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2018年12月29日

「世界一の映画館」という映画が上映される

昨日の毎日新聞夕刊の "「世界一の映画館」 上映" という見出しを見て、思わず「ヒャッホー!」と声を上げてしまったよ。私の故郷、山形県酒田市にあった映画館「グリーンハウス」をテーマとしたドキュメンタリー映画が、全国で上映されるというのである。(下の写真をクリックすると、記事全体が拡大補表示される)

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グリーンハウスという洋画専門 (ほんのたまに、珠玉の邦画も公開されたが)の映画館は、中心街の 1774棟を焼失させた 「酒田大火」(1976年)の火元になったということもあり、その後はあまり大きな声で語られることはなかったが、私にとってはとてつもなく大きな存在だった。なにしろ高校時代は週に一度以上の頻度で(定期試験の前夜だろうがなんだろうが)入り浸っていて、私の「センス」形成に大きな影響を与えた存在だったのである。

このグリーンハウスで特筆すべきは、「シネサロン」という定員 14名のミニ・シアターである。大量動員は見込めないが、映画好きなら絶対に見逃せないという「コアな作品」を選んで上映する趣旨で、今の私のセンスが形成されたのは、この小さな空間のおかげといっていい。このことについては一昨年 2月に「懐かしのシネサロン」というタイトルで書いているので、ここでは敢えて繰り返さないけどね。

映画評論家の故・淀川長治さんはこのグリーンハウスを「世界一の映画館」と評していたという。本当に世界一だったかどうかは知らないが、淀長さんがそう言ったのだから、まんざら出鱈目でもなかろう。私はその「世界一の映画館」に入り浸っていたというだけで、かなりの幸せ者である。

私のセンスがかなりバタ臭くなったのは、このグリーンハウスで見た数々の洋画のおかげに違いない。そのくせ修士論文で歌舞伎をテーマとしちゃったこともあり、以後ずっと和洋二本立てで生きてきている。

ちなみにこの毎日新聞の記事には淀川長治さんと大杉漣さんの顔写真が載っている。淀長さんが亡くなたのはかなり前だが、大杉漣さんは今年初めに急逝してしまった。というわけで、この毎日新聞の記事は、「今は亡き三本立て」である。

せめて急には死にそうにない私が、時々話題にして語り継がなければならないような気がしている。というわけで、下の画像をクリックすると、予告編の見られるページに飛ぶ。それにしてもこのストーリーに登場する人には「佐藤さん」という苗字が多いなあ。

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【12月 30日 追記】

上の本文で 「定期試験の前夜だろうがなんだろうが」 と書いているが、それについて、14年前に書いた「ウッドストック」という記事が見つかった。この記事にある「地元の映画館」というのが、何を隠そう、このグリーンハウスだったのである。

 

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コメント

当地域は映画館が潰えて久しいので、映画館のお話は嬉しいです。

ただ、自身はほとんど映画を観ないので、将来こうなったらいいなぁと思う次第です。ありがとうございました。


(あんな良い立地なのに、なんでショッピンセンターだけなの!地域に映画館はないんだから今がチャーンス!)

投稿: 乙痴庵 | 2018年12月30日 10:01

乙痴庵 さん:

最近は、シネコンとやらで映画を見る時代になっちゃいましたね。

昔は一日中入り浸って、気に入った映画は 1度の料金で 2〜3度見たりしてましたが、それができないというのはなんだかなあという感じです ^^;)

本日、「試験の前日でも映画を見ていた」 という話の実体験へのリンクを追記しましたので、どうぞ。

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2004/09/post_14.html

投稿: tak | 2018年12月30日 13:21

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