恭賀亥年の山くじら
明けましておめでとうございます。恒例により、新年の年賀状画像をお届けします。今年もよろしくお願いいたします。
(ここから、いつもの調子)
今年は亥年ということで、動物はイノシシが当てはめられている。ただ私はどういうわけか、ナマでイノシシを見たことがまだない。十二支の中でナマの姿を見たことがないのは、自分の干支の辰と、イノシシだけである。まあ、辰をナマで見られないのは当たり前だが。
とはいえイノシシは足跡だけなら何度も見たことがあり、単に直接見たことがまだないということのようだ。茨城県はちょっと田園地帯に脚を伸ばせば、イノシシはいくらでもいるもののようで、田畑をイノシシに荒らされて困っている農家の人は多い。
ちなみに 12年前の亥年の元旦には、「猪」という漢字は、本家本元の中国では「ブタ」のことを指すというウンチクを書いている(参照)。確かに、気合いの入った中華料理店のメニューで「猪肉」と書いてあるのは「豚肉」のことだものね。
賀状にフィーチャーしたのは、歌川国芳の役者絵。右は六代目坂東三津五郎、左は五代目瀬川菊之丞である。天保 2年 11月の顔見世芝居で初代沢村訥升(後の五代目沢村宗十郎)襲名披露のものだが、演目不明。この絵の左に肝心の訥升が描かれているが、猪肉をさばいている場面のため、肉を食わない私としては、悪いけど省いた。
天保年間といえば、私が修士論文で書いた七代目市川團十郎の頃で、なんだか妙に親近感を覚える。芝居の演目は『歌舞伎年代記』という本で調べればわかるはずだが、この辺りの図書館には置いてないだろうなあ。論文を書いた頃に入り浸った早稻田大学の演劇博物館にはどさっとあるけど。
絵の看板にある「御ぞんじ 山くじら」の「山くじら」というのは、「猪肉」(イノシシの肉)のこと。獣肉ということをあからさまにしないために、「牡丹」とか「山くじら」とか言っていた。ちなみに鹿の肉を「紅葉」ということもあるので、その由来は花札の絵札にあるという人もいるが、それは信憑性が低い。牡丹の絵札は「蝶」で、猪が描かれているのは 7月の「萩」の札だし。
「くじら」にしても「獣肉」には違いないのだが、江戸時代の知見では「やたら大きな魚」みたいに考えていたのだろうね。そして日本は今年、クジラを食うために IWC を脱退するのだそうだ。今度はクジラの方が「海いのしし」みたいなことになっている。
【2021年 1月 6日 追記】
「この絵の左に肝心の訥升が描かれているが、猪肉をさばいている場面のため、肉を食わない私としては、悪いけど省いた」と書いたが、よく調べてみると、訥升がさばいているのは猪肉ではなく、うなぎのようだ。
そこで、2021年 1月 6日付記事に完全版の絵を掲載させていただいたので、よろしければご覧いただきたい。
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コメント
あけましておめでとうございます~~
花札って、懐かしいです。
私は戦時中は、4、5才くらいだったはずですが、
いつも大人と一緒に花札と、麻雀をして
遊んでいました。
あのころは、何にも遊ぶものがなかったから。
ですから大学時代もやってました。
今は何もかも忘れてしまいましたがね。
投稿: tokiko | 2019年1月 1日 19:48
tokiko さん:
大人と一緒に花札や麻雀をする少女って、なんだかすごいですね (^o^)
今年もよろしくお願いいたします。
投稿: tak | 2019年1月 1日 20:05
ちょっと前、「りんりんロード」でサイクリングしてたおぢさまがイノシシの急襲を受けて指をくわれっていうニュースがありましたね。tak先生もお気をつけてくださいね(どう気をつけたらいいのかわからないけど)。荒川にはタヌキさんや猛禽類はいるけど、イノシシはいないみたいです。平地だからかな。
投稿: 太陽系調査員のうさぎマリオ(雌雄同体) | 2019年1月 2日 10:56
太陽系調査員のうさぎマリオ(雌雄同体) さん:
一昨年だったかな? そんなニュースがありましたね。まあ、筑波山麓辺りは、出ても不思議じゃない所ではあります。
いきなり横断してきたら、無理に避けようとすると転倒しちゃいそうですね。かといって、避けずに轢いちゃったら、確実に自転車へこむし ^^;)
投稿: tak | 2019年1月 2日 18:47