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2018年7月24日

東京の夏が 「昔より断然暑い」 ことを示すヒートマップ

東洋経済 Online に、"東京の夏が「昔より断然暑い」決定的な裏づけ -- 過去140年の日別平均気温をビジュアル化" という記事がある。圧巻なのは、下に示した「ヒートマップ」(クリックで拡大表示される) で、まさに最近の夏の暑さは昔の比じゃないことがいやでもわかる。

Temperature

この「ヒートマップ」は東洋経済編集部の荻原和樹さんの作成したもので、記事中では実際のマップの紹介に先立ち、次のように述べられている。

気象庁が今年 6月に公表した「ヒートアイランド監視報告2017」によると、過去 100年間で日本の気温は着実に上がってきた。その中でも特に温暖化の傾向が強いのが東京をはじめとする都市部だ。100年前と比べると、東京の年間平均気温は 3.2度上昇した。天候に関するニュースでは夏の最高気温が話題になることが多いが、上がり幅は夏よりも冬、最高気温よりも最低気温の方が大きい

「100年前と比べると、東京の年間平均気温は 3.2度上昇した」というのはデータの語る客観的な事実であり、「最近の夏は、昔よりずっと暑い」というのは、単なる「気のせい」ではないことがわかる。さらに、体感的にはあまり気付かれていないが、実は冬の季節の温暖化の方が著しいらしい。

作成されたヒートマップは、6月から 9月にかけての夏の暑さを「見える化」していて、その見方は、元記事に詳しく出ているが、要するに縦軸が年、横軸が月(6月から 9月)を表し、下になるほど現代に近付く。そして 1日は小さな四角で区切られた枡だ。色が赤っぽいほどその日の平均気温が高かったことを示している。なかなかの労作である。

一目瞭然なのが、1920年代から東京の気温は上がり始めていて、とくに 1960年代の高度成長期の頃から赤の部分(つまり気温の高かった日)の増加が目立つことだ。1990年代以後はさらに、赤の部分の横の広がりも目立つ。つまり夏の早い時期から本格的に暑くなり、しかも残暑が長引いているということだ。

このマップでは、赤い色は「1日の平均気温が 30度以上の日」を示している。決して「最高気温」ではなく「平均気温」なので、最高気温でいえば 35度以上の「猛暑日」というのもかなり多く出現しているはずである。

私の生まれ育った山形県の庄内地方は、1970年代以前は夏でも 30度になる日は珍しかった。家の中の寒暖計ではギリギリ 30度に達していても、測候所発表の最高気温は 28〜29度ぐらいのものだった。たまに「本日の酒田の最高気温は 30度に達しました」なんていうニュースを聞くと、なんとなく嬉しい気分にさえなっていたものである。

大学に入って上京した 1971年は、このヒートマップで見ると結構暑い夏だったようで、日中は喫茶店に逃げ込んでいた。それでもあの頃は最高気温が高くても 32〜33度ぐらいのもので、夜になれば多少は涼しくなり、最低気温が 25度以上の熱帯夜は少なかったから、エアコンなしどころか、扇風機もないアパートでもなんとか眠れたのである。「今は昔の物語」だ。

ネット上では、「地球は過去 2年間、寒冷化の傾向を示している」という指摘もあり、確かにこのヒートマップもそれを示しているように見えなくもない。しかし少なくとも、最近までは「温暖化」以外の何ものでもなかったわけだ。そしてさらに「寒冷化」という要素も生じているとしたら、要するに「極端化」ということになるんじゃなかろうか。住みにくい気候であることに間違いはない。

ちなみに私の田舎も、今では夏の最高気温が当たり前のように 30度を超える日が多くなっている。

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