2つの交通事故と、妙なソンタクのシンクロニシティ
今月 19日に東池袋で暴走事故が起きたと思ったら、21日は神戸でバスの暴走事故である。2人の当事者は、東池袋の方は 「アクセルが戻らなかった」と言い、神戸の方は「ブレーキを踏んだ状態で発車作業をしていたら、急発進し、人をはねた」と言っている。どちらも「俺は悪くない、悪いのはクルマの方だ」と主張している(参照)。
どういうわけか、昔から事件というのはよく似たものが連続的に発生するような気がする。こういうの「シンクロニシティ」といって、前にこの関連で「詐欺女の教訓」という記事を書いたのを思い出した。これ、もっと最近の話だと思っていたが、もう 9年も前の話なのだね。忘れてしまった方のために、自分の記事からちょこっと引用しておく。
2つの事件というのは、あまり魅力的とも見えないような女が、男を手玉にとって詐欺を働き、さらに複数の殺人を犯したのかもしれないという、例のアレである。一つは埼玉の木嶋佳苗容疑者の件、もう一つは、鳥取の上田美由紀容疑者の件だ。
容疑者の名前がうっすらと記憶に残っているという人もいるだろう。とにかく男をたぶらかして金品を貢がせ、挙げ句の果てに殺してしまったという事件である。あまりよく似た事件なので私は当初、同じ女が埼玉と鳥取で同様の手口で犯行に及んだのだと思っていたのだが、よく聞いてみれば別の女だったのだ。
シンクロニシティというのは心理学者ユングの造語で、日本語では「共時性」などと訳されており、「因果律」とは別の概念だ。早く言えば「朱に交われば赤くなる」 というのは因果律 (law of causality) で、「類は友を呼ぶ」 というのが共時性 (synchronicity) である。朱に交わって赤く染まるのは合理的に説明できるが、本当に類が友を呼んだのかどうかは、単なる偶然と区別がつかない。
というわけで、今回の東池袋と神戸の暴走事故は、まさにシンクロニシティというほかない。
この 2つの事件は、当事者が 2人とも「クルマの方が勝手に暴走した」みたいな言い訳をしているのだが、フツーに考えればそれは想定しにくい。「実はあんたが思いっきりアクセル踏んでたんでしょ」と言いたくなってしまうところだ。
ところが、当人としてはそんな意識はないのだろう。それで 2人とも妙に他人事みたいな言い方をしている。そしてこれは多くのブロガーが指摘していることだが、元高級官僚のじいさんは逮捕されず、バス運転手の方はソッコー逮捕されているというのが、どうもしっくりこないよね。
これなんか、エラい人に対しては妙な「ソンタク」が働いてしまうという、もっとずっと大きなシンクロニシティを感じさせるところだ。あるいはこれ、シンクロニシティというよりは仏教的な意味での「業」という話になるのかもしれないが。
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