不思議なまでにナイーブな「コウペンちゃん」の世界
昨日は阪急電鉄の「ハタコト」企画に関するちょっと嫌みな記事を書いてしまったが、今日は対照的な話題である。西武鉄道の「コウペンちゃん」というキャラクターが妙に好評 (参照)だというお話だ。
「コウペンちゃん」というのは、るるてあさんというイラストレーターが創作したキャラクターだそうで、「出勤してえらい!」「電車にのってえらい!」「いつもがんばってるのみてるよー!」「きみのおうえん隊!」という、とても「肯定的」なコピーが添えられているという。これって多分、「皇帝ペンギン」の洒落なんだろうね。
昨日のネタの「ハタコト」は、もっともらしさを装った押しつけがましさが不興を買ってしまったようだが、西武鉄道のコウペンちゃんの方はもっともらしさなんてどうでもよくて、ひたすら「可愛らしさ」を前面に押し出している。日本人ってどういうわけか、こういうのにはヨワいみたいなのだよね。
しかも添えられるコピーが、まるで「ほめて育てる」みたいな感覚の内容で、「電車にのってえらい!」だの「出勤してえらい!」だのは、いくら何でも子どもだましすぎると思うのだが、これがなぜか反感を買わないみたいなのだ。不思議なまでにナイーブな世界である。
ちなみに「ナイーブ」というと、『大辞林』で引くと「純真なさま。また、物事に感じやすいさま。素朴」と説明されていて、どちらかといえば「悪くない言葉」と思われている。しかし英語になると、”Wisdom English Dictionary” では ”naive" は「世間知らずの、単純【愚直】な、だまされやすい、お人好しの、(考え方などが)浅はかな」と、散々な意味になる。
副次的な意味として「純粋な、無邪気な」という語義も申し訳程度に添えられているが、おしなべて英語の ”naive" という言葉はほとんどいいイメージでは用いられれない。「あんなナイーブな人とは、一緒に暮らせない」なんて言って、離婚の理由になるほどである。
というわけで、このコウペンちゃんというのは、英語的感性で捉えるか、日本語的感性で捉えるかによって、印象がかなり違ってくる。私は 40代の頃、英語のプレス・リリースを日本語に翻訳するという仕事を数年続けたことがあるせいか、日常生活にもかなり英語的感性が紛れ込んでしまうところがあって、「コウペンちゃん」にはずいぶんな違和感を覚えてしまうのだよね。
さらに言えば、ちょっと考えすぎかもしれないが、同じ企画を関西の電車で展開しても、関東で得られるような好評は期待できないと思う。おしなべて関西人は関東の人間より「ナイーブ」じゃないと思われるからだ。この直観、多分「当たり」だと思うが、どうだろう。
ああ、またしてもちょっとだけ「嫌み」になってしまった。
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コメント
いやぁ、やはり皆さん、偉いと思いますよ。ほんとうに。
前日の残業疲れもものかは、朝早く起きて素早く支度をし、満員電車に押し込められて出社、不条理な仕事にも文句をいわずうちこみ、それでまた不可避的に残業でっしゃろ?あっしにゃぁ、とても無理ですね。
あっしなんか、仕事は午後からで、それでも「だりいな~、仕事したくねー」とかつぶやきながらロードバイクで出勤、それでちょっと遅くなれば「ざけんなよー、スーパー閉まっちゃうだろが」と悪態をつき、週5日勤務なんか「無理無理無理」ってえ案配でやんすから。ほんとうに皆さん、尊敬しやすな!!( ̄▽ ̄)
投稿: 萩原下衆兵衛 | 2019年6月14日 22:41
萩原下衆兵衛 さん:
いやはや、確かに皆さん、「えらい!」ってわけですな (^o^)
投稿: tak | 2019年6月15日 16:39