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2018年9月10日

「消すやつ」でいいよね

1ヶ月近くも前の話で恐縮だが、emi さんのブログに「消すやつ」という記事がある。「板書を消すやつ」を何と称するかというお話だ。

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日本語では長らく「黒板消し」と言い習わしてきたが、最近はホワイトボードが多くなったので、その名称が面倒くさいことになっている。「黒板消し」をそのまま踏襲する人も結構多いが、それじゃおかしいってわけで、「白板消し」と言ったり「ホワイトボード消し」と言ったり「ボード消し」と言ったり、はたまた「クリーナー」なんて言う人もいたりする。

私はといえば、その辺の使い分けがたまらなく面倒なので、昔から単に「消すやつ」で通してきた。板書していて間違えた時なんか、「あれ、『消すやつ』どこ?」 なんてつぶやいたりする。黒板を消すジェスチャーをしながら「消すやつ」と言えば、一目瞭然だ。そして emi さんのブログ記事のタイトルがまさに「消すやつ」だったので、何となく嬉しくなってしまったわけだ。

この「消すやつ」というのを、まんま英語に直訳してしまうと "eraser" となって、和英辞書的には「消しゴム」の英訳としてこの言葉が表示されることが多い。一節には、英国では "rubber"(「ゴム」 のことね)と呼ぶ人が多いらしいが、まあ、米国では大抵 "eraser"(イレイサー)だよね。

で、ここからが emi さんの「思わず膝打つ」指摘なのだが、"事の発端は、「消しゴム」だろうな。/あそこで 「ゴム」方面に行ってしまったことが、後々こうして厄介な問題を生んだ。/なんでそんなに素材を言いたくなっちゃったかなぁ" ということになる。なるほど、英語なら 「消しゴム」だろうが「黒板消し」だろうが「ホワイトボード消し」だろうが、単純に "eraser" ——「消すやつ」で済んで、面倒がないのだ。

英国では「消しゴム」が "rubber" なら、板書を消すやつは "felt" だったりするのかなんて思ったが、調べてみるとやっぱり "rubber" でいいんだそうだ。そうか "rub" という動詞は 「こする」ってことで、そこから「ゴム」が "rubber" になったんだったよね。だから、黒板消しも "rubber"(こするやつ)でいいのか。

いずれにしても、日本でもこの「消すやつ」を非公認のポジションから解放して、広く認証してしまえばありがたいよね。私なんかも堂々と胸を張って使えるようになる。

さらにここからが私の庄内生まれの血が騒ぎ出すところなのだが、本当は「消すやつ」なんて言うより「消すな」(「な」 にビミョーなアクセントをおく)と言う方が、個人的にはしっくりくるのである。これは庄内弁で「消すモノ」という意味で、"Don't erase." (消してはいけない) ではない。

この「な」は、とても汎用性がある。「あんめな」と言えば「甘いモノ」ということで、主に飴ちゃんのことだし、「はっこな」と言えば「冷たい(ひやっこい)モノ」 ということで、夏に嬉しいアイスクリームとか、かき氷とか冷たいお茶などを指す。

極めると「あだまあっちぇな」なんて用例があり、「頭の熱いやつ」ということだ。ただ、庄内弁の「頭が熱い」は、ハードボイルドではなく、常にトンチンカンな人のことを指す。「冷静」の反対だが、中途半端に「ほろアツい」のだね。

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コメント

始めてコメントいたします。
毎日楽しませていただいております。

類似コメントがあるかもしれませんが
鹿児島では黒板消し「ラーフル」(ポルトガル語由来)と呼びます。
「消すやつ」が庄内で「消すな」になるのですね。
関西で「消すの」
広島で「消すのん」に活用しますね。

投稿: まるまま | 2018年9月10日 17:08

かといって「ホワイトイレイサー」などというとんでもない和製英語を作ったりしたらtakさんの逆鱗に触れますしねw

イレイサー=消しゴム、と短絡的に暗記していた私の蒙を啓いてくれたのは、アーノルド・シュワルツェネッガー主演『イレイサー』だったのを思い出しました。
「始末屋」みたいなイメージでしょうか。
(シュワちゃんの片仮名表記も相当微妙です)

投稿: らむね | 2018年9月10日 20:20

まるまま さん:

「ラーフル」、そう言えば聞いたことがあります。これ、迷わずに済んで便利ですね。

「消すな」 は、「消すの」 「消すのん」 と、ほぼ同じ発想ですね (^o^)

投稿: tak | 2018年9月10日 22:37

らむね さん:

「イレイサー」、まさに 「消しちゃうやつ」 で、「殺し屋」 より確かに「始末屋」 がしっくりきますね。

投稿: tak | 2018年9月10日 22:39

「〜な」に引っかかっちゃったので…。

沢木耕太郎の「深夜特急」のドラマ版で見たのですが、アジアのアヤシイ日本語を使う方が、「こっちへ来るな!」と手招きをする描写を思い出しました。
同様に、他人のクツが揃っている小上がり(みたいな)場所を指差して、「クツを脱ぐな!」と主人公が困惑するエピソードです。

きっと源流が違うとは思いますが、なんか「あんめぇな」で思い出しちゃったので、一筆啓上。

投稿: 乙痴庵 | 2018年9月11日 16:21

乙痴庵 さん:

そりゃ、困惑モノですね。「こっちへ来るんだよな」 ってココロなんでしょうね (^o^)

投稿: tak | 2018年9月11日 17:15

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