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2018年9月11日

機内サービスで「ビール は「ミルク」と間違えられやすい

40年近くも前のことだが、当時務めていた会社の上司とヨーロッパに出張した時、その上司がルフトハンザの機内サービスで「ビール」を注文したのに、「ミルク」を出されたことがある。

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彼は日本国内でこんな間違いをされたら、確実に「馬鹿にしとるんかい!」と激怒するタイプだったが、ドイツ人スチュワーデスだらけのルフトハンザ機内では一言も文句を言わず、おとなしくミルクを啜っていた。日本国内から一歩出ると、借りてきた猫になってしまうオッサンは結構多い。

そして実は、「機内サービスでのビールとミルクの聞き違い」は、かなりよくあることらしい。ググってみると、結構な数のページがヒットして、複数のスチュワーデスのブログにも、「聞き違いの定番」として書かれていたりする(参照 1参照 2)。

日本人スチュワーデスは聞き違いの理由として、「ビールください (ビー ルク ダサイ)」と「ミルクください(ミ ルクク ダサイ)」が紛らわしいなんて書いたりしている。しかし外国人スチュワーデスには "Beer, please." みたいに言う("please" を付けることを知らないぶっきらぼうな日本人も多い)ので、聞き違いの理由は別にある。そしてその理由は、私には前述の 40年近く前の段階で既にわかっていた。

その上司は英語がまったく苦手で、自信なげに恐る恐る小声で「ビア」と言う。すると「ビ」が明確な破裂音にならず、常にエンジン音の響く機内では、まろやかな「ミ」に聞こえてしまう。さらにまともに口を開かずボソボソ言うので、当人は「ビア」と伝えたつもりが、「ミウ」に近い音としてしか聞こえないのだ。

そして "milk" をカタカナ英語の「ミルク」 でない、ちゃんとした英語発音で言うと、最後の "k" は普段は「聞こえない音」になりがちなので、日本人の耳には「ミウ」みたいな音にこえる。 (最後の子音はフランス語ほどじゃないがあまり明確には発音されず、後に母音が続くとリエゾンされることが多い)

つまり英語の苦手な日本人のオッサンが恐る恐る言う「ビア」は、客観的にはほとんど「ミウ」という音に聞こえてしまい、その音を欧米人スチュワーデスが "milk" に脳内変換してしまうのは、ほとんど自動的なメカニズムなのだよ。あまり自然なプロセスだから、聞き直そうという発想すら浮かばない。

欧米人にカタカナ英語の「ミルク」は通じず、「ビア」の言いそこないの「ミウ」の方がずっと "milk" と思われるのは、「アップル」と言っても全然通じなくて、「アボゥ」と言えば "Apple" に聞こえるのと同じようなことだ。彼らはカタカナで音を聞くカラダになってないからね。

ちなみにスチュワーデスのブログを検索しても、こうした「聞き違いのメカニズム」を的確に指摘しているページは見当たらない。私の知る限り、日本人スチュワーデスってほぼ全員が「カタカナ英語」(あるいはもっとスゴい「ひらがな英語」)だから、このことに気付かないのも無理もないのだろうね。

結論。日本人のオッサンは妙に緊張して恐る恐る「ビア」なんていうより、思いっきり開き直って「ビール!!」という方が、通じる可能性はずっと高い。

【付記】

ここでは、あえて political correctness を無視して「スチュワーデス」と書かせていただいた。何しろ 40年前のエピソードから入ったので。

というわけで、「CA と言うべきでは」 みたいなコメントは不要なのでよろしく。(CA って和製英語だし)

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