今どきの「ぶっきらぼう」
最近若い知り合いに、「転職で面接を受けるんですけど、親戚に 『ぶっきらぼうな態度は直した方がいい』って言われました。でも、『ぶっきらぼう』って何ですか? どういう感じなんですか?」なんて質問された。簡単に説明してあげたのだが、彼自身はあまり身に覚えがないようだった。
確かに彼は、私の前では決してぶっきらぼうという印象はない。もしかして家族や親戚の前だと、ついそんな感じになってしまうのだろうか。それより何より、彼が「ぶっきらぼう」という言葉の意味を知らなかったことの方が私には驚きだ。最近の若い人は、こうした類いの日本語に弱いのかもしれない。
上の画像は、LINE STORE で「ぶっきらぼうなおとこ」というテーマで販売されているスタンプの一部である(参照)。「めんどくさがりで、ぶっきらぼうな男がダルそうに返事する。温かみのある手描きで使いやすく、とりあえず返信しとくかって時に役立つ! 表情豊かなくせ毛の (ハゲてない) 男」と説明されている。
「ぶっきらぼう」というのは、どちらかと言えば無表情なやつと思っていたのだが、最近は「表情豊かなくせ毛」という「ぶっきらぼうの新イメージ」が登場しているようなのだ、多少は愛嬌を交えないと、ぶっきらぼうも生きづらくなっているのだろうか。
ちなみに「語源由来辞典」によると、 「ぶっきらぼう」は「打っきり棒」から転じた言葉だが、それが具体的に何を指すかということに 2通りの説がある。一つは「水飴を煮詰めて回転させながら、引き延ばして切った白い棒状の飴」で、その素っ気ない様から「ぶっきらぼう」に転じたというもの。
そしてもう一つは、単に「ぶっ切った木の切れ端」であるという説。丁寧に切られたものに比べて愛想なく見えるからだという。まあ、どちらも「ぶっ切っただけ」ということに関しては共通するから、まあ、そんなところなのだろう。
「ぶっ」という接頭語は「打つ(ぶつ)」が促音化した接頭語なのだそうで、「ぶっきらぼう」の他にも「ぶっ飛ばす」「ぶっ倒れる」などがある。「ぶち」の撥音化による「ぶん」では、「ぶん投げる」「ぶん殴る」などがあるという。「ぶち」そのものには「ぶちのめす」なんてのもあるよね。いずれにしても穏やかな言葉じゃない。
「表情豊かなくせ毛」ってのは、どちらかと言えば本来の「ぶっきらぼう」を多少モディファイした、「21世紀的変化ワザ」ということになってしまうのだろう。言葉も吟味して使わないと、受け取り方が微妙にずれてしまう可能性がある。
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