人のグラスに勝手にビールを注ぎ足す 「奇習」
Nifty ニュースが "グラスに注ぎ足しながらビールを飲むのは「奇習と言っていい」 見直して欲しい! 飲み会の妙な習慣" という記事を載せている。
この記事の発端となったのは、らくからちゃさんというブロガーの 12月 15日の記事らしい。「わたしが苦手なのは、まだ飲みきってもいないのに、ちょっとでも空きがでたもんなら『どうぞどうぞー』と継いでくる(ママ)人の存在」 と書かれている(参照)。
確かにこれ、まことにもって妙な習慣で、私は飲み会に出てもよっぽどのことがない限り他人のグラスにビールを注ぎ足すなんてことはしない。飲みたけりゃ、自分で注げばいいだけのことだと思っている。
社会人になりたての頃 (40年以上前のこと)、会社の飲み会で上司や先輩のグラスのビールがちょっとでも少なくなると、古参のオッサンに 「何をしてるんだ、部長のビール、注がなきゃダメじゃないか!」なんて怒られたものだ。
あれって、当の部長にビミョーに聞こえるように言うのは、「私はこんなにまで上司に気を使って、新人教育を心がけてますから!」というアピールのつもりなんだろうね。仕方がないからその時だけは注ぐが、後はできるだけ気付かぬふりをしていた。まったくもって俗世間とは面倒なものである。
件の Nifty ニュースの記事では、ビールの注ぎ足しを勧めない理由として「これ以上ビールを飲みたくないと思っていても、注ぎ足されたら飲まなければならなくなってしまう」「ビールを継ぎ足すと、せっかく冷えたビールとぬるいビールが混ざってしまい、いつまでたっても鮮度の高いビールが飲めない」などと書かれている。
ただ私としては、「注がれたら飲まなければならない」なんて思ったことはないし、「冷えたビールが一番おいしい」ということにも疑問を抱いている。早く言えば、日本の飲み会で本当に美味しいビールを飲もうなんて、初めから無理な相談なのだ。個人的には本場ドイツ、フランクフルトのバーのように、ビールが多少生ぬるくなるのを構わず、時間をかけて注ぐのがベストだと思っている (参照)。
日本の飲み会では、どうせ単なる付き合いでテキトーな飲み方をするのだから、せめてこちらのペースを無視して無理に注ぎ足されることのストレスからは解放されたい。ところが「過剰な上下関係と同質化要請」が不思議に共存する日本社会は、それを許さないのだ。私が「オッサン同士の飲み会」を避けるのは、このためである。
ただ私も年を重ねて、飲み会の中で最年長みたいなことになる機会が増えてきたので、最近はそれを笠に着て、「今日は原則手酌で自分のペースで飲むことにするから、勝手に人のグラスにビールを注ぐのは禁止!」と最初に宣言してしまう。これ、はっきり言って後輩たちにとても好評だ。
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コメント
“酒っちゅうもんはなあ、飲んで飲んで血を吐いてからが本番や” なんていうバカな上司もいました。
また、飲めない酒をむりやり飲まされた人の醜態を見せつけられることもありました。
割り勘で飲みに行ってるのに一人だけ大酒飲んで、最後は酔っぱらった振りしてどさくさに紛れて無銭飲食する常習犯もいました。
という訳で、仕事関係の人間とは一切酒を飲まないことにしました。忘年会新年会は一切出席しませんと宣言しました。
それ以降は快適でした。(変人扱いされましたが)
閑話休題、ビールの継ぎ足しなんて酒好きにとっても下戸にとっても迷惑な話ですね。その点、缶ビールは中身が見えないからいいですね。
投稿: ハマッコー | 2019年1月 7日 21:11
ハマッコー さん:
仕事関係の飲み会はパスするというのは、正解ですね。
それから、本分には書き落としましたが、ビールを注ぐときはラベルを上にするだのなんだのと、どうでもいい講釈を垂れるオッサンがいるのもうっとうしい限りです ^^;)
投稿: tak | 2019年1月 7日 22:09
「目上の人からビールを継ぎ足されようとするとき、目下の者はグラスを飲み干してからそれを受けなければならない」奇習も何とかしてもらいたいものです。
新人のころ、ビールの残ったグラスで先輩のお酌を受けようとしたら「チッチッ」と舌打ちされて当初何のことかわかりませんでした。これも半強制的に酒量を増やそうとするシステムですよね。「アルハラ」という言葉が認知されてきましたし、最近の若者が少しは解放されていると良いのですが。
投稿: らむね | 2019年1月 8日 00:12
日本のビールは冷えた状態がベストなんじゃないかなぁと。
やっぱりグビグビ、プハーッ!は日本の文化で、ビールの味そのものがそういう風に飲むための味になっているので、ドイツビールと同じものとは思わずに、グビグビ用アルコール飲料だと考えると、日本のビールはわりとおいしいですよ。
ただその分、ビールとしての骨格は弱く、ジョッキだと1分もしないうちに味が変わってしまうので、グラスで飲む・注いだらすぐ飲み干す・3~4杯飲んだらビールじゃないものを頼む、というのがテキトーな飲み会でおいしくビールを飲む方法です。
まぁピッチャーなんかで出されるとそれすら叶わないのですが・・・
あと個人的にラベルを上にして注ぐという風習は、「かつてこの国でヤミ酒が出回っていた時代があったのだなぁ」と思いを馳せられるので気に入ってたりします。
投稿: 重箱の隅 | 2019年1月 8日 01:45
ラベルを上にするのは化学屋の習慣(試薬ビンから試薬を注ぐとき液垂した時ラベルをよさないため)が広まったのかと思ってました。
学生時代化学科だったので癖が抜けません。
投稿: automo | 2019年1月 8日 08:37
「空けてくださいよぉ〜!」
と、別部署のやや嫌われ上司を見事に潰して、後日仲間内から喝采を浴びたのは、良い思い出です。
ちゃんと、ビール瓶のラベルを上にして、注ぎましたよ。
最近は生ビールが中心になっているので、マイペースで飲みますし。
投稿: 乙痴庵 | 2019年1月 8日 10:21
らむね さん:
「醜態をさらけ出し合ってこその仲間同士」みたいな酒文化は、何とかしてもらいたいですね。
きちんと演出された醜態(昔のタモリみたいな) なら拍手喝采ものですが。
投稿: tak | 2019年1月 8日 17:50
重箱の隅 さん:
確かに、日本のビールとドイツのビールは別物ですね。というか、国によっていろいろなビールがあります。
ただ、時間をかけて注ぐと、泡のきめ細かさがかなりいい感じのクリーミーさになります。逆に英国人のエールの飲み方は、泡を作らないそうで、「へえ!」 と驚いてしまいます。
ただ私は、冷たいヤツをグイーッとやってプハーッというのは、どうも馴染めないんですよね。というか、「最初はビールで乾杯」 というのもできることなら避けて通りたいクチです ^^;)
ちっちゃなショットグラスかさかずきで、ちびちびってのが嬉しいです。
投稿: tak | 2019年1月 8日 17:56
automo さん:
化学屋さんの習慣からきたという説も根強いですね (^o^)
それから、日本酒の徳利で、「注ぎ口から注ぐと 『縁を切る』 という意味だからダメ」 という馬鹿馬鹿しいマナー(?)は、陶芸家の逆襲にあって粉砕されたようですね (^o^)
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1812/02/news019.html
投稿: tak | 2019年1月 8日 18:00
乙痴庵 さん:
快挙でしたね (^o^)
拍手物です。
投稿: tak | 2019年1月 8日 18:03