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2019年10月26日

ラグビーをダシにして「ほかの何か」を観るメンタリティ

ふゆひー9 さんが、石原慎太郎氏の「ラグビーの世界選手権で久しぶりに民族意識の高揚を見て嬉しかった」云々という tweet を、「あなたが観ているのはラグビーではない」と、痛烈に突き放している(参照)。「(そもそも世界選手権なんてやっていないしね・笑)」とダメ押し付きだ。

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石原氏の tweet で気になるのは、意識的にか無意識的にか知らないが、「民族意識」と「国家意識」をごっちゃにしている点である。「久しぶりに民族意識の高揚を見て嬉しかった」と言った直後に「良い意味での国家意識の一体感は必要」なんてことにしてしまっている。

「民族」という視点では、言うまでもなく今回のワールドカップ(「世界選手権」という名称ではない)の日本代表チームは単一民族での構成ではないし、国籍すら日本とは限らない。だから「あれは日本代表チームとは言えない」なんて妙にカタすぎることを言っている人までいる。

石原氏の心の中では、「純血の日本民族」でも「日本人」でもないながらも「日本代表」とされている「ナショナルチーム」の活躍を見ることで、どういうわけか「民族意識が高揚」されてしまったようなのだ。そんなことを恥ずかしげもなく言い放つためには、彼なりのチョー独善的かつ予定調和的な意識操作が伴わなければならなかっただろう。

こう考えると、ふゆひー9 さんの言うように、石原氏はラグビーをダシにして無理矢理に「ラグビーではない、ほかの何か」を観ていたようなのである。彼なりに「予定調和的なほかの何か」が見えるものなら、別にラグビーでなくても何でもいいわけで、今回はたまたまラグビーが絶好の材料になってしまっただけだ。

気持ち悪いことに、石原氏の tweet によるスレッドは、「よくぞ言ってくれました!」的なコメントのオンパレードになってしまっている。世の中にはラグビー(だけじゃなく、都合のいいものなら何でも)を透かして自分の好きなことのみを観たがる人たちが、やたら多いのだろう。

ワセダに通っていた学生時代、野球の早慶戦とかラグビーの早明戦なんかになると、とくに野球やラグビーが好きなわけでもないのにやたらアツくなって「ワセダ、サイコー!」と叫びたがるヤツがいた。彼らは内輪で「ワセダ・ナショナリスト」と揶揄されていたのを思い出してしまったよ。

今回のラグビーへの熱狂現象に関して、個人的には「日本人の共同体意識が、純血主義を超えた自由で新しいレベルに移行するきっかけになったかもしれない」程度には思っている

 

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コメント

>「あなたが観ているのはラグビーではない」

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☆「あなたが観ているのは野球ではない」
球場で応援に夢中になり、選手のプレーや微妙な駆け引きなんて見ていない。特にカネ、タイコを叩いてる連中はフィールドに背を向けており野球なんて全く見ていない。

自身が応援するチームが勝つと、相手チームのファンの出口に行って「ざまあ見ろ」とばかりに罵声を浴びせる自称熱心なファン。関西の人気球団の球場でのハナシ。

☆「あなたが楽しんでいるのは音楽ではない」
クラシックのコンサート会場で、曲の最後の音が出る前に「ブラボー」と大声で叫ぶ輩。特にピアニッシモで終わるときは演奏者や指揮者には辛いと思う。
「ブラボー」と最初に叫びたくて来ている人でしかない。他の聴衆にとっても大迷惑。

何をどう楽しむか自由だが他人に不快感を与えるのは御免こうむりたい。
(ちょっと話がずれました)


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投稿: ハマッコー | 2019年10月27日 03:02

まあ、起きている物理的な事象それ自体は「オッサンの大群が一定のアルゴリズムの下、へんてこなボール持って芝生の上をウロウロしている」以上でも以下でもないですからね。好きなように好きなもの見りゃいいんじゃないの、どうぞご勝手に、ぐらいの感想です。

投稿: 柘榴 | 2019年10月27日 06:05

ハマッコー さん:

単に「盛り上がりたい」だけの人たちがいるわけですね。盛り上がるためなら、そのきっかけは何でもいいと。

投稿: tak | 2019年10月28日 11:16

柘榴 さん:

好きなように観たことを公言して、自分の浅はかさを露呈するのも、「どうぞご勝手に」ですが、その「浅はかさ」に感激してしまう人が少なくないということには啞然としてしまいます。

投稿: tak | 2019年10月28日 11:19

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