「ビジネスマン」なんかじゃないんだから
日経ビジネス電子版で、"「結局、ワイシャツの下は何を着ればいいのか」の舞台裏" という記事が送られてきた。これは「あの企画の舞台裏」というシリーズで、過去に話題になった記事について執筆者本人にその舞台裏を聞くというもらしい。
で、今回の記事は 2013年に話題となった「結局、ワイシャツの下は何を着ればいいのか」という記事を執筆した鈴木信行副編集長に聞いてまとめたものであるらしい。2013年といえば 6年も前の記事だが、そういえば当時、「ワイシャツの下には何も着ないのが本当」としてちょっと話題になっていたような記憶がある。
この記事に登場するのが松屋紳士服バイヤーの宮崎俊一という人で、その世界では「カリスマ・バイヤー」として名を馳せる人物だ。『成功する男のファッションの秘訣』(講談社の実用BOOK))という本の中で、「9割の人が間違ったスーツを着ている」と主張している。
彼は「スーツはジャストフィットのものを選べ」(そうすると日本人の目には小さすぎるように見えてしまうが)とか「Tシャツは 40才以上の男の着るものではない」とか「欧州のビジネスシーンでは、半袖ワイシャツはあり得ない」とか、いろいろなことを主張している。さすが「カリスマ・バイヤー」だけに、これがもっともらしく聞こえてしまうのだ。
この 2013年の企画で彼は 「ワイシャツの下には何も着ないのが正解」と言っている。ワイシャツ自体が下着なのだから、その下にシャツを着ては「下着の重ね着」になってしまうというのだ。暑いときは上着を脱いでワイシャツの袖をロールアップして(まくって)過ごすのが正解なのだそうだ。
ちなみに、暑いときには「ワイシャツという下着」だけになってもいいということの根拠は、何も示されない。こだわるところには徹底的にこだわっても、それ以外の部分はテキトーでいいというのが、ファッションという世界である。
私自身のことについて言えば、一応「まともな勤め人」をしていた頃、ワイシャツの下には夏場は下着を着けなかった。だって、そんなことをしたら暑すぎるから。そして半袖ワイシャツというものも 1着ももたなかった。この点については、宮崎バイヤーの主張と図らずも一致する。
ただ、30才を過ぎる頃から「営業職でもないのに、スーツなんか着てられるか!」とばかり、夏場はポロシャツ 1枚になり、冬場はウールのジャケットで過ごすようになった。そんなわけで、今ではスーツと称するアイテムは春夏用と秋冬用 1着ずつに、冠婚葬祭用の 1着、合わせて 3着しか持っていない。
そしてこの 3着も滅多に着ることがないから、当然ながらワイシャツというものもほとんど着ない。だから「ワイシャツの下は何を着ればいいか」という疑問すら存在しない。基本的に、暑かったら下着なんて着ないし、寒かったらユニクロの「ヒートテック」を着るというだけだ。
もっと言ってしまえば、秋冬用スーツというのも邪魔くさいから、寒い季節はヒートテック下着に春夏用スーツでもいいとすら思っている。つまり、冠婚葬祭用(これは前から春夏用のみだし)と合わせて 2着で乗り切れるってわけだ。
「結局のところ」という話で言えば、「ビジネスマン」なんかやってないんだから、テキトーにカジュアルな格好をしていればいいというだけのことである。ヨーロッパ流のドレスコードなんてものに忠実に生きていたら、日本の夏場は乗り切れない。
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コメント
欧米のビジネスマンは真夏の日本に来てもスーツをきちんと着こなしていますね。例えビジネスの場を離れていてもネクタイを容よく締めてますね。だらしなく緩めるなんてことはないですね。
それは彼らの矜持なんだと思います。
「成功する男のファッションの秘訣60」という本を書いた人の気持ちはわかります。(読んでませんが)
だらしなくスーツを着ている人を多くみて一言いいたかったんでしょう。
>欧州のビジネスシーンでは、半袖ワイシャツはあり得な
い
私も半そでワイシャツにネクタイなんて間が抜けていると思いそれはやりませんでした。でもここは欧州でなく日本なのでそれも「あり」ですね。
*ここでは敢えて日本語でワイシャツと書きました。この本の著者は何と表現しているのか気になるところです。
投稿: ハマッコー | 2019年8月24日 01:27
ハマッコー さん:
米国西でも海岸の人たちは、かなりカジュアルですね。
ヨーロッパの人たちは帰国してから「日本の夏は死にそうに蒸し暑かった」と言ってるかも知れません (^o^)
「ワイシャツ」というのは完全に和製英語で、「ホワイトシャツ」から来ているとか、いろいろな説があります。これだけこだわっている宮崎バイヤーさんには、「ドレスシャツ」と表記してもらいたいところですが、著書を読んでいないのでどうなっているかはわかりません。
日経の記事では「ワイシャツ」となってますが、宮崎バイヤー自身がそう言っていたのか、記者が勝手に「翻訳」したのか、そのあたりは不明です。
ただ、希望としてはこれだけこだわった記事にするからには、「ドレスシャツ」と書いてもらいたかったと思います。
投稿: tak | 2019年8月24日 12:51
やはりその人の職場・職種によるところが大きいのではと思います。
私の場合、それほどきちっとした格好は求められません。夏場は半袖ワイシャツにノーネクタイです。しかしリンク先にもあった「乳首透け問題」には気を使います。思春期の女の子と近い距離で接しますので。ワイシャツが肌にべたっとするのも嫌です。
普段はユニクロのエアリズムという肌着を着ています。いつかのキャッチコピー通り「着ていることを忘れる」ほどの感覚です。Vネックの肌色だと首元からも見えず、汗をかいてもワイシャツ越しにも見えず、重宝しています。
投稿: らむね | 2019年8月24日 15:08
らむね さん:
まさに、職種によってドレスコードはかなり違いますね。
フリーランスの身としては、ユニクロの存在は本当にありがたいです (^o^)
投稿: tak | 2019年8月24日 21:34