」普及の啓発活動ですかね。(冗談はさておき)

ユニバーサルデザインと言うと、やはりパッケージなどの工夫について、「開けやすい、認識しやすい。」を基調としている感があります。

食感の「創意工夫」とは、何をどうするのか?
柔らかいレベルだけなのであれば、「要柔らかい消費者型枠」を作って、柔らかい食品に囲い込むためだけの、商業テクニックってことですよね。

固いものが召し上がれない方にも、噛む楽しさや噛む音を実感できる「おせんべい」なんてものが出てくるなら、…いや、それでもユニバーサルデザインって言葉に集約されるなら、違和感マックスであります。

投稿: 乙痴庵 | 2018年7月19日 19:57

乙痴庵 さん:

>固いものが召し上がれない方にも、噛む楽しさや噛む音を実感できる「おせんべい」なんてものが出てくるなら、

それ、実現できたらヒット商品になるかも! (^o^)

投稿: tak | 2018年7月19日 20:26

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