「引きこもり」を一律に危険視してはいけない
中日新聞の本日付記事に "引きこもり危険視やめて 豊橋の男性「レッテル貼り怖い」" というのがある。自身も 25年間引きこもり生活を続けているという豊橋市在住の小崎(こざき)悠哉さん(39歳)が中日新聞に取材依頼のメールを送ったことで実現した記事だという。
今、「中高年の引きこもり」というのが大きな問題になっている。「引きこもり傾向にあった」とされる 51歳の男性が小学生ら 20人を殺傷して自殺した川崎市の事件が注目された直後に、東京練馬区で元農林水産事務次官の 76歳の男性が引きこもりがちで家庭内暴力問題を起こしていたという 44歳の長男を殺害する事件を起こした。
練馬区の事件の息子殺害の動機は、「長男が(近所の)子どもたちに危害を加えてはいけないと思った」ことだと警察に語ったという。ネットの世界ではこの行為を「英断だ」などと賞賛する書き込みまであるというが、それはかなり短絡的で危険な考えだと言わざるを得ない。
子どもの悩みをまったく理解しようとしない親に対して、子どもは時として暴力的になる。これは子どもの方が一方的に悪いのではなく、親子の関係性の中で生じた事態だ。練馬区の事件に関しては、「親の方だってずいずん短絡的ではあるよね」という印象を持ってしまったのは私だけじゃないだろう。
実は私は、結構いろいろな「引きこもりケース」に単なる「傍観者」として以上の関係で関わったことがある。その経験から言うと、彼らは確かにまともに接しようとすると本当にやりにくい。
そして「引きこもり」と言っても実にいろいろなケースがあって、千差万別だ。 普段はおとなしいけれども時として暴れ出す子もいれば、夕方近くになって起き出して、自分の部屋に閉じこもってばかりいるという子もいる。
腹を割って普通にコミュニケーションを取れる場合もあれば、何を話しかけても無反応に近い場合もある。しかしそんな没コミュニケーションの子 (「子」と言っても 40歳ぐらいだったりすることも多いが)でも、予断をもたずに接すれば、調子のいい時には嬉しそうな表情を見せてくれる時もある。
高校時代から15年以上引きこもっていた男が、「これではいけない」と一念発起してやり直し、周囲に理解者を得て社会復帰を遂げたというケースもある。彼は当初硬く暗い表情で話しづらい雰囲気を漂わせていたが、徐々にほぐれてきて今は明るく建設的な話をするにも無理がなくなった。人間というのは変われば変わるものである。
中日新聞の取材を受けた小崎さんは「危ないやつとレッテルを貼られるのが怖くて意見が言えなかったが、そんな自分を変えたい。もがきながらも、社会で働くことを目標に闘っている人がいることを世間に知ってほしい」と語っている。
「レッテルを貼られるのが怖くて」とおっしゃっているが、実際問題として個別の人間にレッテル貼りするなんて不可能なのだ。ただひたすら「そのままを認める」という意識で接するしかない。
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