「七段ピラミッド」とか「子どもは最低三人産め」とか
桜田議員が「子どもは最低 3人産んで」と、またしても「言わなくてもいいことを、いい気持ちで言っちゃった」ケースで炎上してしまっている。よくよく懲りない人である。
「悪気があって言ってるわけじゃないんだから」と擁護する向きもあるようだが (参照)、この人の場合、確かに「悪気」はなさそうだが、それ以上に「深い考え」というのもなさそうなのが問題なのだ。なにしろ国会議員なんだしね。私が時々言う「知らずに犯す罪は、知って犯す罪より重い」というテーゼを想起されたい。(参照)
5月 30日付の "「放言・暴言・失言の製造機」桜田議員が「子ども最低 3人産んで」発言で炎上の何が問題なのか" という記事で、在英ジャーナリストの木村正人氏は、第二次大戦の敗戦国である日本やドイツ、イタリアがいずれも少子高齢化に苦しんでいることについて、戦勝国側の人口抑制アタックがあったからではないかと、次のように指摘している。
昭和 16(1941)年 1月 22日に閣議決定された人口政策確立要綱で「昭和 35年総人口 1億(内地人)」「今後 10年間で婚姻年齢を現在より約 3年早めるとともに夫婦の出生数を平均 5児に達すること」を目標として定めました。戦争遂行と版図拡大のためでした。
(中略)
婦人参政権が認められた戦後の総選挙で39人の女性代議士が誕生し、第1号の加藤シヅエさんらの議員立法で 48年、人工中絶の違法性を阻却する優生保護法(現・母体保護法)が施行されました。米国で連邦最高裁判決が「中絶は女性のプライバシー権」と認めたのはその 25年後です。
つまり、太平洋戦争直前の日本は「超」の字を付けてもいいくらいの積極的人口増加促進策を遂行していたが、戦後は対照的なまでの人口増加抑制策に転換した。そこには戦勝国である米国の意図があったのではないかと、木村氏は指摘しているわけだ。
思えば私が中学時代の社会科の教師は、日教組そのものの左翼教師だったが、彼もまた「子どもは 3人以上産まないと、日本の人口が減ってしまう」なんてことを言っていた。昭和40年代初頭(1960年代半ば)のことである。彼のこの発言の裏には、暗に人口抑制を押しつける米国への本能的反発があったんじゃないかと思う。
そして時代はめぐり、平成から令和の時代となった今、今度は自民党の議員がやたらと「子どもは 3人以上」なんてことを言い出した。これはもう、「戦後への反発」としか言いようがない。昔は共産党を含めた左翼が「子どもはたくさん産んで楽しい家庭を」なんて言っていたが、今はモロに逆である。本当に時代は変わるものである。
昨今の保守派からの「子どもは 3人以上」というプレッシャーには、一昨日書いた "「七段ピラミッド」だの「四段タワー」だの" という記事で触れた、七段ピラミッドにこだわりたがる体育会系教師と共通した意識を感じてしまう。「個人は全体(国)のために」という妙な美意識だ。
そりゃあ私だって、公(おおやけ)ために尽くすのは尊い行為だと思う。しかしそれは自発的なものだからいいのであって、上から押しつけられるのは真っ平ご免だ。娘を 3人育てた私が言うのだから、「文句あるか!」ってなものである。
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コメント
>娘を 3人育てた私が言うのだから、「文句あるか!」ってなものである。
ぐうの音も出ません。
当家は結果ひとりっ子でした。
ただ桜田問題外で変のオッサンの言うことを、まったく擁護する気はございませんが、時期のことも鑑みれば…。
(荒立てるつもりはまったくございませんので、ひらにご容赦のほど。)
投稿: 乙痴庵 | 2019年6月 3日 19:24
乙痴庵 さん:
>桜田問題外で変のオッサンの言うことを、まったく擁護する気はございませんが、時期のことも鑑みれば…。
本文で触れたように、悪気がないのは確かでしょうし、さらに深い考えのないのも確かという程度のことなので、私としても蓮舫さんのようにまではコトを荒立てる気にはなれません (^o^)
投稿: tak | 2019年6月 3日 22:08