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2019年1月18日

日本での Subway 不振に見る 「文化の違い」

近所のショッピング・センター内で買い物しながら軽く昼食にしようとフード・コートに立ち寄ると、Subway がクローズしているのに気付いた。たまたま休業の日に当たったのかと思ったが、よく見ると 「事情により営業を中止」 という貼り紙がしてある。

190118

何となく様子が尋常じゃないので iPhone で検索してみると、Subway の FC 店運営会社が破産してしまったという記事が見つかった。破産宣告の前から、続々と店舗が閉鎖されているらしい(参照)。 いやはや、そんなこととは全然知らなかったよ。

上述の記事によると、日本の Subway 不振の要因としては、価格の高さ、商品提供の遅さ、注文の難しさ、店舗の老朽化が挙げられている。ただ、最近ではショッピング・センターのフード・コートでの展開が増えているので、「店舗の老朽化」は決定的なものじゃないだろう。個人的には Subway の価格は言うほど高くないと思うが、「商品提供の遅さ、注文の難しさ」というのは、案外大きいかもしれない。

昼食をファーストフードであっさり済ませようという日本人の多くは、一言二言で簡単に注文するか、あるいは自動販売機でチケットを買って、サクッと商品を受け取り、後は黙々と食ってしまいたいというニーズなのかもしれない。そこへ行くとパンの種類とその中身、野菜の量、ドレッシングに至るまで多くのチョイスの中から好きな組み合わせを店員に口頭で伝えるという Subway 方式は、かなり異質だ。

讃岐うどんチェーンでも多くのチョイスはあるが、トッピングを無言でチョイスして自分で皿に取り、最後に支払いをする。ところが Subway では「キャベツは多めにね」とか 「パセリは要らない」とか、口頭で細かな好みを伝えるうちに、自分なりのオーダーを確定していくというプロセスを辿る。この辺りの「ハイタッチ(下の注参照)な多様性尊重」が、「おまかせ文化」の日本人にはうっとうしく感じられてしまうのかも知れないね。

日本での Subway の不振というのは、こうした「文化の違い」によるところが大きいと思う。ただ、Subuway の店頭に自動販売機が置かれ、チケットで注文を決めちゃうなんてことになったりしたら興醒めだ。それで馴染んじゃうと、米国の Subway では注文できなくなっちゃうなんてことになるだろうしね。

【注】
「ハイタッチ」 は両手を挙げた者同士で 「ポン」 とやることだと思われているが、これは和製英語で、本来の英語の "high touch" の意味は、「人間的な触れ合い、感性を大切にする」ということに近い。その対極が "high tech" (ハイテク)。

これはちょっと冗談ぽい話だが、私は約 7年前の "「ハートアタックグリル」 という命がけのジャンク" という記事に、ニューヨークの Subway での様子を次のように書いている。

日本でもおなじみのチェーン、Subway でサブマリンスタイルのサンドイッチを注文する時、「ハーフサイズ」(日本の Subway では基本の大きさ) と言うと、カウンターのおねえちゃんがびっくりして目を見開き、"Really?"(本当にそれでいいの?)なんて聞いてくる。

余計なお世話だと思ったが、見ていると、スキニーな若い女の子でも、倍の「ワンフット・サイズ」に、じゅるじゅるの肉をはち切れんばかりにはさみこんだやつを、当然の如く注文しているので、"Really?" と聞きたくなるのももっともな話かもしれないと、妙に納得してしまったりする。

日本では Subway の店員が「本当にそれでいいの?」なんてフレンドリーに聞いてくるってことは、決してないよね。

 

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コメント

そうか!
お手軽感とお気軽さが、同居していなかったってことでしょうか。

日本特有の「いらっしゃいませ。〇〇へようこそ!ご注文は?」って言う、(バカ)丁寧な応対によって、お手軽なはずのファストフードがお役所みたいになっちゃう気分なんですね。
「パッと喰ってしまい」のファストフードで、「パンは…、サンドは…、ボリウムは…。」を(バカ)丁寧に聞き出されても、パッと喰う前にストレス感じる状況なんでしょう。

かと言って、「よう来たな!なんにする?」って応対だと、これまた日本人お得意の「客をバカにしているのか!」に苛まれちゃいますし…。

最初から「当店はカジュアルさを前面に押し出した接客をモットーといたしております」って表明しておいて、「よく来てくれた!さぁなんでも言ってくれ!」って応対してくれたら、存外通うかも!(どっかの有名テーマパークのアトラクションか!)

(お土地柄重視で方言バリバリOK!)
「よお来やぁた。好きなの選びゃぁ!ちゃっとやるでね!」@東濃

投稿: 乙痴庵 | 2019年1月19日 10:50

今日は【注】の内容に "I'm touched"
high touch ←→high tech とは知りませんでした。

投稿: ハマッコー | 2019年1月19日 21:10

乙痴庵 さん:

>「パッと喰ってしまい」のファストフードで、「パンは…、サンドは…、ボリウムは…。」を(バカ)丁寧に聞き出されても、パッと喰う前にストレス感じる状況なんでしょう。

そうそう、これが違和感の元なんでしょうね。

ところが、米国の Subway だと、店員のおねえちゃんとお友達感覚だから、「お役所感覚」 にならないんです。

>「よお来やぁた。好きなの選びゃぁ!ちゃっとやるでね!」

これが米国の Subwau の感覚で、日本ではむずかしいところなんでしょうね。

投稿: tak | 2019年1月19日 21:47

ハマッコー さん:

High touch と High teck、

いわゆる 「反対語」 じゃないけど、対極的概念なんだそうです (^o^)

投稿: tak | 2019年1月19日 21:51

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