「めんべい」と「朝顔煎餅」
妻の友人が博多土産に「めんべい」というのをくれた。「飲んべえ」ではなく、「めんべい」である。辛しめんたいこ風味のせんべいなので、この商品名になっているらしい。
この「めんべい」という商品名を見て、どういうわけか「朝顔仙平」というのを思い出してしまった。これは 歌舞伎十八番『助六所縁江戸桜』(すけろくゆかりのえどざくら)の登場人物名で、「髭の意休」という嫌なジジイの手下という役どころだ。
「朝顔仙平」 というのは、当時江戸で流行った「朝顔煎餅」という菓子の洒落であるらしく、「事も愚かや、この糸鬢は砂糖煎餅が孫、薄雪煎餅はおれが姉、木の葉煎餅とは行逢兄弟、塩煎餅が親分に、朝顔仙平という色奴(いろやっこ)だぞ」という「煎餅尽し」の台詞がある。当時の歌舞伎は CM の機能も果たしていて、ということは、さらに砂糖煎餅、薄雪煎餅、木の葉煎餅、塩煎餅というのもあったわけだね。
で、私としては 40年以上にわたって「朝顔煎餅ってどんな煎餅なんだろう?」と思ってきたわけなのである。ところが今日、ふとした酔狂でググってみたら、今の世にも「朝顔せんべい」というものがあるとわかった。入谷の八千代堂という煎餅屋さんで買えるらしい。(参照)
一見ごく普通の煎餅のようだが、拡大版を見ると、なるほど、朝顔の花を正面からみたように見えなくもない。しかし江戸時代のオリジナル朝顔煎餅は、「横向きの朝顔」の形、つまり片側がすぼまって反対側が開いた形だったらしい(参照)ので、それとはずいぶん違う。
ちなみに「塩煎餅」は今も定番で、「砂糖煎餅」と「木の葉煎餅」も確認できたが、「薄雪煎餅」は見つからなかった。ただ、りんごを使った和菓子の「薄雪」というのは存在するようで、かなりおいしそうである。
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