閉店、撤退の続く百貨店業界
三越伊勢丹ホールディングスが、不振店舗の伊勢丹相模原店、伊勢丹府中店、新潟三越の3店舗を閉店すると発表した。今年度初めの決算発表の席での 「構造改革の主なものは 2017年度の段階で終えた」、「店舗閉鎖は当面ない」という社長発言が、あっという間に覆されたわけだ(参照)。
好意的(?)に見れば今回の 3店舗の閉店は、「構造改革の主なもの」になんか入らない、枝葉末節の話ということなのかもしれない。まあ、とにかく 2011年に三越と伊勢丹が経営統合したことで、この会社の店舗が日本中に多すぎるという結果になったので、店舗閉鎖が連続するのは当然の成り行きだ。
いくらなんでも、不採算店のお守りばかりしているわけにいかないからね。私はずいぶん前から「百貨店の歴史的使命は既に終わった」とみていて、昨年 3月には「百貨店という業態は、既にオワコン」という記事を書いている。
新宿伊勢丹や銀座三越などの都心店は曲がりなりにも「高級店」という差別化ができており、しかもいわゆる「インバウンド需要」にも支えられて堅調に推移しているが、他の地方都市では差別化もできないし、顧客もいないのだから、赤字を垂れ流すしかない。
そもそも、今どきファッションに大金を使う客なんて、そんなに多くない。新潟三越のような店が存続していたのは、「一般庶民」と言われる層がボーナスが出たら一張羅の背広や「およそ行き」を、百貨店の売り場で買っていたいう、高度成長期の名残でしかない。
その「一般庶民」が百貨店で服を買わなくなり、しかもその層が薄くなる一方でもあるのだから、従来の百貨店の商売が存続できるわけがないのだ。試しにいわゆる地方百貨店の売り場に入ってみればそれがよくわかる。フロアは閑散としていて、客の数より店員の数の方が多い。
そして大都市では、アジアからの観光客が従来の「一般庶民」の役割を果たしている。
新宿伊勢丹は一時、「メンズ・ファッション・マーチャンダイジングのお手本」とあがめ奉られていた。しかし私は 「後背地に一大ホストクラブ地帯があるのだから、高級メンズ・スーツが売れるのは当たり前じゃん」と思っていて、上述の昨年 3月の記事に次のように書いている。
フツーじゃない男たちを相手に磨いたマーチャンダイジング手法を、フツーの都市の百貨店に適用したところで、通用しないのである。どうしてそこに気付かないかなあと、私はずっと不思議だった。甘い夢は、よくよくダメになるまで見続けたいもののようなのだ。
ようやく気付いた時には、閉店するしか選択肢がなかったというわけである。百貨店の数は、今の 3割ぐらいでちょうといい。人口 100万人以上の大都市にポツポツあればいいのである。人口がたかだか 30〜40万人程度の商圏では支えきれない。
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コメント
単純なことですが、通販番組だけでなくアマゾンやらメルカリやらふるさと納税制度やら、電話したりクリックしたりで「居ながら買い物」が、世間では普通のことと。(アタクシはやったことない)
ファストファッションが若きはユニクロ?そうでない方はしまむら?で、「オメカシしてデパート」っちう構図は平成になる頃に終焉を迎えていますよね。(ユニクロは入る服がないしまむらは気に入る服がない)
まぁデパートっちうところは、店舗販売よりも外商さんのお伺い販売が本流と聞いたことがあります。
その外商さんの商品が、特別企画とかで、ラジオショッピング(店舗では販売いたしません!特別企画のお値引きでご提供いたします!)に登場しているってことは、やっぱりデパートはオワコンの一途を辿っているんでしょうねぇ。
でもね。
もう15年になりますか、松坂屋(名古屋の老舗デパート)で、「薄い!軽い!そんなにあったかくなくていいからビヤ樽体型が収まるコート!」ってキーワードを伝えただけで、色合い風合いシルエットが好みにドンピシャのコート、スッと出てくるところは、さすが百貨店!と思いましたね。(清水の舞台から飛び降りてはちまんえん即決)
未だに、虫食い穴を気にせず、冬場には活用中です。
投稿: 乙痴庵 | 2018年10月 2日 17:43
乙痴庵 さん:
大都市の老舗は、まだ大丈夫ってことですかね。
でも、15年前?
……いや、たったの 15年前...... とはいえ、一廻り以上前......
ここは深く考えないでおきましょう (^o^)
投稿: tak | 2018年10月 2日 19:23
一廻り以上…。
そりゃ百貨店も先細る訳だ…。
なんちゃって…。
投稿: 乙痴庵 | 2018年10月 2日 20:45
乙痴庵 さん:
コートといえば、あの三陽商会が希望退職を募ってるようで。
ライセンスブランドの 「バーバリー」を失ったとたんに、まともに売るモノがなくなっちゃったわけです。
投稿: tak | 2018年10月 3日 07:13