「サイレンスタクシー」 という取り組み
京都の都タクシーというタクシー会社が、昨年から「サイレンスタクシー」という試みを実施しているのだそうだ。運転手から客に必要以外の話しかけをすることを控えているという。下は車内の表示だ。
先月、九州の某都市に出張した際にタクシーに乗ると、カーラジオで沖縄県知事選に絡めて 「米軍基地の辺野古移転反対運動」 についてのニュースが流れていた。すると中年過ぎの運転手が舌打ちしながら、「お客さん、この問題どう思います?」と話を振ってきたのである。
「やべ、またこのシチュエーションだ!」と私は身構えた。勝手な思い込みかも知れないが、経験則からして、政治的議論をふっかけたがるタクシー運転手のほとんどは「心情右翼」である。単に左翼が嫌いで、心情的に政権側の方にシンパシーを覚えるというタイプだから、「だって、そうでしょ」という言い方しかできず、まともな議論になんかならない。
「今の嘉手納基地の方が人口密集地にあって危ないんだから、辺野古に移す方がいいに決まってるじゃないですか。左翼の連中が反対してるのは、反対のための反対でしかないでしょ。そう思いませんか、お客さん」
「そう思いませんか、お客さん」という言い方は、「そうですよね」という返事を強要する言い方でしかない。何しろこちらの命の安全は向こうの手に握られているのだから、真っ向切って対立的議論なんてしたくない。運転手があんまり熱くなって事故なんか起こされたら最悪だ。
心情右翼の基本的メンタリティというのは、「軟弱な左翼を見下して、自分の優位性を確保したい」ということにに尽きると思っている。ということは、「軟弱な左翼以外の反対論というのもあるのだよ」という当たり前のことを冷静に示すと、彼らはとたんにストレスを感じてうろたえる。こちらの命のリスクが増すってことだ。
仕方なくのらりくらりと相づちを打っているうちに目的地に着いてほっとしたが、あの類いの 10分か 15分という時間を過ごすのは、かなり苦痛だ。タクシーに乗っている間は天気の話とか、他愛のない話題だけにしたいものである。
その意味で、都タクシーの「サイレンスタクシー」という試みはありがたい。「無音タクシー」という言葉はちょっと変だけど。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ディズニーランドって、ちょっと特別な場所なのかも(2023.11.28)
- スタッドレスタイヤが要らなくなれば、ありがたいが(2023.11.24)
- 「東海道・山陽・九州新幹線でも喫煙ルーム廃止」歓迎!(2023.10.18)
- 明日から、急に忙しくなってしまうので・・・(2023.10.06)
- 「残暑見舞い」に八つ当たり(2023.08.26)
コメント
沖縄に移住してきた県内出身者にこのタイプが多いですね。
政治の話をしない県民性にモヤモヤしてるようでスキがあれば議論したがります。確かに、家族・身内とも政治の話は一切しません。
仕事上の付き合いでこの点がかなり面倒なのですが、思想の同じ地元政治家と仲良くなって行政の仕事に割り込む様子をみて気持ち悪くて縁を切らせていただく方々もいます。
沖縄の革新派の方々に対して面従腹背しながらも(笑)、現政権に不利になるようにというだけで今回のらりくらり投票してしまいました。なんだかねじれてるなあ。
とにかく初対面の人との会話で触れぬがヨシがあるだろうって感覚が必要ですね。
そもそも舌打ちする運転手に当たると残念です。
また長話ですみません。。
投稿: 沖縄県30代男 | 2018年10月14日 12:57
沖縄県30代男 さん:
沖縄の政治状況というのも、かなり複雑なようで、なかなか大変ですね。
初対面の人にいきなり政治の話というのは、確かに避けたいところであります。
投稿: tak | 2018年10月14日 20:19
空気を読んでいるつもりですが…。
サイレントタクシーは、1つの試みとして良いことだと思います。
アタクシは積極的に話しかける、「空気読めない」乗客です。
もしかしたら、ルートの策定やその後の時間を計算するなど、運転手さんにも「ご都合」があるとは思いますが…。
出先での利用では、時事問題やスポーツ関連の話ではなく、「この辺りでふらっと小一時間のプチ観光するのにオススメの場所」とか、「この地域ならではの安全運転のコツ」なんて言う、運転手さんの膨大な知識と経験から得られる情報(最終的には飲みポイントね)を、「乗車料金だけで」聞き出そうとしております。
東京の運転手さんは、どちらかと言うと物静かな方に遭遇する機会が多くて味気ない…。(個人タクシーの運転手さんはこの限りでない)
千葉の運転手さん、大阪の運転手さん、名古屋の運転手さんは、結構ノリノリで話してくださる。
広島の運転手さんは、ホント!逆に質問をいただいたりして親身になって聞いてくださる、と言う印象でした。(圧倒的にサンプル数少ない)
まぁ今はね。まったくタクシーに乗りませんが…。
投稿: 乙痴庵 | 2018年10月15日 20:06
乙痴庵 さん:
確かに、ノリのいい運転手さんもいますよね。その地域の情報蹣跚で。
そうした人に巡り会うと、なかなかいいものです。
投稿: tak | 2018年10月16日 00:23