国民の愚民化と、マスコミの劣化の相関関係
"元テレビマンが「愚民がマスコミを劣化させている」なんて言っちゃうんだ。そんなテレビマンが視聴者を愚民だと侮ってた時代があって、視聴者にどんどん見放された結果が今なんじゃないでしょうか" という tweet があって、じゃあ、その元の tweet はどんなんだろうと思って遡ったら、画像のようなものだった。(画像をクリックすると別画面で拡大表示される)
物議を醸しているのは toriiyoshiki というドキュメンタリー番組専門のTVディレクターだったという方の tweet で、こんなようなことを言っている。
元テレビマンとして申し上げるが、いまのテレビは本当に酷い。志の低さに吐き気がするほどだ。しかし、何かのメディアが伝えていたが、政治ネタを扱った途端に視聴率がガタ落ちという現実もある。マスコミが国民を愚民化しているのではなく、愚民がマスコミを劣化させている、という気がしなくもない。
問題は「マスコミが国民を愚民化しているのではなく、愚民がマスコミを劣化させている」というくだりで、それに対して omion さんは「そんなテレビマンが視聴者を愚民だと侮ってた時代があって、視聴者にどんどん見放された結果が今なんじゃないでしょうか」と反応しているわけだ。
私はいつも言うのだが、どちらかが一方的な原因となって相手を変えてしまうなんてことはない。物事というのはお互いに影響し合って変わっていくものなのだ。だからマスコミが一方的に国民を愚民化しているわけではなく、視聴者が傲慢なマスコミを一方的に見放したというわけでもない。
要するに時代そのものが変わっているのだ。「政治ネタを扱った途端に視聴率がガタ落ちという現実」というのも事実なのだろうが、政治ネタでもこなし方によっては面白くもなる。マスコミの政治ネタのこなし方が下手なこともあって国民が政治に関心を失い、それによってマスコミの政治の取り上げ方がますます下手くそになる。堂々巡りだ。
ジャニーズのタレントやお笑い芸人がニュース・ショーのキャスターをやっても、政治ネタの取り上げ方が変わったわけでもなんでもなく、タレントの方がテレビの世界におもねているだけなのだからしょうがない。それだったら、まだ思いっきり正攻法の政治番組を見る方が質は高い。
そんなわけで、「フツーの国民」が見ておもしろいと思える政治ネタがテレビの世界には存在しなくなり、ネットの世界の方がおもしろかったりする。ところがネットはネットでかなり無責任な言いっぱなしが多いので、功罪相半ばしてしまうというわけだ。
とまあ、世の中ってこんなふうに、いつもいつも不満を内在しながらチマチマ、あるいはドラスティックに変わっていくものなのだろう。
ちなみに我が家のテレビは今、アンテナが壊れてしまったのか地上波放送の受信ができない状態になっているが、映らなくても全然不満がない。それで金をかけて修理しようという気になれないでいる。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 郵便料金の値上げまで、あと 1ヶ月ちょっと(2024.08.22)
- "What is this place?" という映画のセリフ(2022.02.13)
- 「NHK 値下げ」でも、テレビなんか見ないもんね(2021.12.20)
- 小津はいい(2003.10.31)
- 日テレ、今度は気の毒(2003.12.02)
コメント
過去、NHK地方記者の中途採用にチャレンジしましたが、…結果はお察しください。(察するまでもなく)
そのときの「エントリーシート」に、「国会中継ダイジェスト」をやったらどうや!って書いたんですがねぇ。
「審議中の重要法案」
「各委員会の動向」
「成立した法律の一覧と解説」
こんなこと書いてみたけど…。
翌年の夜中っくらいのニュースで、「成立した法律の一覧」をババッと画面でダイジェストしてたので、「パクられて本望!」と、自分で自分を慰めていました。
いやまぁ、政治の話を一面的にしか報じない姿勢ですから、視聴者にとって「おもしろーい!」じゃないとアカンのでしょうねぇ。
せめてNHKのテレビで、時論公論だけじゃなくて、じっくり解説する時間があればなぁ。
(朝のNHKラジオは、政権に対して忌憚なき意見を述べられる評論家のお話を聞くことができる、貴重なタイミングがあります。)
投稿: 乙痴庵 | 2019年6月 3日 19:51
乙痴庵 さん:
なんとまあ、NHK が就職応募者のアイデアをパクってたんですね ^^;)
確かに、NHK の朝の番組は貴重ですね。
投稿: tak | 2019年6月 3日 22:15