「言われたい放題」という摩訶不思議な表現
先ほど、友人と電話で仕事の連絡を取り合っていたところ、彼が 「ところでさあ、『言いたい放題』って言葉はよく聞くけど、『言われたい放題』ってのは、ちょっと変だよね」と言い出した。一体どういうことかと思ったら、ネット・ニュースでこの言い回しを見かけたのだという。
彼に教えてもらったサイトに飛んでみると、ニュースはニュースでも、どうでもいい類いの芸能ネタで、「何があった? みのもんたのおじいちゃんぶりが顕著に」というタイトルだ。見ていてあまり気分のよくないみのもんたの顔写真の下の方に、なるほど、「さらに最近は、同じく司会を務める久本雅美に言われたい放題」 という一文がある。
これ、書いたのはペリー荻野というコラムニストらしいのだが、テキスト全体を読んでみれば、それほど滅茶苦茶な悪文家というわけでもなく、概ね意味は通じる。しかしいくら何でも「言われたい放題」というのはひどすぎる。「言いたい放題言われている」とか「言いたい放題されている」ぐらいがフツーの言い方だろうね。
ただ、念のため「言われたい放題」でググってみたら、世間ではこの言い回しがそれほど珍しくないみたいなのである。Yomiuri Online の「発言小町」に「退職にすることで、言われたい放題」というのがあるし、Yahoo 知恵袋には「職場言われたい放題ですごくストレスたまりますどうしたらよいのかわかりません」という、ちょっと日本語が不自由っぽい人の質問もある。
みのもんたに関する記事ではもう一箇所、彼の「シニアモード」(要するに 「ジジくさい」ってことか)の表現として、「顔の艶よりも赤味を帯びた血色のよさが目立つのである」というフレーズも、何を言いたいのかよくわからない。ディスっているようで、実は持ち上げているような、苦しい表現とも読み取れる。
この記事、全体をよく読むと何だかんだとおチャラケた表現でウケを狙いつつ、結局は「大御所」のみのもんたを要所要所でちょこっとずつヨイショするという、かなりビミョーな配慮を見せるともなく見せながら、結局は持ち上げ気味の記事として終わっている。要するに、「業界内の人」の文章ってわけだ。
というわけで、「言いたい放題される」という受け身の表現じゃなく、彼は能動的に選んでそうした役どころを演じているということを匂わせたいという、筆者の潜在意識が、「言われたい放題」という摩訶不思議な言葉を使わせたのだろうね。
芸能界ってのは、なかなかご苦労なところである。
| 固定リンク
「言葉」カテゴリの記事
- 「蚊に刺された」は、庄内弁で「かぁがらかっだ」(2026.06.08)
- ”Anti” の発音は「アンティ」か「アンタイ」か(2026.06.01)
- 「出身地鑑定 方言チャート」に再挑戦(2026.05.31)
- 「なるほど」が NG ワード扱いされてるらしいのだが(2026.05.12)
- とんでもなく和訳しにくい英文(2026.04.28)








コメント
ごきげんよう~~
言いたい放題
言われ放題
と私は思うけれど
最近の若い人々の言葉は
新しい言い回しだから
解りませんね。
言葉も変化しますので…
私が若い頃(1959年ごろ)流行った言葉は、
すっかり死語となりはてました。涙…
投稿: tokiko | 2018年11月15日 17:25
tokiko さん:
念のため辞書を引くと、「放題」 というのは、
形容動詞の語幹、動詞の連用形や助動詞「たい」 などについて、形容動詞的に用いる。ある動作を意思のままに行うこと、また、ある作用の進行するに任せてそのままにしておくことなどの意を表す。
とありました。
「言いたい放題」 というのは、「ある動作を意思のままに行うこと」 で、「言われ放題」 は、「ある作用の進行するに任せてそのままにしておくこと」 ですね。
ということは、「言われ放題」 は OK です。
しかし 「言われたい放題」 は、「ひどいことを言われたい」 という意思を前提とすることになりますから、フツーはアウトですね。
投稿: tak | 2018年11月15日 20:49