"Huawei" は本当は「ホワーウェイ」 らしい
最近いろいろ話題の、中国の巨大 IT 企業、「華爲 (Huawei)」は、我が国では「ファーウェイ」と表記されていて、当の Huawei Japan 自身も自社の日本語版サイトで「ファーウェイ」としている(参照)。しかし私は個人的にはこの表記にはとても懐疑的で、「本当の発音とは違うだろうに」 とずっと思ってきた。
ややこしいのは、日本語の 「ハ行」 の子音は、ローマ字では基本的に ”h” で表記されるが、「フ」 だけは "fu" と書かれることである。実際に、「フ」 だけは他の 「はひへほ」 と発音の仕方が明らかに違う。これ日本語の音韻学の常識(参照)なので、ここでは長々と述べない。
となると、「ファーウェイ」 というカタカナは ”Huawei" という表記にそぐわないじゃないかと思ってしまうのだよね。このカタカナ表記だと、フツーは "far way" という英語を思い浮かべてしまうだろう。で、あれこれ考えているよりも実際の発音を聞いてみるのが早いだろうと、YouTube を検索してみると、"How to pronounce Huawei" (Huawei の発音のしかた)という動画が見つかった。
この動画では米国ニューヨークのタイムズスクエアで、フツーの米国人に 「"Huawei" ってどう発音する?」と聞きまくっているのだが、登場する全員が正しい読み方を知らないばかりか、スマホの会社ということも知らない人も結構いる。そんな具合だから 「ハウィー」 とか 「ハウウェイ」 などと言う人が多く、"Who are we?" (私たちは誰?)なんて発音になっちゃう人もいる。これは多分受け狙いだろうと思うけど。
で、最後に種明かしになるのだが、本当の読み方は「ワーウェイ」なんだそうだ。米国のビデオなので、"Wa + Way" という文字で示されている。これが取りあえずの結論で、米国的、あるいは無理矢理言っちゃえばインターナショナル的には、「ワーウェイ」が正解のようなのだ。つまり日本式はインターナショナルじゃないってことね。
さらに無理矢理余計なことを言えば、下手すると "war way" (戦争の道筋) と聞こえちゃうのが、Huawey のイメージが米国で今イチになってる所以なのかなあなんて思ってしまう。
ただこれだけだと、「おいおい、じゃあ最初の "H" の文字は一体何なんだ?」と言いたくなってしまうのが人情というものだろうから、念のためもう一つの動画を当たってみた。中国系米国人とおぼしき男性がいろいろな中国ブランドの読み方を説明しているものだから、まんざらガセじゃないだろう。
上の動画開始後 23秒あたりから "Huawei" の読み方の説明になる。この男性によれば、「大抵の人は 『ワーウェイ』 と言ってるけど、"hot Chinese people" (「ギンギンの中国人」って感じ?) は『ホワーウェイ』(これ、無理矢理カタカナにしてるんだけど、ほぼほぼそんな風に聞こえる)って言ってるよ」とのことなのだ。うぅむ、このあたりが "Huawey" と、頭に ”H” の文字を入れる所以なのだね。
というわけで、結論。”Huawei" は米国的、あるいは西欧社会的には「ワーウェイ」だが、中国語にうんとこだわれば「ホワーウェイ」のようなのだ。
「ファーウェイ」の表記を採用した Huawei Japan としては洒落た英語っぽいイメージにしたかったのかもしれないが、私としては違和感ありありで、"far way" がもう一步進んだら "no way" (「とんでもない」 って感じで使われる) になるだろうと思っちゃうんだよね。悪いけど。
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コメント
これって「華為」という社名のピンインそのまんまみたいですね。
だからfのフじゃなくて、喉の奥で鳴らすhのフにして、あとはカタカナ読みのウアウェイでOKだと思います。
こだわるなら、第2声なので日本語の「そこ?」を2回繰り返す抑揚をつければ完璧ですけど、日本人としてはどうしても自然と後半が下がってしまいます(笑)
投稿: らむね | 2019年3月23日 18:41
らむね さん:
なるほど。要するに "f" にしなければいいと。
投稿: tak | 2019年3月24日 20:05
外国企業のブランド名が日本人の耳にどう響くかは重要な問題ですね。
1970年に所謂「マクドナルド」が日本に進出した時に米国本社は「マクダーナル」とカタカナで表記するように希望したそうですが当時の“日本マクドナルド”の藤田社長は「マクドナルド」の方が日本人の耳にはリズムよく響くと主張して「マクドナルド」になったようです。多分これは成功例でしょう。
TVCMの最後に「マク~ドナルド」と「ク」を強勢してますが米国人には全く何を言ってるのか分からないでしょうね。でも「マクドナルド」が正解でしょう。
ホワーウェイでなくファーウェイの方が日本人にとってはそれっぽく聞こえるので誰かが知恵を付けたんでしょう。これも正解でしょう。
現地の消費者にとってブランド名がどう耳に響くかは重要な課題です。
“Matsushita” は日本以外では非常に発音しにくいということで “Panasonic” を社名とブランド名に変更したのは知られた話ですね。
投稿: ハマッコー | 2019年3月25日 02:19
ハマッコー さん:
「ファーウェイ」はカタカナ的には確かに成功なんでしょうが、私は英文表記と照らし合わせて、どうにも違和感なんですよね。
いっそ「ワーウェイ」にすればよかったのにと思ってしまいます ^^;)
投稿: tak | 2019年3月28日 22:27