サンゴを「移しております」だって?
昨日の NHK テレビ『日曜討論』での安倍首相の発言が、「ウソ連発」と大炎上している。ところが当の本人としては、自分の寝言的発言をまんざらウソとも思っていない風情でノホホンとしているので、ますます馬鹿馬鹿しくなってしまうのだが。
私自身は昨日、日曜だというのに朝から仕事に出ていたので、『日曜討論』なんて見ていない(仕事でなくてもそんなもの見ないし)ので、LITERA の記事に当たると、安部総理は今回強行した辺野古の埋め立てに関して、こんなことをほざいていたらしい。(参照)
「で、いま、土砂が投入されている映像がございましたが、土砂を投入していくにあたってですね、あそこのサンゴについては、移しております」
まるで軽い引っ越し荷物みたいな言い方である。確かに稚拙なアリバイ作りとして、サンゴの移植みたいな作業をしなかったわけではないらしい。それについて LITERA は次のように報じている。
たしかに、昨年7〜8月に沖縄防衛局は辺野古側の埋め立て海域で見つかった絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ 9群体を採捕・移植しており、安倍首相もこの件をもって「サンゴは移した」と大見得を切ったのだろう。
しかし、現実には、土砂が投入されている区域付近で移植が必要なサンゴはこれ以外にも見つかっているのだ。
たとえば、K4護岸付近では、準絶滅危惧種であるヒメサンゴが見つかっていた。当初、防衛局はこのヒメサンゴを移植しようと特別採捕許可を申請していたが、移植先の選定が適当ではないとの理由で不許可に。すると、防衛局はこのヒメサンゴを移植対象から外して護岸工事を進めた
まともな知性と感性があったら、この程度のことで「移しております」などとは言えるものではない。家庭菜園のトマトだって、知り合いから株をもらってきて移植したら枯れちゃったなんてことはいくらでもあるのだ。
サンゴが容易に移植できるものなら、そこら中からどんどん集めてきて移植し、「沖縄サンゴ園」みたいなものでも作ればいい。しかし実際にはそれをやろうとしても「白化現象」などが続出して困難極まりないから、絶滅危惧種なのである。ましてやサンゴが自生する海を埋め立てる行為は、中途半端な移植の試みなんかでチャラになるような話じゃない。
つまり、LITERA の記事では 「移植が必要なサンゴはこれ以外にも見つかっている」 とあるが、実際に必要なのは「移植」などではなく、「環境保全」であったはずなのだ。
誰から急作りのレクチャーをされたのか知らないが、安倍首相がこんなデリケートなことを何の疑問も抱かず真に受けて、全国に放送される政治討論番組でいけしゃあしゃあと「移しております」なんて言えるのは、無知蒙昧のなせるワザである。この程度の人で首相が務まるのというのが、日本の不幸なのだとしみじみ思う。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- トランプ、「単純ポピュリズム戦略」で勝っちゃった(2024.11.07)
- トランプと旧統一教会分派、そして日本の自民党(2024.11.02)
- 選択的夫婦別姓は、避けて通れない問題(2024.11.05)
- 「ゴミ」と「ケツの穴」のどっちがヒドい?(2024.11.01)
- 「利権で動く裏政治」の構造が風化しつつあるようだ(2024.10.28)
コメント
最近のこのオッサン、なよっとした人型ロボットか、単なる軟体動物に見える…。
言うこと為すこと型通り。
人間味のない、味気ない。
ついでに言うと、中身がない。
あ、本文の写真の方と特定しては申し上げておりませんので、悪しからず。(回避回避)
投稿: 乙痴庵 | 2019年1月 9日 17:19
乙痴庵 さん:
「なよっとした人型ロボット」 とは言い得て妙です ^^;)
投稿: tak | 2019年1月 9日 20:20