架空請求葉書というもの
読売新聞に「被災地にも不審はがき多数、被害防止へ緊急対策」という記事がある。架空請求に関する相談が、今回の西日本豪雨の被災地でも増えているというのだ。私にもほんのたまに届くことがあり、11年前に初めて届いた時は、「ついに我が家にも架空請求葉書が」というタイトルで、ブログの材料にもしてしまった。
それにしてもずっと不思議に思っていたのは、メール(電子メールのことね。念のため)ならほとんど費用がかからずにいくらでも出せるのに、どうしてまた、1通につき 62円もかかってしまう葉書を使うのだろうということだ。1,000通出したら 62,000円かかってしまうじゃないか。
ところが今回の読売新聞の記事で、この疑問が解けた。「実際に金銭を支払った被害額は平均 44万円で、計13億円に達した」とある。これなら 1,000通で 1人(確率 0.1%)でもひっかかれば、平均 30万円以上の「黒字」 が出る。
消費者庁によると、「架空請求に関する相談は 2017年度、約 20万件と前年度の 2倍以上に急増。メールではなくはがきを用いた手口が半数近くを占めた」というのだから、相談件数に関していえばメールに関するものも葉書に関するものも、ほぼ同数のようだ。しかし個人的印象では、メールが圧倒的に多い。架空請求メールは毎月 2〜3通は来るが、葉書は 4〜5年に一度ぐらいのものだ。
ということは、架空請求メールのほとんどは順当に無視されているが、葉書によるものは相談に至る割合が格段に高いということになる。言い換えれば、葉書による架空請求はシリアスに受け取られる割合がものすごく高いということだ。
メールが一般的になったとはいえ、高年齢層を中心にメールを使わない人たちもまだまだ存在する。そして、こうした問題に関するリテラシーはメール・ユーザーの方が平均的に多少は高いだろうから、騙される確率は低い。となると、比較的「打率」の高い葉書は、騙す側にとってはとても魅力的なメディアなのだろう。
先日は、尾木ママこと尾木直樹氏(教育評論家)が、ネットで振込詐欺にあったというニュースが報じられた。自身のブログに「振り込め詐欺なんかに絶対ひかからない自信あったのにーー 先ほど 見事に PC のハッキング詐欺にやられたのです!」と書き込んだものだ。(参照)
「絶対にひっかからない自信あったのに」という人が、ネット上でひっかかってしまうぐらいなのだから、こうした分野のリテラシーが低い老人に一見もっともらしい葉書が届いたら、結構な確率で騙されるだろう。なるほど、1通に 62円出してでも葉書を使いたくなるわけだ。
良きにつけ悪しきにつけ、初期投資をケチってはいけないということなのだね。
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コメント
ウチには来ない…。
来て欲しいのに!
晒して遊ぶ楽しみがない。
迷惑メールの架空請求はいくらでもありますが、最近パンチの効いた迷惑メールがなくて…。
投稿: 乙痴庵 | 2018年7月31日 13:00
乙痴庵 さん:
ウチには 2度も来たってことは、出す方も的を絞っているのかもしれません。
(私も 「前期高齢者」 のはしくれなので ^^;)
投稿: tak | 2018年7月31日 17:12