高齢者の火災による死亡が多くなっている
近頃、この辺りでやたらと消防車のサイレンの音が響くようになった。冬は火事が多いというから、そろそろ冬も近いというような、季節要因ばかりではない。この辺りでは春だろうが夏だろうが、年中火事が増えているような気がする。
原因として思い当たるのは、この地区でも高齢化が進み、老人だけの世帯が増えていることだ。年を取ると注意力が散漫になりがちだから、火の始末もおろそかになってしまうのだろう。我が家の近所も昔は子どもがたくさんいたが、今はほとんど独立して家を離れ、残されたのは 70歳を超える老夫婦だけというのが多い。たまに近所で会っても、みんな老け込んでしまっている。
住宅火災全般における高齢者世帯の比率については、詳しいデータは見つけられなかった(もっと念入りに探せば見つかるかもしれないが)。しかし「みんなの介護ニュース」というサイトに、「火災の死者、高齢者の割合が大きい…原因のたばこは ”昔からの習慣” で辞められず!?」という記事がある。
この記事によれば、東京消防庁のデータでは、住宅火災による死亡者の 75%が高齢者だという。東京都のようなところで 75%というのだから、この辺りではもっと高くなるだろう。何しろ、高齢者しかいないみたいな地域もあるのだから。
死者が出た火災のうち、原因として最も多いのは「たばこ」で、18%を占めるという。このニュースでは、次のように触れられている。
今の若い世代はあまりたばこを吸いませんが、昔は特に男性で喫煙率が高かったのです。その習慣を継続している高齢者ほどたばこを吸うというデータもあり、2017年の時点で 60歳以上の男性において 28.2%がたばこを吸っています。
28.2%というのは、ビミョーな数字である。前世紀後半では成人男性の 80%以上が喫煙者という時代もあったのだから、30%以下になったというのは、見方によってはかなりの減少だ。あるいは、喫煙者ほど早く死んでしまう傾向があるから、こんな数字になっているのかもしれないが、いずれにしても充分に低い数字になったとはいえない。
ただ、「その習慣を継続している高齢者ほどたばこを吸うというデータもあり」というのは単なる思い込みで、厚生労働省国民健康栄養調査によると、平成 29年の日本の成人男性の年齢別喫煙率は、20代 26.6%、30代 39.7%、40代 39.6%、50代 33.4%、60代 30.6%、70歳以上 16.2% である(参照)。30〜50代の喫煙率が、まだまだ馬鹿みたいに高い。
「JT全国喫煙者率調査」でも、60代以上の男性の喫煙率は 21.3%と伝えられており、実際には喫煙率が目に見えて下がるのは 70歳を過ぎてからのようである。それは、最近のたばこの値上がりが年金生活者にこたえるというのが最大の理由だろう。だったら、たばこ 1箱 1,500円とか 2,000円(1本 100円ね)ぐらいにすれば、国民全体の喫煙率も劇的に下がるだろうに。
火災の話に戻ると一番危ないのが「寝たばこ」ってやつで、布団にたばこの火が燃え移ると死亡する確率が高いと伝えられている。老人が眠くなってベッドや布団に入ってからたばこを吸うなんていうのは、「ワシは死にたくてたまらないんじゃ。しかも周りに大迷惑をかけて死にたいんじゃ」と言っているようなものだ。本当に本当に、たばこはやめた方がいい。
などと、こんなことを書いていると、またしても消防車のサイレンの音が響き始めた。2階の窓を開けて音のする方を眺めてみたが、火の手は見えない。あまり大きな火災ではないようで、不幸中の幸いというものだろう。
いずれにしても私だっていつまでも若いつもりではいるが、実年齢でいえば前期高齢者になったばかりなのだから、火の扱いには充分に気をつけよう。たばこは止めてから半世紀近く経つけどね。
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コメント
《たばこ》気をつけていただきたいです。
私の両親も兄夫婦も姉もタバコを吸っておりました。
もう、全員亡くなったので、
火事は起こせません。
学生の頃は教室のストーブを囲んで
3.4人が粋にタバコを吸っていました。
タバコを吸うは文化人と思っておりました1960年
頃です。
私も必死でかっこよく吸う練習をいたしましたが、
