捕鯨よりホエールウォッチングの方が人気
私が子どもの頃は、鯨肉を食うのがそれほど珍しいことじゃなかった。小学生の頃は、月に 1度ぐらいは鯨肉の入った汁物がおかずになっていたし、学校の給食にも出てきた。しかし中学生になる頃には鯨肉を食う機会はほとんどなくなった。
ちょっと調べてみたところ、母船式商業捕鯨が禁止されたのは 1986年のことのようで、それ以後は「調査捕鯨」の名目で捕獲した肉を細々と食ってきた。しかし自分の記憶を辿っても、商業捕鯨が禁止される 20年も前の中学生になった頃(1965年)から、鯨肉なんてほとんど口にしていない。
記憶を辿ると、30歳を過ぎた頃に、知り合いがたまたま入手した鯨肉料理を振る舞ってくれたことがあるような気がする。しかしこの時は、懐かしさは感じても「しょっちゅう食いたい」とは思わなかった。
というわけで、鯨肉は食わなきゃ食わないでまったく不満がない。「日本固有の食文化」としてやたらこだわる人もいるようだが、「そんなにまでこだわるほどのものかなあ」と思ってしまう。個人的には最近、牛や豚の肉も避けるようになったので、「なんでクジラを食わなきゃいけないんだ?」と思ってしまう。
ところで NewSphere に「捕鯨より将来性あり? 日本近海でのホエールウォッチングが人気」という記事がある。ちょっと引用してみよう。
捕鯨船が出港する釧路港の北160キロにある羅臼町では、昨年3万3451人がホエールウォッチングとバードウォッチングのため観光船を利用したという。2016年と比べ9000人増えたということだ。
(中略)
知床羅臼町観光協会によれば、観光船ビジネスの65%はホエールウォッチングから来ている。数種類のクジラがたくさん集まるのは羅臼ならではの光景で、貴重な観光資源だという。観光客の多くは地元で宿泊し、レストランや土産物店を利用してお金を落としていくということで、この人気が今後も続くことを観光協会は期待している(ロイター)。
うぅむ、確かに捕鯨よりホエールウォッチングの方が、ビジネスとしての可能性がありそうに思えるなあ。私としても鯨肉は食わないが、クジラの泳ぐところは見てみたい。
国際動物愛護基金(IFAW)のパトリック・ラメージ氏は、すでに日本で鯨肉を食べる人はほとんどいないため、いずれ日本政府の捕鯨に対する補助金がなくなれば、市場の原理で捕鯨産業はなくなると見ているという(ナショナルジオグラフィック)。一方、前 IWC 日本政府代表の森下丈二氏は、鯨肉文化の残る一部地域に限って流通させれば、ニッチな市場として残ると主張しているようだ。
「鯨肉文化の残る一部地域」ってどこなんだろうと思って調べてみたところ、かつての捕鯨基地があった北海道、宮城県の牡鹿、和歌山県などのことを指しているようだ。これらの地域には「鯨神社」というものもあるらしい。まあ、これらを認めるとしても、少なくとも「成長産業」じゃないよね。
ちなみに尊敬する永六輔さんは生前、「日本固有の食文化である鯨肉」への思い入れを熱く語っておられたが、あの世代の鯨肉への思い入れは、純粋に「食文化」への思いというより、「牛や豚をたらふく食いやがる欧米」への一種複雑な反感みたいなものが勝っていたような気がするんだがなあ。
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