「#古典絶景」 という、よくわからない企画
iPhone でお世話になっているお天気情報アプリ「ウェザーニュースタッチ」から「お知らせ」が届いていて、それを読んでみると三菱自動車とのコラボで「#古典絶景」というプロジェクトを展開中だという。
一見した限りでは、日本文学に詠まれた絶景ポイントに出かけて写真を撮り、「#古典絶景」で Twitter や Instagram に投稿してみようというプロジェクトのように思われる。ところが、このハッシュタグで検索してみても実際の画像投稿はかなり低調で、どうみてもまともなスケールに達していない。
念のため「#古典絶景 NAVI」のサイトに飛んで詳しい内容をみると、こんなことが書いてある。
和歌や俳句で詠まれた絶景スポットを対象に、その風景をできるだけ正確に予測することを目的とした新システムである。
国文学者と協力し、100万種類以上の古典文学作品の中から絶景が詠まれた作品を抽出。その絶景が見られる気象条件を、気象学者と定義した。
また、気象情報会社と協力し、地形データと、気温、湿度、風力、風向き、気圧、月齢アルゴリズムなどの気象データをリアルタイムで解析、日本全国の古典絶景が見られる条件をシミュレートしたうえで、絶景出現確率を弾き出す。
さらに、出発地点を入力すると、そこから一番近い古典絶景までクルマでいくルートをナビゲートする。
はっきり言って悪文で、読むだけで面倒くさくなってしまう内容でもある。古典文学、地理、気象、ドライブという 4つの分野に特別な関心でもないと、まともには付き合いきれない案件としか思われない。私自身、これらの 4つの分野は「嫌いではない」というレベルではあるが、それでも「じゃあ、一丁乗っかってみるか」という気にはさせられない。
要するに「気張りすぎ企画」の典型例だと思う。「私はそこまで暇じゃないけど、お好きな人は、どうぞお楽しみください。ご苦労様」程度のもので、もっとはっきり言わせてもらえば、「かなりスベっちゃってるよね」ということだ。
そもそもウェザーニュースからの「お知らせ」の冒頭は上に掲げた写真だが、「和歌の絶景を堪能しよう」というタイトルに「芭蕉も感動した絶景を見て……」が続くのは、和歌と俳句の区別が付いてないとしか思われない。さらに「#古典絶景」と言いながら、戦後まで生きた「近代俳句」の杉田久女の句がフィーチャーされている。
この統一感のなさは、能書きがご大層なだけで焦点のはっきりしない企画のムードを象徴しているというほかない。広告代理店の軽薄ムード溢れる企画会議の様子が思い浮かんで、「まともに付き合うほどのものじゃないな」と思ってしまうのもしょうがないよね。悪いけど。
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コメント
よし!
「神奈川沖浪裏!」
さあ案内しろ。
投稿: 乙痴庵 | 2018年9月28日 12:46
…。
和歌も俳句も文学も、1個もかすらんがや。
投稿: 乙痴庵 | 2018年9月28日 13:40
乙痴庵 さん:
わはは
「危険」 と判断されたんでしょうかね (^o^)
あるいは、絵には描かれたけど、歌や句になってないから無視なのかな。
投稿: tak | 2018年9月28日 19:10
本文とは全く関係ありませんが、晴れ男のtakさんがお天気アプリを使ってることにびっくり!(笑)
投稿: もりけん | 2018年9月30日 02:49
もりけん さん:
勝負の日には晴れるってことで、私の行くところ必ず雨は降らないってわけじゃありませんので (^o^)
ただ、本日も朝から晩まで仕事で外出していて、念のため折りたたみでない大きな傘を持参しましたが、結局ささずに済みました。
投稿: tak | 2018年9月30日 20:13