年は取りたくないもの
いやはや、1日のうちにショックな出来事が 2つ重なってしまった。年は取りたくないものである。
今日の午前 10時過ぎにちょっとした休憩として、コーヒーを飲みながら「大麦ダグワース」というものを食べていたのである。これは栃木県在住の友人からお土産としてもらったもので、写真からは硬いもののような印象を受けるかも知れないが、実際はフワリとした食感でなかなかイケる。
ところが、このフワリとした食感のダグワースを食べていると、突然ガリリと硬い物が歯に当たった。何かと思えば、なんと「自分の歯」である。あまりの思いがけなさに舌で探ってみれば、下の前歯が欠けてしまっているではないか。
漱石の『吾輩は猫である』に登場する水島寒月という人は寺田寅彦がモデルとされているが、この御仁は椎茸を食って前歯を欠いていて、小説の中では猫の飼い主、珍野苦沙弥(「ちんのくしゃみ」と読む。念のため)先生とこんな会話をしている。
「その、少し椎茸を食つたんで。椎茸の傘を前歯で噛み切らうとしたらぼろりと歯が欠けましたよ」
「椎茸で前歯がかけるなんざ、何だか爺々臭いね。俳句にはなるかも知れないが、恋にはならんようだな」
苦沙弥先生が 「俳句にはなるかも知れないが」などとことさらに言っているのは、モデルの寺田寅彦が物理学者であると同時に随筆家、俳人でもあったからだ。しかしダグワースで欠けてしまっては、恋はおろか俳句にもなるまい。せいぜい川柳だ。
と、ここまで書いたところで、「まてよ、前にもこんなようなことがあったな」という気がして自分のブログを検索してみると、なんと、一昨年の 8月 23日付で「桃を食って前歯が欠けた」という記事を書いているではないか。
桃で欠けたなら俳句にはなったかもしれないが、恋にならないのは今に始まったことではない。しかも一昨年のブログでも、同じように水島寒月のエピソードを紹介している。ここまで来ればもはや「老いの繰り言」じみてきて、「また同じ話?」なんて言われかねない。
ようやくショックから立ち直って近くの歯科医に電話すると、午後 2時半に治療予約が取れた。明日からは出張の予定が入っているから、仕事先で前歯の欠けた姿をさらさずに済むのはとりあえずありがたい。
ところが、ここでさらにショックが重なった。電話予約の際に受付の看護師さんが「健康保険証を忘れずにお持ちください」と言うので、念のため自分のカード入れを確認すると、その保険証が見当たらないのである。どこにしまい込んだものか、あるいは置き忘れてしまったものか、皆目思い出せない。まことにもって、年は取りたくないものである。
急遽、仮保険証みたいなものでも発行してもらえるかと期待して市役所に行ってみると、15分もかからずに仮ではない本物の保険証を再発行してもらえた。近頃はお役所も電子データ化が進んでいるので、こんなことは簡単なのだろう。
ありがたいことだが、「交付年月日」の欄を見ると、今日の日付の次に、再発行されたものであることを示す 「(再)」の文字がしっかりとあり、「この保険証の持ち主は、結構うっかり者です」と言外に語っている。とはいえ、最近は年寄りが増えているから、こんな保険証も決して珍しくないのだろうと、自らをなぐさめている。
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コメント
私も紛失して再発行して貰いました。
その経験から、百均で買ったIDカードホルダーに入れて目立つところに吊るしています。
要は、仕舞わないことです。
それ以来紛失トラブルは皆無です。
投稿: ハマッコー | 2019年2月15日 23:07
ハマッコー さん:
私も健康保険証はパスホルダーに入れていつも持ち歩いていたんですけどね。なぜか、いつの間にか消えてました。
きっと、どこかで取り出したままになってしまったんでしょうね。
投稿: tak | 2019年2月16日 06:45
しかし、健康保険証を紛失しているか気が付かないというのは、それだけ健康な日々を送られているということなので、そちらの方がうらやましいです…。
僕なんか庄内さんより20個ぐらい年下なのに、月に2度ぐらいは病院に行くので、保険証必須の生活です。
財布のカード入れの目立つところにないと不安で。
(´・ω・`)
投稿: ひろゆき王子 | 2019年2月17日 17:20
ひろゆき王子 さん:
そういえば、花粉症の薬を詳報してもらう時期以外は、歯医者ぐらいしか医者には用がないですね。考えようによっては幸せなことかも。
ただ、軽い病気で医者にかかるのは、案外いいらしいですよ。あんまり医者に縁がないのも考え物とか。
投稿: tak | 2019年2月17日 19:46