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2019年6月11日

"NO WAR/NO ABE" を反語的に解釈すれば

Twitter を眺めていたら、ドーピングパワーズさんという人の tweet が妙に注目されていた。7,000人の人が集まって "NO WAR/NO ABE" の人文字を作ったというイベントがネタにされている。(下の画像をクリックすれば、元の tweet に飛べる)

190611

最近こんな人文字イベントがあったのかと思い、調べてみたところ、実は 2015年 9月 13日に広島で行われたことらしい(参照)。4年近く前の話を蒸し返されるのだから、今どき何をするにも油断ができない。

このイベントで作られた "NO WAR/NO ABE" の人文字は、余計なお世話で "," を足してあげて "NO WAR, NO ABE" として読むと、「戦争しなけりゃアベじゃない」あるいは「戦争しないアベなんてあり得ない」という意味になってしまう。

"No music, no life" (音楽がなけりゃ人生じゃない、音楽のない人生なんてあり得ない)というような言い回しと同様だ。で、tweet 元のドーピングパワーズさんは、次のように書いている。

バイリンガルいわく
「これだけ戦争推進しといて9条反対(笑)?」
このアホらはノーとつければ反対らしいです。

まあ、知り合いか何かのバイリンガルがこんな風に言ってるというのだが、この程度の英語は安易に人に頼らず、ちゃんと自分で解釈してもらいたかったところだ。というのは、"NO WAR/NO ABE" というテキストはいろいろに読み取れちゃうからである。バイリンガルだからといって、頼りにし過ぎちゃいけないのだ。

「戦争しないアベなんてあり得ない」と読み取ったとしても、その裏には「アベを支持し続けていると、そのうち戦争になっちゃうぞ」、すなわち「戦争がイヤなら、(かくまで戦争好きの)アベを支持しちゃいけない」という反語的な意味が込められているとみるのも十分に「あり」だ。

イベント主催者側としてはひたすら単純に「戦争にノー!/アベにノー!」を突きつけたかっただけなのだろうが、そのままちゃんとした英語として読んでも、素朴すぎる解釈から脱却すれば帰するところは同じになる。これは多分、たまたまだろうけど。

というわけで、表面的な解釈のみで鬼の首でも取ったようにはしゃいではいけないという教訓である。ただ、反語のスローガンなんてややこしすぎるから、あまりオススメできないのは当然だが。

 

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