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2019年8月22日

「ウザいカタカナ用語」という問題

「知識連鎖」というサイトに「日本語で言えよ!うざいカタカナ用語ランキング NHKを提訴する人も登場」という記事がある。「日本語で言ってくれれば意味がわかるのに…と思うカタカナ語ランキング - ビジネスランキング - goo ランキング」を紹介したものだが、残念ながら goo ランキングのサイトには該当記事が見つからなかった。とはいえ、どんな言葉なのかというと、こんなのである。

190822

私は 40代の頃に外資系団体に勤務していたことがあり、そこでは仕事上で交わされる言葉の少なくとも 3割ぐらいはカタカナ言葉だった。それに比べれば上に示した程度の言葉は生やさしいといってもいいぐらいで、個人的には「もう外来語として定着してるんじゃないの?」という印象がある、

しかし知識連鎖のページでは「私は見ているだけでイラッと来ますわ」とあるように、かなりアブナいところもあるので(つい「リスクがあるので」と言いたくなったりもするのだが)、実際に使う上ではそれとなく気をつけている。

このページには各カタカナ語の「言い換え」というリストもあって、それは次のように示されている。

アジェンダ: 実施すべき計画、協議事項、議事日程
オーソライズ: 公認
オルタナティブ: 代替、二者択一
エビデンス: 証拠
バジェット: 予算
パラダイム: 考え方、規範
マイルストーン: 各作業工程の節目、里程標、画期的な出来事
スキーム: 枠組みを伴った計画
バッファ: 余裕、緩衝材
コンテクスト: 文脈

これをみると、一般的には「ウザい」と思われているカタカナ用語の中には、日本語で言い換えようとするとニュアンスが違ってしまったり、かえって長ったらしくなったりしてしまうので、実際問題としてカタカナ語で言う方がスッキリするというものもある。「アジェンダ」「オルタナティブ」「パラダイム」などがそれにあたるだろう。

とくに「オルタナティブ」は、日本語でニュアンスまで伝えようとすると、少なくとも 200〜300文字ぐらい使いたくなってしまうよね。要するにきちんと対応した訳語が存在しないのだ。こんなのはカタカナで表記される外来語として定着させる方がずっとすっきりする。

また「オーソライズ」は「公認」と言い換えられているが、実際には「権威付けする」というようなニュアンスもあるので、「公認」の一言だけだとちょっと言い足りなさが残る。また「エビデンス」を「証拠」と言い換えると、なんだか固すぎるような気もするのだよね。

一方、「バジェット」は気取らずに「予算」と言ってしまっても何の問題もないだろうし、「マイルストーン」なんかは個人的には「一里塚」と言い換えたい気もしているほどで、「ウザいビジネスカタカナ用語」と言っても一概にはまとめられない。

さらに言えば、「カタカナ語」というだけで毛嫌いすることにも問題がある。「日本語で言えよ!」と声高に言いたがるオッサンでも「ガラス」とか「パンツ」とか「ティッシュペーパー」とかいう言葉には抵抗を示さないのだから、要するに「慣れ」の問題なのだ。

ちなみに前に付き合いのあったオッサンが、会話中の関係ないところでやたらと「パラダイス」という単語を連発するので、一体何のつもりなのかと怪訝に思っていたところ、よほど後になって「パラダイム」のつもりだったとわかった時には腰が砕けそうになった。

 

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コメント

同じカタカナ単語とはいっても、既存の日本語で拾いきれないニュアンスを取りこぼさないためのものなのか、それとも手垢のついた概念を新しい商売に仕立てるためのコケオドシなのかで全く異質なものなのでしょうね。もっとも後者でも広まるうちに、言い始めた人の意図とは全く関係のない含みが生まれてきたりするので一概に言えるものでもないのでしょうけれど。
まあ「イラッとくる」向きには、オオトリテエに従ふ外ない!とお約束ジョークの一つも飛ばしておけばいいのではないでしょうか。

投稿: 柘榴 | 2019年8月23日 07:18

棚上げと先送りと停滞が「ペンディング」。

先方了承と問題解決と意見一致が「フィックス」。

会議などのテーマと発言者の文脈を考えて変換しなきゃならんから、余計めんどくさい。

「会社員ごっこ」に勤しまれる方は、セミナーなんかで聞いてきた言葉を使いたがるし…。

「君のポートフォリオはなんだね。」
未だに意味がわかりません。

投稿: 乙痴庵 | 2019年8月23日 12:22

どこかの部長が朝礼で一拍置いてから「コアコンピュタンス」と言ってたのを思い出しました。
一言で言えるので便利だけど、理解した人はほぼいなかったでしょう。
「他社を圧倒する事業分野」とか「当社の主力事業」とでも言っとけば全員に意が伝わったのに、かっこつけるから朝礼の時間が無駄になる。

バジェットとコンテクストなんてわざわざカタカナ言葉でいう必要のない例ですね。予算、文脈と言えばスッキリする。

菅元総理が国会で頻繁に「バイで話した」とか言ってましたがこれも「二人で話した」と言えばスッキリする。
特に政治家は不必要な外来語は避けるべきだと思います。

投稿: ハマッコー | 2019年8月23日 16:21

柘榴 さん:

なるほど、

1.既存の日本語で拾いきれないニュアンスを取りこぼさないためのもの
2.手垢のついた概念を新しい商売に仕立てるためのコケオドシ

この 2つに大別するとよく見えてきそうですね。

「オオトリテエ」とくると、森鴎外はおフランスかぶれだったんでしょうかね (^o^)

投稿: tak | 2019年8月23日 17:34

乙痴庵 さん:

「ペンディング」と「フィックス」は、確かに便利な言い方ですね。

「ポートフォリオは何だね?」と言われたら、卒業証書、資格証明書など一式を袋に入れて差し出すしかないかも (^o^)

投稿: tak | 2019年8月23日 17:39

ハマッコー さん:

Core competence は訛らずに (?) 「コア コンピタンス」と言ってもらえば、「競争力か何かの派生語」と想像できたかもしれませんよね。

「バイで話した」と聞くと、2カ国語で話したのかと思っちゃいそうですね。

投稿: tak | 2019年8月23日 17:46

「バイで話した」

・バイセクシュアルの方と話した
・バイシクルに乗りながら話した
・倍以上に盛って話した

大喜利ですか?

投稿: 乙痴庵 | 2019年8月23日 18:14

乙痴庵 さん:

わはは (^o^)

投稿: tak | 2019年8月23日 19:52

子供の名前にマリーだのルイだのつける人がフランスかぶれでなかったらそっちのほうがちょっと怖いように思います(^o^)
それはともかく。カタカナ語の事を言うなら「自由」と「freedom」の関係などはちょっと面白いですね。
いまや「自由」がそのままfreedom/libertyという意味の言葉になっている一方で、カタカナスラングとしての「フリーダム」が、freedom(およびliberty)の概念が伝来する前に自由という言葉が持っていたニュアンスを担っている、という……

投稿: 柘榴 | 2019年8月24日 07:41

柘榴 さん:

「自由」という言葉は元々は「我儘放蕩」の意味であったらしく、"freedom" の訳語として定着して以来、高尚な意味を持つようになったようですね。

言葉というのはなかなか油断がならぬものです。

投稿: tak | 2019年8月24日 12:56

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