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2018年12月10日

『里の秋』 という歌

里の秋』という歌があるのだが、私はその歌詞をあまりよく知らなかった。「しずかなしずかな 里の秋/おせどに木の実の 落ちる夜は」という歌詞の「おせど」というのもよくわかっていなかったので、今日初めてググって調べてみたのである。そうすると、この歌の深い意味がわかって愕然とした。

181210

「おせど」 というのは、「尾瀬戸」とか「小瀬戸」とかいう言葉とは無関係で、「お背戸」 、つまり 「裏口の戸」とわかった。それはまあ、単純なことなのだが、問題は、3番の歌詞である。


さよならさよなら 椰子の島
お舟にゆられて 帰られる
ああ とうさんよ ご無事でと
今夜も かあさんと 祈ります

このように紹介すれば、わかる人にはすぐにわかると思うが、戦争が終わり、南方の島から命からがら復員してくる父の無事を祈る歌詞だ。『里の秋』がそうした歌だったとは、私は恥ずかしながら今日まで知らなかった。

さらに驚いたのが、この歌の歴史的変化である。Wikipedia(参照)によると、作詞者の斎藤信夫は国民学校の教師をしていた 1941年(昭和 16年)に、この歌 『星月夜』というタイトルで童謡雑誌に発表した。そして当初の歌詞は、1番、2番は現行の『里の秋』と同じだが、それ以後が違っていた。

それは 3番、4番まであり、歌詞の内容は「父さんの活躍を祈ってます。将来ボクも国を護ります」というような、いわば戦争賛美につながるものだった。その後終戦(敗戦)を迎え、ラジオ番組の歌として『星月夜』は蘇ることになるが、その際に 3番、4番が現行の 3番の歌詞に書き換えられたという。

そしてその時、作詞者の斎藤信夫は、自分が学校教育において戦争で戦うように教えていたことに責任を感じ、教師を辞めていたというのである。これはちょっとヘビーなサイドストーリーである。

そして今、この歌を単純な「反戦歌」として位置付けることはちょっと気恥ずかしいが、そうした背景を知りつつ、じっくりと味わって歌いたいと思うのである。

 

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