「ホモソーシャルツリー」を育てるメンタリティ
エクサイト・ニュース、スマダンの "「女性差別時代」に男性として生きるということ" というコラム(勝部元気氏・筆)で、「ホモソーシャルツリー」 という言葉を初めて知った。男性中心社会・権威主義・家父長制の下、男性が満たされない支配欲をこじらせて行く構造の中で、「男の弱みにつけ込み、男を支配する木」なんだそうだ。
「男は辛いんだよ」という価値観い伴う悩みの中で、典型的なものが「自分は大黒柱だからどんなに辛くても仕事を辞められない。女性はいざとなったら辞められて羨ましい」というものだそうだ。
夫婦間の対等なパートナーシップを認めず、「男は辛い」と嘆き続ける代償として、「俺は大黒柱、俺はエラい」という優越意識を持ち続ける保証を得る。ただ、これって単なる思い込みに過ぎないから、何の利益もない。
勝部氏は「自分が妻を支配しているから自由がきかなくなり、カイシャに支配されるわけです。妻と子を江戸に預けて参勤交代させていた江戸幕府の大名支配と似たような被支配構造を作り出しているのは、男性自身であるケースが少なくないのです」と喝破している。
ちなみにこのホモソーシャルツリーの産物として、今一番議論の俎上に上っているのは、「選択的夫婦別姓」という問題だろう。このテーマはかなり誤解されていて、「結婚しても姓を変えない制度」と思っている人が少なくない。
実際には変えても変えなくてもいい制度で、夫婦は同姓になることもできるし、別姓のままで通すことも自由に選択できるというだけなのだが、自分の好みだけを根拠に「自分は夫婦同姓でありたいから、別姓には反対」と、唱える人が多いのだ。
選択的夫婦別姓論者は夫婦同姓を否定しないのに、同姓にこだわる人は別姓を否定するのである。これも、ホモソーシャルツリーを育てるメンタリティの大きな要素である。
実はこれ、女性の側にもあるようで、「女性社員に対するハイヒール、パンプスの強制反対」というと、「自分はハイヒールの方が美しいと思うから、ペッタンコの靴は履きたくない。今のままでいい」と言う人もいるようなのである。
これ、自分の都合しかわからない人というか、想像力の欠如というか、困ったことである。「あんたはそれでよくても、そうでない人もいるってことを認められないかなあ」と言いたくなるのだよね。
いずれにしても自分の思い込みを貫き通す代償として、小声で「しんどい、しんどい」と言い続けることが許されるというのは、ちょっと歪んだ価値観である。
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