人間、普段から笑われ慣れておくことが大切
「千日ブログ」の「気軽に怒る・叱るをして殺される日本人・韓国人が多い フィリピンでは大使館が注意喚起するほど」という記事を興味深く読んだ。
日本や韓国では上司、上役の立場にある人間が公衆の面前で気軽に部下を叱責する傾向があるが、外国でそれをやると理不尽なパワハラと受け取られ、フィリピンなどではそれが原因で日本人、韓国人の上司がフィリピン人の部下に殺されてしまうことが少なくないという。
こうしたことが生じるのは、日本や韓国では「上司や目上の人、お客様が偉すぎる」からと分析されている。「お客様は神様です」なんて言ってた国民的歌手がいたが、上司や上役も同様で、従業員や部下は逆らえない。
しかし本来、客と従業員、上司と部下は、人間として「神、法のもとに」平等なのである。だから場所をわきまえ、理を尽くして穏やかにやるべきなのだが、日本、韓国では人前でも頭ごなしに叱責する人が多い。
「千日ブログ」のこの記事には、「(日本代表の)人権人道大使という肩書の方が、国連の会議で『シャラップ!』と怒鳴りつけた」という、びっくりするような話も紹介されている。
これ、5年も前の話で、私はリアルタイムでは知らなかったことなのだが、上田秀明という元外交官が、政府代表として出席していた国連拷問禁止委員会という会議で、信じられないブチ切れ方をしてしまったようなのである。
コトの経緯を手短に記すと、「日本の被疑者取調べには弁護人の立ち合いがない」などとして、アフリカ・モーリシャスの委員から、「日本の刑事司法は中世的」と非難された。これに対して上田氏は、「日本はこの分野では世界で最も先進的だ」と開き直り、会場の失笑(?)を買った直後に「笑うな! なぜ笑うんだ」と叫び、「シャラップ、シャラップ!」と 2度繰り返したということになっている。
この経緯が YouTube に公開されており(上の動画参照)、それを見ると何よりまず、当時は仮にも外交官だったはずの上田氏の、英語の下手さ加減に驚かずにはいられない。この人、Wikipedia によると「1969年(昭和44年) - ハーバード大学大学院卒業」ということになっている(参照)が、この程度の英語では、友達できなかったろうなと思うほかない。
で、いきさつとしては、Sora News によれば、モーリシャスの委員からは、日本の刑事取り調べは “medieval” (「中世的」とか「古くさい」とかいう意味ね、念のため)という単語で批判されたもののようだ(参照)。上に貼っておいたビデオによると、上田氏はそれに対して "Japan is not in the middle age." と言っている。
これ、"the Middle Ages" と複数形で言えば 「中世」 という意味になるが、単数形で言っているので、「日本は中年じゃない」と聞こえちゃう。私としても初めは 「(自分は中年のオッサンだけど)、日本はそうじゃないからね」というジョークをかましたんだと思ったよ。こういう場合は、お付き合いでも笑ってあげるのがマナーでしょ。
ところが当人としては「もろマジ」だったようで、会場に笑いが走るといきなりブチ切れて、”Don't lagh! Why you are laghing?" と怒鳴る。仮にも外交官なら "Why are you laghing?" と言って欲しかったが、なにしろ洒落の通じない人だから、頭の中がぶっ飛んじゃったんだろうね。
で、"Shut up, shut up!" (これ、「黙りやがれ!」的なニュアンスね)と 2度繰り返すと、さすがに会場は凍り付いてしまう。そしてその後に "We are one of the most advanced country in this field, of course. That is our proud." なんて口走る。この英語も初歩的な間違いだらけだが、面倒だからくどくど書かない。
というわけで、日本の「お偉方」 の中には、とにかく周りにペコペコされないと気が済まない人が少なからず存在するってことだ。こんなタイプの人が、自分の意に反して笑われちゃったりすると、突然トチ狂ってしまいやすい。
人間、普段から笑われ慣れておくことが大切なのだね。
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コメント
「受容、中庸、寛容、凡庸。」
とあるセミナーで、心に残った言葉です。
曰く、懐の深さ、「人としての器」に寄与する尺度と言うことだそうです。
なかなか、そうは行かんのですねぇ。
投稿: 乙痴庵 | 2018年7月 8日 09:50
乙痴庵 さん:
「受容、中庸、寛容、凡庸」
うぅむ、この4点セットは深いなあ。
私は 「面妖、隔靴掻痒」 の 2点セット程度のレベルです ^^;)
投稿: tak | 2018年7月 8日 15:34