どういう訳か煙を吸い込むことができず、
あえなく、ダウン。くやしかったですが、
今から思えばよかったかな・・・
と、思うのです。
うふふ・・・
投稿: tokiko | 2018年11月15日 17:36
tokiko さん:
私は、7年間吸ったたばこを 25歳で止めました。(法律的に計算が合わないのは、ご容赦下さい ^^;)
止めるまでは深々と吸い込んでいたので、止めて 1週間は、胸をかきむしってもだえ苦しむほどの猛烈な禁断症状に襲われました。私が一生で一番強い意志を発揮したのは、この時です (^o^)
投稿: tak | 2018年11月15日 20:52
高齢者とタバコのくだりはまったくもってその通りなのですが、冒頭の「最近火災が多い」の原因は別のものである可能性もあります。
takさんが感じられたのは、消防車のサイレン音の増加ですよね。
まず第一に、「救急支援のための出動」というのがあります。救急のとき、動けない人の収容や交通事故での交通整理等、救急車1台とその隊員のみでは障害が予想される場合は消防車も一緒に出動するんです。自治体によっては原則1台支援を出す、というところもあるかもしれません。必ずしも救急車にくっついて急行するわけでは無いので、知らない人が見たら「火事かな」と思うかもしれません。
(ちなみにこの時のサイレンは「ウ~」だけです。火事の時は「ウ~カンカン」になります)
もう一つは「誤報の増加」です。昔から勘違い通報・いたずら通報などはありますが、最近増えたのは「火災報知機と警備会社が連動していることによる誤報」です。
単なる誤作動なら、その音に気付いた人間が通報しなければ当然出動には至りません。又は無人であれば、それが誤作動なら誰にも気づかれずに終わります。
ですが最近は、火災報知器が作動すると自動的に民間警備会社に通知され、そこから消防署に通報される、というケースが増えています。これはそういうシステムを導入している事業所に多く、営業時間なら警備会社が電話でそこに問い合わせて何事もなかったで済むのですが、時間外や休日は確かめようがないので、警備会社もとりあえず現場に向かう、そして手遅れになっては元も子もないので消防にも通報する、そして全く火の手の見当たらない現場で、消防と警備会社が顔を見合わせる、という。
私の市で年間20回ほど火災発生の第一報が入りますが、うち3割~5割はこの手の誤報に感じます(消防団員には逐一通報状況は知らされないのであくまで主観です)。
何事もないのが一番ですし、本当の火災の時には非常に役立っているシステムなのは確かですが、機器の精度含めもう少し何とかならないかなあと思いますね。私なぞはもう長年やってマヒしちゃってますが、せっかくの休みの日に大慌てで着替えて駆けつけて空振りに終わってしまった若い団員を見ると、オオカミ少年の童話をつい思い浮かべてしまいます。
投稿: らむね | 2018年11月15日 22:50
らむね さん:
貴重な情報、ありがとうございます。
確かに、「ウ~」 だけの時もあれば、「ウ~カンカン」 の時もあります。そして 「ウ~カンカン」 でも音のする方にまったく火の手が見えないことが結構あります。
それはそうした事情もあったのですか。認識を新たにしました。重ねてありがとうございます。
投稿: tak | 2018年11月16日 01:19
15年くらい前の真冬のことですが、帰宅してトイレのドアを開けるとすごい熱気が押し寄せてきました。びっくりして足元を見ると電気ストーブが赤々と点いており、その上に置いた本が焦げて発火寸前でした。
ストーブを消さなかったこと、その上に本を置いたままにしたことと二重にミスを犯したのです。発火もとになるかどうかの紙一重でした。
それに懲りて“赤く光るものは使わない”ことに徹しました。
暖房はエアコンにまかせ、瓦斯レンジは廃棄して電磁調理器に変えました。たばこは吸わないのでそれによる火災の心配はありません。
これでうっかりがあっても火災の心配はないと安心してます。
投稿: ハマッコー | 2018年11月18日 02:26
ハマッコー さん:
それは危ないところでしたね。
私も 「ついうっかり」 が火事の元と、気をつけます。
投稿: tak | 2018年11月18日 06:36