よく聞くけど実は意味を知らない横文字
「Goo ランキング」というサイトで、「よく聞くけど実は意味を知らない横文字ランキング」というのを見つけた。きっかけは、スバル自動車の「レガシー」という車種って、どういうつもりでネーミングしたのだろうということが、ふと疑問になって調べたことである。
Legacy(レガシー)というのは、フツーは「過去の遺物」という意味合いであり、「レガシー・デバイス」というような熟語で使われたりすると、「古くさい時代遅れの道具」といったニュアンスになる。スバルは、どうしてまた自社製品にこんな名前を付けたのだろうと、前々から不思議に思っていたのだ。
調べてみると、「英語で大いなる伝承物と言う意味です」と説明しているページが見つかった(参照)。「大いなる伝承物」とはかなり盛り過ぎの解釈だと思うが、まあ、スバルとしてはそんなようなつもりで命名したのだろう。ただ、さすがに最近はあまり大きな声では言いたくないみたいで、"Legacy" をちっちゃく書いて、サブブランドの "OUTBACK" とか ”B4" とかを大きめに表示したりしている(参照)。
で、そのついでに見つけたのが前述のランキングで、「よく聞くけど実は意味を知らない横文字」のトップ 3は、「イノベーション」「ダイバーシティ」「レガシー」というものだった。へえ、「イノベーション」って、あまりよくわからず使われたりしてるのかなあ。「新しいアイデアによる革新」ということで、雰囲気としては大体そんなような意味で使われているように思われるのだが。
問題は 2番目の「ダイバーシティ」だ。意味は「多様性」ということで、”diverse"(多様な)という形容詞の名詞形である。動詞になると "diversify"(多様化、多角化する)。私としてはフツーは英語でも「ディヴァースィティ」(アクセントは 「ヴァー」の部分にある)に近い発音をしているのだが、カタカナ語になった時点でしっかりと 「ダイバーシティ」 になってしまったようだ。
それだけで済まず、どうも「ダイバー・シティ」みたいな感じで、「シティ」の方にアクセントを置いて言うファッション業界系日本人がめちゃくちゃ多いのである。「多様性」が「潜水夫の街」になってしまっている。まあ、どうせ雰囲気重視のカタカナ言葉だから、どうでもいいけど。
で、3番目が「レガシー」。さらに「オルタナティブ」「IoT」「LGBT」「AI」「VR」「パラダイムシフト」と続いて、10番目が「ソーシャルファーム」となっている。
「オルタナティブ」(alternative) は、カタカナ語としては「二者択一」という意味となっているが、フツーの英語では「従来のものに代わる新しい選択肢」というような意味合いで使われる場合が多いと思うんだがなあ。まあ、なかなかすっきりと翻訳しにくい言葉なので、まんまカタカナにして、ついでに意味も限定しちゃったのだろう。
「IoT」(顔文字の一種と思っている人も多い)と 「LGBT」はいいとして、「AI」は "artificial intelligence" (人工知能)ということになっている。ただこれは、"artificial insemination" (人工授精)という言葉の方が先にあったらしい。気をつけなきゃいけない。
「ソーシャルファーム」というのは、恥ずかしながら私もよく知らなかったが、こちら のページを参照して理解できた。
で、余談だが、先日「FAX なんてものは、アメリカではレガシーとしてスミソニアン博物館に入っちゃったんだってよ」と言ったら、それを「偉大な遺産」として登録されたのだと思っちゃった人が少なくなかったのであった。日本ではまだ「遺産」になっていないが。
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コメント
日産には “ホイッスル・ブロワー” がいたんですね。
そのうち流行語になるかも。
投稿: ハマッコー | 2018年12月 3日 03:16
まだ世界展開とかを考えていない時代の車名などは、実際のネイティブからすると違和感あることが多いんでしょうね。
さすがに今の自動車メーカーなら考えてつけると思いますが、日本専売車種だと変なのありますよ。
スズキの軽自動車に「アルト(ALTO)」があり、その派生車に「ラパン(Lapin)」、さらにその派生車に「ショコラ(Chocolat)」があります。
フルネームで「アルト ラパン ショコラ」です。
つまり「女声低音 うさぎ チョコレート」ですねww
投稿: らむね | 2018年12月 3日 20:16
ハマッコー さん:
流行語になるには、ちょっとカンじゃいそうな ...... ^^;)
投稿: tak | 2018年12月 4日 16:57
らむね さん:
なるほど。
ただ、レガシーは北米で売れてないわけじゃないみたいですね。ただ、さすがにネーミングがマイナス要素として働きかねないと認識してか、次のモデルは 「レヴォーグ」 というネーミングなのだとか。
で、そのネーミングの由来は、
「LEVORG(レヴォーグ・LEGACY REVOLUTION TOURING)」
なんだとか。(http://ure.pia.co.jp/articles/-/21318)
さっぱりわかりません。
まあ、軽自動車に関しては、思いっきりドメスティックな市場ですから、完全に 「雰囲気のもの」 で済ませてるようですね (^o^)
投稿: tak | 2018年12月 4日 17:13
takさん
上のコメントの内容は多分間違っています。
まずリンク先は2014年の記事です。
これ以前のスバルは、Mサイズ=インプレッサ、Lサイズ=レガシィ、と販売していたのですが、レガシィが北米に合わせて大型化して日本の事情に合わなくなっていました。
そこでこの当時、中間サイズにレヴォーグを作り、M=インプレッサ、L=レヴォーグ、LL=レガシィ、とラインナップしたのです。
名前の由来は初めて知りましたが、「レガシーを革命的に変化させた長距離移動に向いた車」てところですかね。(車の名前でツーリングは普通そういう意味で使われます)
まあそれでも単語を並べただけ感は否めませんが、造語なので軽々に意味をもつ単語を使うよりはいいんじゃないでしょうか。イギリスでもこの名前で売っているようですし。
投稿: らむね | 2018年12月 4日 21:10
らむね さん:
ご指摘、ありがとうございます。
クルマは 「乗れさえすれば OK」 と思っているもので、疎いんですよね ^^;)
>造語なので軽々に意味をもつ単語を使うよりはいいんじゃないでしょうか。
なるほど。言えてますね。
投稿: tak | 2018年12月 5日 21:01
legacyは肯定的に使う例もそれなりにあるようなので、IT方面でいうレガシーデバイスの語感に引きずられるとズレる場合もありそうです。
……とはいえ、現役でバリバリ乗り回す車の名称としてはいかがなものかと(笑)
投稿: 山辺響 | 2018年12月 6日 13:48
山辺響 さん:
>……とはいえ、現役でバリバリ乗り回す車の名称としてはいかがなものかと(笑)
私としても、そういうことで、言ってるわけなんですがね (^o^)
投稿: tak | 2018年12月 6日 19:01
山辺さん、takさん
こういうの、ガチガチの中学英語レベルの私などは困るんですよ。
ネイティブはlegacyという車名にどういう感覚を持つのか。
「古臭いもの」というイメージがつくのか、はたまた「伝説的なすげえもの(語彙w)」というふうに捉えるのか。
以前塾に、10年カナダに住んでいた先生がいて、そういう質問をすぐ教えてくれて助かっていましたが、今は本当に困ります。
こんどからtakさんに訊きます(笑)
投稿: らむね | 2018年12月 7日 23:44
らむね さん:
こういう話は、私より 山辺響 さんの方が確かですよ (^o^)
投稿: tak | 2018年12月 8日 20:59