本を読まないとバカになるか?
東北大学加齢研究所の川島隆太教授の指導による研究で、"「本の読み方」で学力は決まる" という結論が得られたのだそうだ。昔から「本を読む子は頭がいい」と言われていることを、最新脳科学による実証的な研究で探ってみたものらしい。(参照)
Diamond Online の記事によると、結論的には本ばかり長時間読んでいてもだめなのだそうだ。その理由は「勉強時間や睡眠時間を削ることになるから」という、言われてみれば当たり前の話である。最も成績がいいのは、小学生、中学生ともに最も 1日に「1~2時間」読書をする子どもたちであるということだ。
おもしろいのは、勉強をしても読書習慣のない子は成績が上がらないというデータである。「勉強 30分~2時間・読書 10~30分」群の子ども達の平均偏差値は「勉強 2時間・読書全くしない」群の子ども達の平均偏差値を超えるのだそうだ。
こんな研究成果が発表されてしまうと、「本ばかり読んでないで、勉強しなさい」と言い続けてきた世の教育ママたちは、掌を返したように「勉強ばかりしてないで、本も読みなさい」なんてことを言い出すんだろうなあ。しかし下手に押しつけると、逆に読書嫌いになってしまいそうだ。
「本の虫」みたいな人間というのは、子どもの頃は「ウチの子は本ばかり読んで、ちっとも勉強しなくて困る」なんて言われていたのが多い。そりゃそうだ。読書の楽しみを知ってしまったら、勉強なんてしてる隙がない。ただ、問題は単に本を読むというだけでなく、「どのように本と向き合うか」なのだと思う。
単に活字を追うだけじゃだめて゛、きちんと考えながら読むことで脳細胞が刺激されるんだろう。私としては、学校の成績は良かったけど、話題が狭くて話していてもちっとも面白くないやつよりも、成績はそこそこでも、いろいろな話題にきちんと自分の考えを織り込めるやつの方が、付き合っていてずっとおもしろいと思う。
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コメント
この手の話題、塾講師の大好物ですw
保護者の相談としては「先生、うちの子、全然本を読まないんです」が圧倒的で、まれに「うちの子は本ばっかり読んで・・・」があります。
時々『中学生の1か月の読書量は3.5冊云々』などの調査を目にしますが、まさに数字のマジックですね。あれは(0冊×35人+30冊×5人)÷40人など、恐ろしいまでの偏りによってできているに違いないですw 最近はスマホがあるので、暇つぶし代わりに月に数冊読むライトユーザーがとても減ったと思います。
ただ、そういう相談をしてくる保護者は、大抵かなり思い詰めていますから私としては気を遣います。よくマラソンに例えるんです。大人になってマラソンを趣味でする人が一定数いる、多くの人はわざわざ疲れることなんてしたくないと思う、それを健康のためだからと無理やりさせることになにか意味がありますか、子供にとっての読書も同じですよ、と。
そしてこれは言いませんが「1日に30分、月に5冊くらいの教育的に理想的な分量を、(ライトノベルではなく)森鴎外や宮沢賢治や養老孟司や池上彰などのこれまた教育的に理想的な内容を読む。そんな子供は逆に気持ち悪い」と。
まあ東大に行くような子は違うかもしれませんが、ほとんどの子供にとって「一定量の活字を読む習慣がある」ということだけで十分です。以前こんなやり取りが。
母「先生、うちの子(中3)、読書感想文に『こゝろ』を選んだんです」
私「(その子の読解力を知っているので)うーん、難しいと思いますがねえ。あ、でも以前○○(だいぶ軽いケータイ小説)読んだんですよね。じゃあなんとかなるんじゃないですか。読書は背伸びも良いですよ」
・・・1か月後・・・
母「もうすぐ新学期なのに3ページしか読んでないんです」
私「えっ、なんでそんなに時間が」
母「あの○○、うちの子3カ月かかったんです・・・」
ちゃんちゃん。
投稿: らむね | 2018年9月20日 00:17
本を読むこと。
集中力があるかないか、興味を掘り下げる探究心があるかないか。
自ずと勉強と言うか学習の要領を、読書で得てるんでしょうね。
昨日のラジオパーソナリティの受け売りです。
投稿: 乙痴庵 | 2018年9月20日 08:06
らむね さん:
漱石だったら、まずは定番の 『坊ちゃん』 から入ればよかったのにね。『猫』 は、冒頭の雰囲気でごまかされがちですが、案外手強いです。
「ライトノベル」 ってジャンル、実はよくわかりません。その類いの内容なら、テレビドラマで十分なんじゃないかと、偏見たっぷりに思っています。
1日に 30分、「教育的に理想的な」 本を読む子って、確かに気持ちが悪いですね (^o^)
投稿: tak | 2018年9月20日 13:56
乙痴庵 さん:
「勉強と言うか学習の要領を、読書で得てる」 というのは、確かにその通りでしょうね。
「勉強」 と 「読書」 をまったく別のモノと思う方がおかしいのかもしれません。
投稿: tak | 2018年9月20日 13:57
takさん
「猫」は小学生の時読みまして(今思えばおそらく読書感想文用に)、抱腹絶倒した思い出があります。鼻子夫人のくだりとか最高です。親も、なぜうちの子は文豪夏目漱石を読んで爆笑しているのかと不思議だったことでしょうw
ライトノベルはよく「活字で読む漫画」と称されます。「ワンピース」が内容そのままに活字化したようなものと捉えればよいかと。まあ「純文学とは何か」に明確な答えが無いように、定義はあいまいですね。
ライトノベルとそうでない小説の境目あたりの、西尾維新や有川浩などは大人が読んでも面白いかと思います。あくまでエンタメとしてですが。
投稿: らむね | 2018年9月21日 00:57
らむね さん:
『猫』 を小学生時代に読んで、読書感想文を書くなんて、すごいじゃないですか。
ライトノベルに関しては、私は漫画の『ワンピース』 がつまらなく感じられる感性ですので、距離を置いてる方がいいかも (^o^)
投稿: tak | 2018年9月21日 07:58
音楽・美術・体育などを除き、いわゆる「学力」「成績」が云々されるような教科については、そのほとんどの部分が「言葉(文章)で説明されたことを理解できるか」に尽きるので、その力を磨いておけば勉強でも楽ができるのは当然だと思います。文章を読む速さが上がるだけでも、だいぶ違います(他の生徒が1回読むあいだに3回読めれば、そりゃ理解は深まるし覚えられる)。そしてたぶん、その力を磨くには、教科書を読むだけでは足りないのかな、と。
絵本→児童文学→ライトノベル→一般の小説(を含む書籍全般)、でいいんじゃないですかね。私が小学校高学年~中学入学の頃はまだライトノベルの類はあまりなかった(と思う)ので、星新一のショートショートとか、取っつきやすいSFが大人の本への足掛かりでした。
ただ、らむねさんが書いていることとも重なりますが、無理に読ませようと思っても恐らく逆効果で、要は、親が本をよく読んでいて「本を読むことは楽しいことだ」という雰囲気を出せるかどうかがポイントなのだろうと思います。
投稿: 山辺響 | 2018年9月21日 10:40
山辺響 さん:
いわゆる 「学力」 と 「文章理解力」 は密接に関係しているというのは、おっしゃる通りですね。
ただ高校程度の理数系となると、「文章理解力」 よりも、ある意味 「感覚的なもの」 が重要になるんじゃないかと思っています。文章を読むみたいなアプローチは、下手すると、問題を解く邪魔になってしまうんじゃないかという印象すらもっています。
投稿: tak | 2018年9月21日 20:22